板谷由夏に聞く、「色気」と「女性像」の理想形。

Beauty 2019.09.20

ファッションがシックな方向へとシフトチェンジするこの秋、ビューティはどんなイメージに向かうべき? その回答としてフィガロが提案するのが「新時代の色気」。本誌11月号では、フィガロの美のアンバサダーであるボーテスターたちと一緒に、さまざまな角度から、時代にフィットした色気のつくり方を紹介しています。

その特別編として、madameFIGARO.jpではボーテスターの板谷由夏にインタビュー。女優やモデルとしての活躍は言わずもがな。妻や母としての顔を持ちながら、自身のブランド「SINME」をプロデュースする彼女が考える、新時代の色気とは……?

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板谷由夏
女優
ドラマや映画、舞台、CM 、雑誌など幅広く活躍。帯ドラマ劇場「やすらぎの刻~道」(テレビ朝日系)出演のほか、WOWOW「映画工房」でMC 、TOKYO FM「COSMO POPS STATION」でラジオパーソナリティも。
Instagram:@yukaitaya

――今回、板谷さんが身に纏ったニナ リッチのセットアップ。メンズライクなシルエットの「凛」と、肌に溶け込むような柔らかいベージュの「艶」とが見事に共存していて、独特の存在感にはっとさせられました。

実は、ね。今シーズンの服って、実際に袖を通してみると、オーソドックスに見せかけて、どこか「意地悪」なの(笑)。ひと筋縄ではいかないというか、そう簡単には着させてくれないって感じなんです。たとえば、このセットアップも、そう。デザイナーの思い入れやこだわりがそこここにあって、それを探り探り、自分のほうから服に寄り添っていくことで、初めて似合わせることができる、というか。服と対話をしながら、「着やっつける」みたいな感覚が必要なのかもしれませんね。

――今シーズン、ファッションのトレンドは、ストリートやカジュアルなムードから、一気にエレガントな方向へとシフトしていますね。洋服を「着る」立場として、「創る」立場として、どのように感じていますか?

エレガントというより、トラディショナルでオーセンティック。いまの時代の「匂い」を感じさせながらも、基本のスタイルに戻る“バック トゥ ベーシック”という印象を持ちました。私自身、もともとトラッド志向で、今シーズンの「SINME」も、ジャケットやシャツなど、よりトラッドな方向に寄せた提案をしているんです。大人の女性が、あえてトラッドなものを身につけて、メンズライクな着こなしをすることで、色気があふれる気がするから。

――ちなみに、板谷さんが思う、理想の女性像って?

『男と女』(1966年)のアヌーク・エーメ。この映画を初めて観たのは、16~17歳の頃だったんですが、アヌーク演じるあの女性像にはっとさせられました。強いのに弱くて、格好いいのに色っぽくて。トレンチコートにパールネックレスを合わせた着こなしもとても印象的で、大人ってなんて素敵なんだろう、と……。いまもずっと、憧れています。

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クロード・ルルーシュ監督、ジャン=ルイ・トランティニャン共演のフランス映画『男と女』より。アヌーク・エーメのスタイルは時代を経ても色褪せることなく、魅力的。©1966 Les Films 13

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――ファッションが大きく変わったのと時を同じくして、女性像の理想形も「モテ」みたいなところから「媚びない芯の強さ」へとシフトしているのを感じます。

もちろん、「モテたい」とは思いますけどね(笑)。ただ、いまの時代、どうしたって女性が強いじゃないですか。「女性だから○○」とか「女性なのに○○」とか、女性であることが、ことさら強調されることが多い気がするんですよね。正直言うと、私はその言葉や主張から解き放たれて、もっと自由でいいのに、と思っているんです。「SINME」でも、次はユニセックスなものを創りたいと思っていて。たとえばユニセックスなシャツをどう着るかは、その人次第ですよね? 服も生き方も、女、男の境目なく、重ねてきたもの、背負っているもの、好奇心とか感動とか、全部ひっくるめて「その人」だと思うし、「その人らしさ」だと思う。それがすなわち、色気だと思うんですよね。フランスやイタリアのマダムって、年齢を重ね、経験を積んでいる人のほうが、若い人よりずっと格好よくて、色っぽいに決まってるじゃない? という価値観がありますよね。日本も、そうなるといいなあ、と思います。あっ、でも……! 若い人でも色っぽい人はいっぱいいますよね。自分の若い頃とは比較にならないくらい、惹きつけられる色気のある人が、たくさん……。考え方? 成熟度? 色気って、何だろう?

――板谷さんにとって、「新時代の色気」のために必要な条件って、何でしょう?

ほどよい日焼け感、健康的な身体、姿勢のよさ、そして、気持ちのいい歩き方。今年の夏は、例年に比べて雨が多かったからか、ある時ふと思ったんです。お日さまを浴びないと、なんだか元気じゃないな、って。もちろん、UVケアはきちんとしたうえで、太陽を浴びてほんのりと焼けたくらいの肌がいいと思ったんですよね。また、ストレッチをしたり体幹を鍛えたりと、適度な運動はきちんと行っています。健康的な身体をキープすることで、姿勢もよくなるし、気持ちよく歩くこともできる。身体が健康だと、肌も心も落ち込まない。すべてが繋がっていると思いますね。

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太陽を浴びる時には、UVケアもしっかり。左:メイクの上からも重ねられる。クリアスティック UVプロテクター SPF50+・PA++++ ¥3,024/SHISEIDO 右:紫外線を防ぎながら、口紅代わりにも。UVリップカラースプラッシュ SPF35・PA+++ ¥2,700/SHISEIDO

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スキンケアはシンプル派だが、オイル好き。ブライト効果もあるミスト式のフェイスオイルは、リビングや寝室など手の届きやすいところに置いておき、気になった時にすぐシュッとケア。ネクターブラン ウォーターオイル デュオ 50ml ¥4,320/メルヴィータ ジャポン

――「SINME」からこの秋、新たにブラックパールコレクションが誕生すると聞きました。

肌を美しく見せたり、女性を優しく見せたりする白パールは、もちろん大好きなんだけど、私はあえて、黒パールを創りたいとずっと思っていたんです。黒パールって、冒頭の「一筋縄ではいかない」みたいなところ、ありません? 「挑戦状」っていうのかな(笑)。いつの頃からか、黒パールは年齢を重ねたほうが似合うはず、自分はいくつになったら似合うだろう? とずっと思っていて。私自身、35歳の時に手に入れたひと粒の黒パールが、30代後半になって白シャツに合わせたらようやく「いけるじゃない?」と思えるようになったという経験があります。日本はどうしても冠婚葬祭のイメージがあるし、ホワイトパールほどメジャーではないけれど、ブラックパールは、黒い髪、黒い瞳の私たちに絶対にしっくりくるはず。それに、グレーもあれば、カーキもあって、表情がとても豊かで、色も形も、どれひとつとして同じ「顔」がないんです。ひと粒が生まれてくる神秘的なストーリーも大好き。ブラックパールには強さがあり、色っぽさもある。そういう意味で、まさに私が目指す女性像と重なる気がします。

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自身が手がけたブラックパールのピアス、リング、ブレスレットを纏った板谷さん。「SINME」とブラックパールのストーリーは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

ジャケット¥421,200、トップ¥96,120、パンツ¥170,640/以上ニナ リッチ(イザ) ピアス(左耳)¥172,800、ピアス(右耳)¥129,600、リング ¥194,400、ブレスレット ¥237,600/以上シンメ(チェルシーフィルムズ)

●問い合わせ先:
SHISEIDOお客様窓口 0120-587-289(フリーダイヤル)
メルヴィータジャポン tel:03-5210-5723
イザ(ニナ リッチ) 0120-135-015(フリーダイヤル)
チェルシーフィルムズ(シンメ) www.sinme.jp
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『男と女』製作50周年記念 デジタル・リマスター版
●監督/クロード・ルルーシュ
●出演/アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、ピエール・バルー
●1966年、フランス映画
●本編104分
●DVD¥4,212 Blu-ray¥5,184
販売:ハピネット
© 1966 Les Films 13

 

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※この記事に記載している価格は、2019年9月時点の8%の消費税を含んだ価格です。

photos:SODAI YOKOYAMA, stylisme:MIHOKO SAKAI, coiffure:MATSU KAZ (3rd), maquillage:AKIKO SAKAMOTO (3rd), interview et texte:CHITOSE MATSUMOTO

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