新しい時代は、未知の香りとともに 伝説の香りの、秘められた物語を知る。

Beauty 2021.05.31

名香には必ず、誕生にまつわるストーリーがある。名前しか知らなかったあのフレグランスが、色褪せることなく人々を惹きつける理由がそこに。

シャネル|N°5

タイムレスな輝きを放つ唯一無二の香り。

当時流行していた香水を、一瞬にして時代遅れにしたといわれるN°5。それは1921年、マドモアゼル シャネルの「女性そのものを感じさせる女性のための香りを」という願いから生まれた、ひとことで何の香りといえない世界初の「抽象的な」香り。甘ったるいネーミングではなくコードネームのようなその名前も、装飾を省いたミニマルなボトルも、すべてが革命的だった。「香水はキスしてほしいところにつけるべき」とも語っていたマドモアゼル シャネル。マリリン・モンローの「眠る時に纏うのは数滴のN°5」という言葉はあまりにも有名だけれど、永遠の女性らしさと官能性を体現するそのフレグランスは、100年を経たいまでも驚くほどモダンでスタイリッシュ。

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左:ジャスミンをはじめとするフローラルノートを際立たせながら、特定の香りと識別させることなく、透明感と軽さをもたらす。合成香料アルデヒドを採用したことも革新的。シャネル N°5 香水 7.5ml ¥16,500 右:繊細に煌めくローズ ドゥメやジャスミン。三代目専属調香師ジャックポルジュが生み出した、光と透明感。軽やかさに満ちたN°5。同 オー プルミエール 50ml ¥14,300/ともにシャネル

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ジバンシィ|ランテルディ

オードリー・ヘプバーンが愛した禁断の香水。

「お気に入りの香りだから、私以外は使っちゃダメ」。ジバンシィの創始者、ユベール・ド・ジバンシィの親友でもあり、メゾンのミューズでもあったオードリー・ヘプバーン。彼女が自分に捧げられた香りを市販してもよいかと聞かれ、そう叫んだことから「ランテルディ(禁止)」と名付けられた香水が世に発表されたのは、1957年のこと。スパイシーに幕を開け、やがてローズやジャスミンが訪れるエレガントな香調だった。そして2018年、この香りを大胆に刷新。相反するノートを融合させることで、禁断のものに挑む高揚感やスリルを味わい、日常や常識にとらわれない自由へと導くフレグランスへと仕上がった。

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エレガントなホワイトフラワーと、粗削りなベチバーやパチュリが共鳴する、大胆不敵なコントラストが印象的。パルファム ジバンシイ ランテルディ オーデパルファム 80ml ¥14,850/LVMHフレグランスブランズ

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ゲラン|ミツコ

すべての女性をミステリアスに仕立てる。

この香りが生まれた1919年当時、ヨーロッパはジャポニズムブームの真っただ中。ミツコとは3代目調香師ジャック・ゲランの友人、クロード・ファレールの人気小説『ラ・バタイユ』の主人公の名前だった。英国人将校と秘めた恋に落ちる日本人女性ミツコの、慎ましくも情熱的で凛とした風情は、ミステリアスで大胆なこの香りそのもの。激動の時代においても、その人ならではの女性像を描き出し、纏う人を“記憶に残る存在”にするミツコ。ダイアナ妃も愛したという傑作、とびきりモードなスタイルに合わせたら、きっとカッコいいに違いない。

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ジャスミンやローズ、ベチバーのシプレノートに、初めてまろやかなピーチを大胆にブレンド。アールヌーボー様式のボトルも優美。ミツコ 香水 30ml ¥44,000/ゲラン

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ディオール|ミス ディオール

フェミニニティと幸せ、愛を象徴。

1947年、クリスチャン・ディオールがニュールックでデビューし、一大センセーションを巻き起こした時、コレクション会場を満たしたのがミス ディオール。それは「デザインしたドレスがボトルから飛び出すような、すべての女性を完璧な女らしさで包み込む香り」だった。ミス ディオールとは、ムッシュ ディオールの妹カトリーヌのこと。まだ戦争の傷痕が残る当時、妹に、すべての女性に幸せと元気を、と考えたのだとか。ミス ディオールは愛と幸せの香り。オリジナルのシプレ調から、フローラルを際立たせた現代版となっても、その想いは変わらない。

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左:専属調香師フランソワ・ドゥマシーが伝統のシグネチャーを再解釈した、贅沢で洗練されたフローラル シプレの香調。ミス ディオール エクストレ ドゥ パルファン 15ml ¥29,700 右:甘すぎずフレッシュで繊細なフローラルの香りを、ふわりと髪に纏って。同 ヘア ミスト 30ml ¥4,950/ともにパルファン・クリスチャン・ディオール

※「フィガロジャポン」2021年6月号より抜粋

photos : TAKAKO NOEL, stylisme : YUUKA MARUYAMA (MAKIURA OFFICE), texte : KAORI TATSUMI, réalisation : SACHICO MAENO

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