コミュニケーションする香り、フエギア 1833の魅力とは?

Beauty 2018.07.09

南米パタゴニアの大自然をベースに、詩やタンゴ、歴史、文化、人物といったさまざまなインスピレーションから創り上げられる フエギア 1833 のフレグランス。その唯一無二の世界観に込められたものとは? 来日した調香師のジュリアン・ベデルに聞きました。

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ジュリアン・ベデル/Julian Bedel
1978年、ブエノスアイレス生まれ。芸術家の一家に生まれ、アーティスト、弦楽制作家、デザイナーの顔を持ち、2010年にブランドを創業。最高峰の天然香料にこだわり、フレグランスによる文化的な表現を追求する。

―フエギア 1833 のフレグランスには、それぞれに独特の物語が秘められていますが、香りをつくる時の手順は、コンセプトからでしょうか? それとも素材から?

「どちらの方法もあります。最初にストーリーがあって、そのために素材を選んでいくこともありますが、本当に素晴らしい原料と出合って、それを生かすためにストーリーを考えていくこともあります。音楽からインスピレーションを得ることも、詩や文学、あるいは私が見た夢を、香りで表現することもあります」

―ジュリアンさんのあらゆる感性から自由自在に生まれているのですね。

「まさにその通り。常に実験的でいたいという思いがあるんです。それに、年を取るにつれて香水作りのアプローチも変わってきました。音楽家の初期の作品と後期の作品には変化があるように。フエギア 1833には80種類の香りがありますが、この中には最初に作ったものもあれば、先月出来上がったばかりのものもあります。でも、お客様がお店で手に取った時、それが最初のものなのか、新しいものなのかはわからない。コレクション全体の中からどういうふうに見て、どう選んでいただけるのかは、非常に興味深いことです」

 

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日本のフラッグシップ店は、六本木のグランド ハイアット 東京内に。ホテルのロビー空間を洗練の香りが包み込む。

―ジュリアンさんの作る香りには、植物への探求心や敬意が感じられますが、その思いはどういう環境で育まれたのでしょうか?

「私の生まれたアルゼンチンは南北に細長い国で、地域によって多様性があります。北には砂漠があり、南の方は南極に近い土地。その間にパンパと呼ばれる草原地帯や、パタゴニアもある。こういった国で自然に触れて育ったことが、私にいい影響をもたらしました。両親の私有地で、父を手伝って木の枝を切ったり、木についた苔をとったり。ハンターから逃げてきた動物たちを観察したりと、子ども時代に非常にわくわくする体験をすることができました」

―香りに興味を持ったのはどうしてですか?

「自分が持っているものを表現できる媒体として、何か新しいものはないか?と考え、探し当てたのが香りの世界です。私はもともと絵を描いたり、彫刻を作っていました。その後、音楽を作り、さらにはギターを作るようになりました。方法は異なれど、一連の中で私が表現したいことは同じだったんです。音楽や絵画よりももっと深く強力に相手に伝えたいという思いがありました。そして、香水という世界で、分子をいろいろな形で組み合わせることによってそれが表現できるのではないかという結論に至りました」

―嗅覚は人間の本能的な感覚であり、一方で、香りというのは分子で構成された理論的なものでもありますね。

「ええ。調香の時には、分子が物理的にどういう動きをするのかを考えなくてはいけません。原料によって抽出時の気圧のかけ方も違いますし、分子そのものの重量、気温や使う人の体温によって分子の動きも異なります。混ぜすぎて複雑にしすぎればいいというものではなく、ちょうどいいバランスを見つけて調合するというのが大切。そうやって洗練されたものを作っていくことこそが、調香なんです」

 

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ウルグアイに開設した「フエギア・ボタニー」では、100種を超える南米生育の植物を栽培、新たな原料の開発に取り組んでいる。

―天然香料にこだわる理由は?

「香りを肌に乗せたとき、その香りと、纏った人とがコミュニケーションできるようにするためです。たとえば天然のジャスミンには約300の分子が含まれているのに対し、合成のジャスミン香料だと14しかなく、天然の持つ深さや厚みはありません。複雑さがあるからこそ魂に訴え、記憶を呼び起こし、原料と会話ができるような力を持つのです」

 

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ミラノには調香から新作の開発、生産までを手がけるラボラトリーとファクトリーを構える。1,200種以上の原料と、天然原料に合わせてカスタマイズされた機械が揃い、ボトリングまでの全ての工程を自社で行う。

―ショップのインテリアには、どんなこだわりがありますか?

「ミラノの店舗は私が内装をデザインしました。それによって、空間と香りの双方から、訴えたいことに一貫性を持たせられるので。インテリアに日本の焼杉のように炭化させた杉を用い、お店の中央には八角形のカウンターがあります。お客さんはこの周りを歩いて、いろんな香りを試せるような造りになっているんです。天井に照明はなく、店内の明かりはボトルを下から照らすライトだけ。テーブルの上にボトルが浮かんでいるような演出です」

―本当に多才ですね! 次なるチャレンジは?

「ヴェネチアのサン ジョルジョ マッジョーレ島に、かつて900年代に修道院が手がけていた薬草園があるのですが、それを復興させ、ドルソドゥーロ地区に新しくオープンする店舗との間を電気ボートで結ぶというプロジェクトを予定しています。ショップの内装はもちろん、ボートのデザインも私が担当するんですよ!」

 

In store : Today LABERINTO(ラベリント) Collection : Literatura Family : Wood Keynote : 1.Patangonian Balsam 2.Vetiver 3. Sandalwood Price : Perfume 100ml ¥28.400- 30ml ¥14.900- Perfume Oil 15ml \12.100- (税抜価格) イタリアにラボとファクトリー、ショールームを構えるフエギア 1833。イタリアそして祖国アルゼンチンをつなぐ香りとして誕生したのが、敬愛する作家ボルヘスがイタリアで書いたと言われている作品、LABERINTOからインスパイアされた香り。 宇宙そして人の中にあるカオスを、幾つものディメンションで表現した、香りのラビリンス。 また、その香りを創るにあたり使われたもう一つの物語。ヴェニスが貿易で世界の中心であった頃、商人たちによって集められた世界中の薬草が密かに育てられていたSAN GIORGIO MAGGIORE教会。 その庭は、現在ボルヘスの名をかたどったラビリンスとなっています。 ボルヘスの世界は、このシークレットガーデンで育てられていたあらゆるノーブルな植物で再現され、永久に捉えることのできないフレグランスとなりました。 時をかけて向かい合うことを必要とする複雑な調香から誕生したLABERINTOの世界へようこそ。 #fueguia #fueguia1833 #borges #laberinto #nichefragrance #julianbedel @fueguia1833 @julianbedel

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BOUTIQUE FUEGUIA 1833

東京都港区六本木6-10-3 グランド ハイアット 東京 1Fロビー内
tel:03-3402-1833
営)11:00~20:00
www.fueguia.jp
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