ブラジャーをやめると、胸が垂れるって本当?
Beauty 2021.08.12
ブラジャーには胸を支える役割がある。休日はブラジャーを外す、あるいは金輪際つけないと決心するのはいいが、腰痛や胸が垂れるリスクはないのだろうか? 専門家の回答を紹介する。
ブラをやめると、腰痛やバストが下がる原因に? 嘘? ほんと? photo:Getty Images
ロックダウン期間中、ブラジャーをしないことで、これまでにない開放感を味わった女性たちがいた。フランス世論研究所(Ifop)が2020年7月に実施した調査によると、アンケートに参加した25歳以下の女性のうち“ノーブラ”支持者は18%に上った。これはロックダウン前に比べて4倍の数字だ。
2020年3月(編集部注:フランスの1度目のロックダウン開始時)より前からノーブラ派だった人はともかく、多くの女性は、胸が解放されて快適だと思う一方で、疑問も抱いているようだ。
ブラジャーは「胸を支える」ためのものである以上、それをやめたら腰痛になったりしないだろうか? 胸が大きい人はどうなのだろうか? 胸が垂れてしまわないだろうか?
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胸の重さ
実際、胸が大きい人にはやや不利なようだ。乳房は脂肪と乳腺から成る器官で、重量もある。「胸が大きい人や豊胸インプラントをしている人は前屈みになり、肩が前方に出やすくなります。そのため筋肉が引っ張られて、強張りが生じます」と、医師でヨガ講師のベルナデット・ドゥ・ガスケ(1)は強調する。上体を起こそうとして背中に力が入るため、こうした女性たちの場合は、ノーブラで1日過ごしただけで身体のあちこちがこってしまうこともある。
それではやはりブラジャーをつけないと必ず腰痛や肩こりになるのかというと、そう断言はできない、というのは、人間工学研究者で姿勢矯正医のオリヴィエ・ジラール(2)。というのも、腰や肩の痛みには「腰を使うあらゆる動作、姿勢、筋肉の状態など」多くの要因が関わっているからだ。「普段から姿勢が悪いと、ブラジャーをつけるつけないに関わらず、痛みが生じやすくなります」とジーラルは注意を促す。
背中の筋肉、とくに下部僧帽筋が支えられる重量よりも乳房が重いと痛みが生じる。身体の前側にかかる胸の重さを背中の方へ分散させる、そもそもそれがブラジャーの役割だ。「ただ、この筋肉が充分に鍛えられていれば、ブラジャーなしでも痛みに悩まされることはありません」とジラールは言う。
ブラジャーをやめると決意したら、エクササイズを行って僧帽筋の健康を維持してほしいと専門家はアドバイスする。もし痛みが出てもブラジャーをつければ緩和される。それでも筋肉トレーニングは続けたほうがいいだろう。
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重力、肌の質、ボリューム
ノーブラ生活を続けるうちに、胸は垂れてしまう? これはどうしようもない。「重力の作用がありますから、乳房は重ければ重いほど、下に引っ張られます」とドゥ・ガスケは強調する。
ブラジャーは基本的に胸の重さを支えるためのもの。だが胸が垂れる原因は乳房のボリュームだけではなく、いくつもの要素が関与している。
まずは、胸を支える肌の状態、さらには年齢。「肌の保湿は重要です」と美容整形外科医のヤエル・ベルダは言う。「若い皮膚には張りがあります。年齢を重ねると皮膚は薄くなるので、ブラジャーをつけないと胸が垂れやすくなります」。さらに、遺伝体質や妊娠などの乳房のボリュームが増す出来事、授乳経験の有無も要因となる。
重力や年齢の影響に備えて、バストアップのために、胸筋のトレーニングを取り入れる女性たちもいる。ベルダによれば、あまり効果はないと言う。理由は単純だ。「胸筋は胸を支える役割を担っていません。乳房と胸筋はまったく別ものです。解剖学的にそれぞれ別の構造に属しています」
(1)Bernadette de Gasquet著『Pour en finir avec le mal de dos』Albin Michel出版刊。
(2)Olivier Girard著『Plein le dos! Le manuel de la posture』Favre出版刊。
text:Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr)