砂糖で腸にカビが生える!? 腸内環境悪化を防ぐには?

Beauty 2021.09.21

桐村里紗

人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」を提唱する桐村里紗先生が、新著『腸と森の「土」を育てる〜微生物が健康にする人と環境』を刊行。今回は書籍の中でも紹介している、糖質と腸のカビ「腸管カンジダ」の関係性についてお話しします。


スイーツ好きな皆さんには耳が痛いかも知れませんが、甘いものを日常的に摂っていると、腸にカビが増えて不調を引き起こしてしまう可能性があるんです。

そのダルさ、その頭のモヤモヤ、その止まらない食欲……実は、腸管カンジダのせいかもしれません。

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photo:iStock

カンジダは、私たちの腸や皮膚、膣などの粘膜のほか、家の中どこにでもいるおとなしい酵母カビです。女性であれば、「免疫が弱ると膣カンジダ症になる」というのは知っているかも。

誰の腸の中にも暮らしているカンジダですが、エサである糖質を与えすぎると豹変し、鋭く尖った型に変化して病原性を発揮します。
そして腸を腐敗させるタイプの腸内細菌が暮らしやすい環境を作ってしまい、腸内環境の治安を悪化させる張本人になります。

腸内でカンジダが増えているかどうかは、「有機酸検査」という自費の尿検査でわかるのですが、いま、腸管カンジダが増えている人は稀ではありません。
そんな人は大抵「甘いもの大好き」「炭水化物大好き」な、糖質に偏った食生活をしています。
カンジダは、糖をエサにしてお酒を作る酵母カビの一種なので、砂糖や果糖などの精製糖や炭水化物などの糖質を補給すると、喜んで増えていきます。

カンジダが増えると、その分泌物が人体に吸収されて、全身に悪影響を与えます。具体的には

● 腸内環境を悪化させる
● 腸の壁に穴を開け、炎症を起こす(リーキーガット症候群:腸漏れ症候群)
● エネルギー欠乏を引き起こす
● 低血糖を引き起こす
● 食欲をアップさせる
● 重要な代謝を阻害し、全身に影響を与える
  ※脳内ホルモン( ドーパミン・セロトニンなど)の合成、ホルモンの合成、免疫機能の維持、遺伝子の調整、DNA/RNAの合成、解毒機能の維持など

なんだか身体がだるくて、異常に疲れやすい。
やる気が出ず、集中力がない。
頭がぼーっとして脳にモヤがかかったような感じがする。
渇望するように甘いものがほしい。
などの訴えがあり、スイーツラバーであれば、まず腸管カンジダを疑ってほしいところです。

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photo:iStock

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カンジダが増えるNGな食生活は、糖質!
特に悪いのが、精製された白砂糖(ショ糖)。
そして、コーンなどから製造される果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)は、安価で大量生産が可能なため、多くの食品や菓子類、飲料、加工食品に含まれています。
果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)は、日本ではスーパーマーケットに並ぶ多くの食品、さらに「健康補助食品」「栄養機能食品」など、いかにも「ヘルシー」っぽいイメージのある食品や美容ドリンクなどにも含まれています。
「騙された!」とならないためにも、原材料をしっかり見て購入するという習慣を身につけてください。

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photo:iStock

これらの糖質は、原料を製造する過程で農薬や化学肥料を使い、単一作物を栽培する農法(モノカルチャー)によって生産され、農業由来の環境破壊の原因にもなっていますから、人と地球の両方を病気にすると考えた方がよく、プラネタリーヘルス的には最もNGな食べ物の一種です。

精製された糖質は、栄養素の多様性を失い、糖の悪い作用が前面に発揮される、ある種のドラッグととらえた方がいいと思います。
では、未精製の黒糖などであればよいのかといえば、糖質は同様に含まれていますから、同じく食べすぎには注意したいところです。

次回は、カンジダを増やさないための糖質の選び方をお伝えします。
我が家には、砂糖はありません。その代わりにあるものとは……?

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もっと詳しく知りたい方はこちら!

自分と地球を一体とした健康、「プラネタリーヘルス」の実践的な方法を紹介する一冊です。

『腸と森の「土」を育てる〜微生物が健康にする人と環境』(¥1,012 光文社新書刊)

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桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

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