リンダ・エヴァンジェリスタ、痩身施術による副作用の悪夢を語る。
Beauty 2022.02.17
元祖スーパーモデルで現在56歳のリンダ・エヴァンジェリスタは、昨年の秋、痩身施術であるクールスカルプティングの稀な副作用によって、逆に脂肪細胞が増加してしまい、奇異性脂肪過多症(PAH:局所的に脂肪が固まってしまう症状)を発症したことを公表し、世間を驚かせた。
2015年以降、公の場に姿を見せなくなったリンダは、人知れず後遺症と戦っていた。「永久に変形し、無残な姿になってしまった」ため、何年も引き籠って過ごしたというが、前を向いて進むために訴訟を決意。「もう逃げない」と最新号「People」ではインタビューに応じ、施術の後遺症による精神的、肉体的苦痛について改めて語っている。
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「かつてはキャットウォークが大好きでしたが、いまの私は、知っている人に遭遇することを恐れています。ですが、私はもうこんな風に隠れて恥をかきながら生きることはできません。これ以上、苦しみながら生きていたくはないので、最終的に公表することにしました」
クールスカルプティングの施術から3ヶ月後、リンダはあご、太もも、ブラジャーの周りに膨らみがあることに気づいた。脂肪を除去したいと思っていた部分が大きく硬くなり、突然しびれるようになったという。
「何か間違ったことをしたのかと思って、自分でなんとかしようとしました。食事をとれなくなり、気が狂うかと思ったほどです」
そして2016年6月、医師に相談した。
「私は彼の前でローブを落としました。そして、『私は食べていません。むしろ飢えています。私は何を間違えたのでしょう?』と吠えるように訴えたのです。PAHと診断されたときは、『一体何なの?』と思ったものです。そして、いくらダイエットしても運動しても、治らないと宣告されたのです」
PAHは、クールスカルプティング患者の1%未満に影響する副作用だとされており、凍結させるプロセスによって脂肪組織が厚くなり、膨張した状態になる症状である。
リンダは、補正するための脂肪吸引施術を2回受けた。ゼルティック社からは、秘密を保持することを条件に費用を支払うという申し出があったが、リンダは断った。PAHの再発を防ぐために、8週間、圧迫衣、ガードル、あご紐を着用したが、それでも再発を防ぐことはできなかった。
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「少しも良くならなかったわ。突起状の膨らみは硬く、ドレスを着てガードルなしで歩くと、血が出そうなほど擦れます。柔らかい脂肪が擦れるのではなく、硬い脂肪が擦れる感じです」
さらに、「腕を横に平らに置くことができなくなった」ため、姿勢にも影響が出たという。
「デザイナーは、身体から突き出ているものがある私に服を着せたいとは思わないでしょうね。私は鏡を見ていません。(そこにある姿が)私らしくないからです」
リンダは、自分らしさを取り戻すために、自らのストーリーをシェアした上で、訴訟を公にすることに決めたと主張する。
「自分自身の恥を脱ぎ捨てて、私と同じ状況にある人たちを助けることができればと思っています。それが私の最終目標。もう隠れるつもりはありません」
photography: AP/AFLO, text: Eriko Kiryuin