知らないうちに骨盤底筋を傷める7つの日常動作とは?

Beauty 2021.06.22

一見無害に見える動作や身振りが、重要な筋肉である骨盤底筋(ペリネ)を傷める原因となることが...。詳しい解説とアドバイスを紹介する。

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毎日の生活の中でしている動作が会陰部を傷める原因に。photo:Getty Images

仕事場で、スポーツで、あるいはハンドバッグを持つ時に.....。知らず知らずのうちに私たちは骨盤底筋(ペリネ)に負担をかけている。パリで開業する運動療法士で骨盤・ペリネ専門医のジョエル・スフィールによれば、理由は単純。恥骨と肛門の間にある筋肉の集合であるペリネは、私たちが日常的な動作をするときに「常に荷重と闘い、絶え間なく圧力に耐えている」のだ。ペリネは常にいたわるべき存在なのに。それも、子どもの頃から。

ペリネは骨盤内の臓器を支える役目を果たす、身体の重要な部位。尿失禁や内臓が下がるといった問題が起きないためにも、この筋肉をカバーすることが大切だ。もうこれ以上ペリネにダメージを与えないために、日常的な動作について、ふたりの専門家が解説!

咳をする、くしゃみをする

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くしゃみもペリネにとっては打撃に。 photo : iStock

少し強く咳き込んだり、くしゃみをするだけでも、ペリネにとっては打撃になる。「横隔膜が圧迫され、腹圧が増すため、ペリネが上部から押されることになります。ペリネは腹部に強い圧力がかかるたびに収縮します。激しい咳をすると、かかる力は非常に大きくなります」とスフィールは説明する。

次に咳の発作が襲ったときは、「ペリネを収縮させてショックを吸収し、それから弛緩させる」ようにするといいとスフィールはアドバイスする。深呼吸をしながらこの動作を正しく行えば、負担を軽減できる。

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座る時の姿勢

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座る時は椅子の端に腰掛けよう。 photo : iStock

パソコン画面にかじりついて、悪い姿勢でオフィスの椅子に座っている人は多い。「だらしない姿勢で座っていると、両肩が骨盤に近づき、腹部の内臓が前方と下方に押しつけられます。背中を丸めていると、横隔膜とペリネがほとんど動かなくなってしまいます」と説明するのは医師でヨガ講師のベルナデット・ドゥ・ガスケだ。

解決策は? 背もたれに背中をつけず、肘を前に出し、椅子の端に腰掛けること。「四六時中、重力に対抗し続けるのは無理。内臓が下がらないように正しい姿勢で座ることが大切です。座ったままペリネを鍛えるには、無理にブロックしようとせずにペリネを収縮させ、それから息を吐きます。収縮させるときに、横隔膜とともにペリネを上に持ち上げるような気持ちで、息を吐きます」とガスケは説明する。

ハンドバッグや買い物袋の持ち方、子どもの抱っこのし方

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ものを持つ時にペリネを傷つけてしまうことも。 photo : iStock

ものを持つ時の姿勢が悪いと、腰を痛める原因になるだけでなく、ペリネにもよくない。気をつけたいのは、本を何冊も持ったり、子どもを抱えたり、買い物袋を持つとき。「重いものを持つときなど、腹部に強い圧迫がかかると、ペリネにとって大きな負担になります」と運動療法士のスフィールは言う。

負荷をかけないためには、子どもを身体の前で抱っこするより、腰抱っこがおすすめ。バッグを持つときも同じだ。「負荷を分散させ、ペリネ部を守るために、バッグは手で持ったり、肩に直接掛けるより、斜めがけに」とガスケはアドバイスする。

床のものを拾う

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下に落ちたものを拾う時は片方の前腕を膝にのせて屈もう。 photo : iStock

「身体を折り曲げる動作はよくありません。起き上がるときに、背中を丸めて、お腹とペリネに力を入れて上体を持ち上げることになるからです」とガスケは注意を促す。また「腰椎にも負荷がかかります」とスフィール。

床に落ちたものを拾うときは、膝を曲げ、片方の前腕を腿にのせて屈むように、とガスケは言う。リュックサックを背負っているイメージで背中はまっすぐにしたまま、お尻を前方に押し出すように起き上がる。

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ジョギング

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ジョギングの着地の衝撃により、ペリネには体重の4倍の力がかかるという。 photo : iStock

あらゆるスポーツ同様、ランニングには多くのメリットがあるが、「走るときの着地の衝撃によって、体重の4倍の力がペリネに加わります」とスフィールは言う。体重が重い人ほど、かかる負担は大きい。医師でヨガ講師のガスケによると「トランポリンと同様に、ランニングでも尿漏れが起こることがあります」。

ではジョギングはやめるべきだろうか? 運動療法士のスフィールは「過度に長時間・長距離のランニングは控え、ペリネにだるさを感じたり、尿漏れの症状があったらランニングは中止して、医者に相談に行くように」とすすめる。

高い場所にあるものを取る

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手を伸ばして上のものを取るときも要注意。 photo : iStock

キッチンの棚の上段にあるパスタを取る、こんな何でもない動作も、やり方を間違うとペリネにダメージを与えることが。「腕を上げるときに上体を反らすと、腹部の内臓が、筋肉のない膣の前方部分におりてきてしまう」とガスケは説明する。

この動作を安全に行うためのポイントは、「骨盤を固定し、腰を動かさずに、肩からの動きで腕を上げることです」

ベルナデット・ドゥ・ガスケのアドバイス
助産師や専門の医師のもとで、一度は、ペリネの検診を受けましょう。
ペリネの状態を把握するためには、膣エクササイズ用のゲイシャボールを活用しても。膣の中にボールを入れ、ボールを外に押し出すように意識します。

 

腹筋運動

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 腹筋運動の際は、ペリネを傷つけないためにも呼吸を意識しよう。 photo : iStock

ガスケによれば、仰向けの姿勢で上体を持ち上げるクランチは「ペリネを傷め、腹筋が離開する」原因だ。クランチだけでなく、腹筋群を鍛えるトレーニングはどれもペリネを損なうリスクを伴う。

「スポーツジムでトレーニングをする人を見ていると、エクササイズのペースが速すぎる傾向があります。自分の自然な呼吸のリズムを尊重していません。ペリネに過度の圧力をかけないためには、上体を折るときに息を吐くことを意識できるよう、エクササイズをゆっくり行うのが大切です。腹部にかかる圧力は呼吸を吐くときに最も小さくなります」と運動療法士のスフィールは説明する。ペリネを傷めずに腹筋を鍛える簡単なエクササイズはこちらを参考に

*2019年5月の掲載記事を改訂し再掲載しています。

text:Mélodie Castan (madame.lefigaro.fr)

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