産後の身体について知っておくべき15のこと。

Beauty 2021.08.10

妊娠中のつらさや不便さは何かと話題に上るが、その後のことはあまり語られない。歩行困難、強い疲労感、尿もれ......。3人の専門家がずばり解説。

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歩行困難、強い疲労感、尿もれ......。3人の専門家が解説。photo:Getty Images

出産後の数週間あるいは数カ月にわたる「産褥期」と呼ばれる心身の大激動期について語るのは、いまだにはばかられるムードがあるが、数年ほど前から、そのタブーを破る声が上がっている。マタニティの大変さを広く理解してもらう意味でグッドニュースだが、それぞれの現象については、よく知られていないものも多い。3人の専門家がそんな疑問に丁寧に回答する。

1. 産褥期はいつ始まって、いつ終わる?

純粋に医学的な面から言えば、産褥期とは分娩室で胎盤が排出された時から、出産後の最初の月経までの期間を指す。「短い人で6週間、なかには2カ月近く続く人もいます」と話すのは、婦人科医で『女性たちの性のライフサイクル』(1)の著者であるアンヌ・ドゥ・ケルヴァスドゥエだ。

「個人差はありますが、実際にはそれより長いことも多い」と、助産師で『夢の産褥期』(2)の著者で、テレビ局フランス5の育児番組「母たちの家」にレギュラー出演するアンナ・ロワは付け加える。「出産から3年後まで、身体のさまざまな部分に影響が出る可能性があります」

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2. 帝王切開で出産すると、産後の肥立ちが悪くなる?

帝王切開は赤ちゃんを取り出すために母体の下腹部を切開する。「経膣分娩とは違って、帝王切開はれっきとした外科手術です。多くの場合全身麻酔を必要としますし、傷口が癒着するまで経過観察も欠かせません」とドゥ・ケルヴァスドゥエは言う。

だからといって産後の体力回復に、普通より時間がかかると断言することはできない、とロワ。「経膣分娩でも、鉗子分娩や会陰切開を行った人のほうが、産褥が長引く可能性があります」

ただし多くの場合、帝王切開を受けた人のほうが痛みは強いとロワは強調する。「患者は分娩後6時間横になっていなければなりません。尿道カテーテルを挿入する場合もあります」とロワは解説する。「開腹手術を受けたとはいえ、その後は静脈炎や肺塞栓症のリスクを避けるために起き上がらなければなりません

会陰切開や裂傷、あるいはどんな外科手術後の傷口にもいえることだが、身体をしっかり回復させるために、しゃがんだり立ち上がったりする時には十分に注意し、重いものは持たないように、歩く時も自分の身体に耳を傾け、痛みを感じたらすぐに立ち止まるように、とロワはアドバイスする。

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3. 後陣痛と呼ばれる産後の子宮収縮は、分娩時の陣痛と同じくらい痛い?

そういう場合もあるが、「分娩時に誰もが経験する子宮収縮に伴う痛みと違って、後陣痛の痛み人によっても、出産の状況によっても違います」とロワ。とはいえ軽視するわけにはいかない、と彼女は強調する。消炎鎮痛剤などで痛みを軽減する治療手段はある。

4. 授乳のときはどんな感じ? 大変?

これについても感じ方は人それぞれ。「特に支障なく授乳でき、幸せいっぱいという人もいれば、つらい痛みを伴うという人もいます」とロワは語る。

妊娠中には黄体刺激ホルモンの影響で乳房が膨らむが、分娩直後からこのホルモンが大量に放出される。「この乳腺への刺激で、乳房が張ります」とドゥ・ケルヴァスドゥエは指摘する。「乳房に母乳がぱんぱんに溜まった状態になると、おっぱいが吸いにくいため、赤ちゃんは乳首に強く吸い付きます」

乳頭に亀裂が生じることもある。「赤ちゃんの舌小帯が長い、授乳の姿勢が適切でない、肌が弱いなど、原因はさまざま」とロワ。「また頻繁に授乳を行うことで、傷口の治癒が遅くなります。その場合は医師に相談して、痛みを和らげる専用のケアクリームを処方してもらいましょう」

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5. 体力回復のためには何を食べたらいい?

出産は母体にとって相当に体力を消耗する行為だが、産褥期に入っても疲労は蓄積する一方だ。この時期はとくに赤ちゃんへの夜の授乳で睡眠が中断されたり、睡眠サイクルが乱れがち。

赤ちゃんの面倒はパートナーや家族と交代で見るようにする必要があるが、疲れた身体の燃料補給にはバランスのとれた食事をたっぷり摂ることも欠かせない。「分娩時に多量の血液が失われていますから、肉類など、鉄分の豊富なタンパク質を」とドゥ・ケルヴァスドゥエは指摘する。「一緒にビタミン豊富な野菜と果物、カルシウム源となる乳製品も摂りましょう」

6. 出産直後の時期のシャワーや入浴はどうすればいい?

裂傷や傷口、縫合痕は丁寧に洗うこと。「二次感染を起こすケースも多い」と、ロワは注意を促す。傷口は水と抗菌石鹸で洗うのがベスト。「1日2回、特に排泄後に洗浄を」

婦人科医のドゥ・ケルヴァスドゥエによると、出産後しばらくは湯船につかるのは控えたほうがいい。「浴槽が清潔でない場合、粘膜や子宮頸部、帝王切開後の傷痕で感染が起きやすくなります。プールや海での水浴に関しては、出産後3週間は控えましょう」とロワは言い添える。

シャワーを浴びた後は、タオルでやさしく身体に残った水分をふき取る。「ドライヤーを利用する人もいますが、ほどほどに。ドライヤーの熱で縫合糸がひきつることがあります」とロワは注意を促す。

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7. 出産後の排便時に傷が開いたりしない?

「天に誓って、排便で傷口が開いたり、会陰切開創や裂傷を縫合した糸が解けたりすることはありません」とロワは断言する。ただ、出産による体調の乱れから便秘がちになりやすい。あまり力を入れて踏ん張ると痔を発症しかねない。「排便時に必要以上にいきむのは避けて、むしろお通じをよくするために、食物繊維を多く摂り、身体を動かすことを心がけ、効き目の穏やかな緩下剤を利用するようにしましょう」とドゥ・ケルヴァスドゥエは勧める。

こうした問題は、自然におさまるのを待つしかないが(助産師によると、一般的に出産後3週間が目安)、炎症を緩和するためにはこんなコツもある。「生理用ナプキンをカットして水に浸した後、冷凍庫で冷やし、炎症を起こしている患部に当たるようにショーツの上から貼ります」とロワは解説する。「とくに外出時などは、水分が漏れないように、通常のショーツと生理用のショーツを重ねて履き、冷やしたナプキンを間に挟むようにするといいでしょう。」

 

 

コメディアンで人気ユーチューバーのジュリエット・カッツは、妊娠、出産、産褥期の姿をアップして共感をよんでいる。この投稿のタイトルは「産褥期、グラマラスでエレガントな時間」。

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8. 出産後数週間は必ず産褥パッドを使うべき?

出産後の悩みのなかでも尿漏れや便漏れの話題はいまだにタブー視されている。ホルモンの影響や赤ちゃんが通過する際にペリネ(骨盤底筋)の筋線維が伸びることが原因。とはいえ産褥パッドは必ずしも必要ではないとロワは言う。「便利だという人もいますが、気持ちの問題や自己イメージの点では、産褥パッドより生理用ナプキンがいいでしょう。多い日用のナプキンで、エアスルーフィルムやブルーの吸収剤が使われていないものを選びましょう」

9. ペリネのリハビリは出産後すぐに始めるべき?

運動療法士でフランス骨盤底・ペリネのリハビリ協会科学評議会代表を務めるシルヴィ・ビルコクが前回の記事でマダム・フィガロに語っていたように、ペリネ(骨盤底筋)のリハビリは必須というわけではない。「リハビリを行うよう指示されるのは、膣のゆるみや子宮下垂などの解剖学的障害が見られる場合や、尿もれや肛門のゆるみといったトラブルがある場合」とビルコク。ちなみに産後にみられる排尿障害の85%は3カ月で自然に解消し、軽度の子宮下垂では75%は自覚症状もないという。

とはいうものの、ペリネのリハビリが出産後の日常生活に及ぼす影響は無視できないとロワは言う。「咳をしたり、重いものを持ったり、あるいは走るときに、知らず知らずのうちにダメージを与えています」と助産師は強調する。「それらを意識し、ペリネを保護するためにも、妊娠の計画の有無にかかわらず、一度検診を受けておくといいでしょう。リハビリの必要があるかどうかも判別できます。産後健診では、分娩後6週間を目安にリハビリの要否を判断します」

10. 必ず脱毛がおこる?

残念ながら、答えはイエス。「妊娠中は髪の毛が抜けにくくなりますが、出産後にホルモンの分泌量が減少すると必然的に抜け毛のプロセスが再開します。抜け毛の量がかなり多くなることもあります」と助産師は語る。この現象は一時的なものなので安心してほしい。それでも抜け毛が長期化する場合は、助産師やかかりつけ医、皮膚科医を受診しよう。

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11. 分娩後のママのお腹はどうなる?

いまや赤ちゃんは揺りかごの中。なのにお腹はまだぽっこり。なかなかたるみが元に戻らない。「まるでしぼんだボールのよう」と婦人科医のドゥ・ケルヴァスドゥエは例える。

これは、いたって普通の現象だと助産師のロワは言う。「まだ妊娠7カ月目かと思うようなお腹ですが仕方ありません。子宮はまだスイカ並みの大きさなのです」とロワは説明する。「すべてが元どおりになるまでは忍耐あるのみ。子宮は妊娠中に9カ月かけて大きくなったわけですが、完全に収縮するにはそれ以上の時間がかかることもあります。これは子宮だけのせいではありません。体内に溜まっている余分な水分や、妊娠中についてしまった脂肪が原因になっていることもあります」

 

 

妊娠中と産後の身体を並べて投稿した女優のルイーズ・シャバ。

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12. 出産後数日から数週間は性器周辺に痛みが生じる?

必ずしもそういうわけではない。妊娠中はホルモンの影響で外陰部と膣が腫れたり、血流が増大することで色が変わったりすることがある。出産によってよけいに違和感を感じたり、会陰切開をした場合や裂傷がある場合は、痛みがさらに強くなることもある。「出産後は自分の身体に対して居心地の悪さを感じるものです」とロワは話す。「こうした不快感が様々な強度の痛みという形で表面化することがあります。痛みが長期化する場合はとくに、95%が心理的な問題ではなく、気づかないうちに真菌症を起こしていたとか、傷痕のしこりといったような生理的な問題が原因です」

13. セックスライフはいつごろ再開できる?

出産後数日から数週間は、子宮頸部が閉じるまで出血が続く。滞りなく経膣分娩で出産した場合は、出血が止まったらセックスライフを再開できる。「この間セックスを控えるのは、感染症のリスクを排除するためです」と、前回の記事でポール・ロワイヤル産院に勤務する助産師のナタリー・ペリヤは解説していた。ただし帝王切開や会陰切開で出産した場合、裂傷の程度によっては、この期間がさらに長くなる。縫合部の傷が完全に治癒するまでは控えたほうがいい。

「出産後3カ月経つ頃には、カップルのうち半数が性交渉を再開していますが、これはノルマではありませんし、挿入しなくては、というわけでもありません」とロワは強調する。「大切なのは自分自身がセックスをしたいと感じているかどうか。そしてパートナーとの話し合いです」

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14. 授乳はよい避妊法?

「完全母乳育児を行う場合、出産後3カ月間は避妊効果があるとされていますが、それ以上は期待できません」と婦人科医のドゥ・ケルヴァスドゥエは言う。この自然な避妊法は授乳性無月経法と呼ばれている。助産師のロワはその確実性に関してより慎重な姿勢を示している。「授乳に避妊効果があるのは間違いありませんが、確実性はコンドームの10分の1です。この方法を選択して、図らずも妊娠した患者をたくさん見ています」

15. 産後うつとマタニティブルーはどう違う?

産褥期はホルモンバランスの激変で情緒不安定になりやすく、女性にとってつらい期間だ。「60~80%が出産後3日間に一過性のマタニティブルーを経験します」と、ソルボンヌ大学病院周産期精神科科長を務める精神科医のリュシー・ジョリは言う。「マタニティブルーの症状としては、疲労、イライラ、過敏症、自分の母親としての能力への不信感などが挙げられます」

こうした症状が数週間続き、気分の落ち込みが悪化する場合に、産後うつが疑われる。「患者の15~20%に見られる出産後トラブルのひとつで、自殺願望を抱くまで追い詰められてしまうこともある」とジョリは注意を促す。「産後に抑うつ状態に陥った女性たちには、表情や身振りの欠如や赤ちゃんとの相互関係の不在といった傾向が見られます」とドゥ・ケルヴァスドゥエは指摘する。「後々、子どもの成長過程で、愛着障害や発達障害などの問題を引き起こす可能性もあります」

産後うつの発症を見逃さないために、医師たちが考慮するリスク要因がいくつかある。「若年齢での出産、分娩時のトラウマ体験、ひとり育児」と精神分析医は例を挙げる。「インターネットで簡単にできる」早期発見ツールもあるとロワはアドバイスする。「“EPDS(エジンバラ産後うつ病質問票)”と呼ばれるスクリーニング票で、母親に10個の質問に答えてもらって精神状態を評価するものです」

text:Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)

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