ビューティ 本音 de トーク! 美のプロが本音で語る、2019年の美容業界。

Beauty 2019.12.24

今年も残すところあとわずか。元号が令和となり、新たな時代の幕開けを感じさせた2019年のビューティを振り返って、印象に残ったこととは? 業界をつぶさに見続けるビューティビジネスプロデューサーの曽田啓子とビューティエディターの藤井優美、美容のプロふたりに語ってもらった。

 

――百花繚乱の2019年の美容業界。どんな1年だった?

曽田

スリー、アディクション、ジルスチュアート、シロ、コバコ、リファなど10周年を迎えるブランドが多く、更なる飛躍を期待するブランドがあるいっぽう、ブランドのクリエイターの交代、終了するブランドなど、大きなうねりがあり、ある意味節目の年だった感じですね。

藤井

確かに。2020年はオリンピックイヤー。本格的なグローバル化を迎えるのにあたり、ブランドのリスタート、リブランディングの姿勢が数多く見受けられました。

 

――スキンケアやエイジングケアのトレンドは?

藤井

今年の特徴は、シワ改善美容液のように悩みにフォーカスした「点」ケアと、肌の土台を底上げする「面」ケア。これが時代のニ大潮流だった印象。現に、シワ改善有効成分として承認された「ナイアシンアミド」を配合したシワ改善美容液は、カネボウ化粧品をはじめ、国産のさまざまなブランドから登場し、盛り上がりを見せました。

曽田

年明けすぐに「シワ改善」コスメの先駆者であるポーラが新たなシワ改善美容液を出すなど、2020年もこの盛り上がりは続きそう。

藤井

「面」ケアで象徴的だったのが、プレ美容液の台頭。ランコムの「ジェニフィック アドバンスト N」やクレ・ド・ポー ボーテの「ル・セラム」などは、肌の根本にアプローチし、土台から肌を立て直すことの大切さを訴えていましたが、「これこそ新時代のスキンケアの基本だな」と、とても共感しました。どちらも効果実感の高さから、今年のアワードを総なめしてましたね。

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左:ル・セラム 50ml ¥27,500/クレ・ド・ポー ボーテ 右:ジェニフィック アドバンスト N 30ml ¥11,000/ランコム

 

曽田

アルビオンの「フローラドリップ」やハッチの発酵液シリーズなど、“発酵”がひとつのキーワードになり、これまでのエイジングケアとは視線が変わったのも感じました。また、シャネルやゲラン、イヴ・サンローラン・ボーテ、コスメデコルテなどからクリームが続々と発売されたのも王道ケアの復権を感じさせました。

藤井

オールインワンコスメなどの時短コスメが廃れることは決してないとは思うけれど、今年は「丁寧なスキンケアが美肌を育む」というメッセージを含んだスキンケア=王道ケアが多かったのは納得です。

曽田

詰まるところエイジングケアは保湿が基本で、保湿ケアを万全にすることで肌そのものの機能が高められ、包括的なエイジングケアに繋がるということですよね。

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――メイクはリップが大豊作でしたが、そのなかで印象に残ったものは?

曽田

とにかく1ブランドが出すリップカラーのバリエーションがすごい! もはや定番と化したレッドリップのバリエは言うまでもなく、王道のヌード系からパープル系といったカラーまで、見ているだけでも楽しくなるほど。

藤井

レッド系、ベージュ系のリップバリエーションは圧巻でしたね。今年は、口紅タイプだけでなく、リキッドルージュがとにかく充実してました。

曽田

質感的にはやはりマットが主流。といっても、重たさや乾きはなく、なめらかで鮮やかに発色するものばかり。ここ数年のファッショントレンドの影響もあり、きちんと感が出るリップが求められているのでしょうね。RMKの「リップスティック コンフォート マットフィット」やナーズの「リップスティック」がそれを象徴するブランドと言えそう。

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左:リップスティック コンフォート マットフィット 05 ¥3,850/RMK Division 右:リップスティック 2975 ¥3,630/ナーズ

藤井

マットはマットでも“ルミナスマット”。つまり“輝きのあるマット”ともいうべき質感がトレンドになりました。何よりここまでマットリップが盛り上がったのは、「ひと塗りで肌も歯もきれいに見え、美人度がアップする」実力をみんなが体感したからだと思う。

曽田

新しいリップはとにかく色持ちもいいし、もたつき感もなく、ひと塗りできちんと感が出る。そこもウケたところなんでしょうね。

藤井

特にローラ メルシエの「ルージュ エッセンシャル シルキークリーム リップスティック 05」やシャネルの「ルージュ アリュール ヴェルヴェット エクストレム 130」のボルドー系は誰もがおしゃれに見える色。さらに、ディオールの「ルージュ ディオール ウルトラリキッド」やクレ・ド・ポー ボーテの「ルージュリキッドルミヌ マット」といったリキッドルージュもなめらかなマットの質感となり、高い注目を集めました。

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左:ルージュ エッセンシャル シルキー クリーム リップスティック 05 ¥3,960/ローラ メルシエ 右:ルージュ アリュール ヴェルヴェット エクストレム 130 ¥4,620/シャネル

曽田

独創的なイヴ・サンローラン・ボーテがまた新しいリップを発売するなど、来年もこの傾向は続き、2020年もリップ熱は盛り上がりそう

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――そのほか、気になったトピックはなんでしょうか?

曽田

ヤーマンの「メディリフト」など、美容ギアがとにかく充実した1年でした。パナソニックやリファのドライヤーは、たった1回使うだけでその髪の変化を感じるために、大きな話題となりましたね。

藤井

EMSで顔の筋肉にアプローチする「メディリフト」は一時売り切れ店続出とのこと! 美容に関して費用対効果を気にするこの時代、結果がきちんと出るものに関しては、やはり人気が出ますよね。

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メディリフト ¥27,500/ヤーマン

曽田

あと、サザビーリーグや江崎グリコ、キューサイなど、美容界への異業種参入が目立ちました。それぞれが持つ得意分野を生かした化粧品開発はとにかく納得させられるものが多かったです。

藤井

もはや美容は包括的。表面的に取り繕うだけでなく、インナーケア、健康も含めて“美容”になっている。だからこそ、今後も食品メーカーの美容界参入は増えそうですね。

 

――いよいよオリンピックイヤー。2020年の東京ビューティはどうなる?

曽田

伊勢丹 新宿店のビューティフロアのリニューアル、渋谷スクランブルスクエアなど、続々新店舗がオープンした2019年。伊勢丹 新宿店はビューティフロアが1階と2階のセパレート型、渋谷スクランブルスクエアは上層階(6階)に化粧品売場があり、動向に注目しています。2020年1月にオープン予定のアットコスメ 東京も楽しみ。美容も、よりグローバル化していくと思いますが、その分、熾烈も極めそう。

藤井

パーソナライズ化が深化し、“私に何をもたらしてくれるのか”がより求められるようになりそう。その分、メーカーもカウンセリングの充実を図ったり、AI技術を導入してより自分にマッチしたコスメを提案してくれるサービスが増えていくと思います。

 

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曽田啓子
ビューティビジネスプロデューサー

関西の百貨店にて長年化粧品バイヤーを務めたのち独立。現在、美容関連のプロデュースやコンサルティングなど、幅広く活躍。ブランドコスメからオーガニックコスメ、インナービューティまで、美容関連の動向に精通している。

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藤井優美
ビューティエディター

エステティシャンを経て、この道に入ること25年以上。新製品は絶えずチェックし、化粧品研究者、開発者、医師へ取材を行い、美容の“いま”を切り取った企画を数多く担当する。

●問い合わせ先:
クレ・ド・ポー ボーテ お客さま窓口 0120-86-1982(フリーダイヤル) www.cledepeau-beaute.com/jp
ランコム tel:03-6911-8151 www.lancome.jp
RMK Division 0120-988-271(フリーダイヤル) www.rmkrmk.com
ナーズ ジャパン 0120-356-686(フリーダイヤル) www.narscosmetics.jp
ローラ メルシエ ジャパン 0120-343-432(フリーダイヤル) www.lauramercierjapan.com
シャネル カスタマーケア 0120-525-519(フリーダイヤル) www.chanel.com
ヤーマン 0120-010-642(フリーダイヤル) www.ya-man.com

 

texte:YUUMI FUJII (dis-moi)

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