地球の汚れは、子宮の汚れ。体内に残留する化学物質の実態とは?

Beauty 2022.03.24

桐村里紗

3月8日の国際女性デーから発展して、3月は女性史月間です。
普段からプラネタリーヘルスについてお伝えしていますが、地球の健康のためには、女性が元気じゃなくっちゃね!ということで、今日は、女性の健康と地球の健康について考えてみたいと思います。

220317-01-iStock-1205458571.jpg

photo: iStock

とてもショッキングなニュースがあります。
お母さんが胎内の赤ちゃんに栄養を送る臍帯血を調べたら、何と287種類の化学物質が検出されたと、アメリカの環境ワーキンググループから報告されています。

その中には、ダイオキシンや農薬、水銀、それにファストフードパッケージ、衣類、フライパンなどからの染色剤や、水や油を弾くために使われてきた残留毒性のある化学物質など、さまざまな環境毒が含まれていました。これらは、私たちが日常生活で、何気なく呼吸をしたり、食べたり、飲んだりすることで取り入れているものです。

そのうち発がん性があるものは、180種類。脳や神経毒性があるものは、217種類、先天性障害性があるものは、208種類だったとのこと。
※“Body Burden: The Pollution in Newborns.” Environmental Working Group, July 14, 2005

220317-02-iStock-1297623026.jpg

photo: iStock

環境の汚染によって、女性の体内に環境毒が入ることで、臍帯血を通して、赤ちゃんは生まれる前からその毒に曝されてしまうのです。
まだまだ発達段階の未熟な胎児は、脳を含む重要な臓器に悪影響を受けやすくなります。
当然、環境毒は女性の身体に対しても、内分泌の撹乱や神経毒性、免疫系の異常などさまざまな影響を与える可能性があります。

---fadeinpager---

妊娠した後から気を配っても、残留性のあるものはすでに日常的に体内に蓄積しています。
そして、どんなに気をつけても、私たちは化学物質に囲まれて生きているので、避け切れません。
アメリカでは、なんと75,000種類もの化学物質の製造や輸入が行われているそうです。
研究グループは、検査上の限界があり調べきれなかったものの、本当は287種類なんて数では済まないはずだと語っています。
日本も例外ではありません。
私たちが実践しているバイオロジカル医療のグループでは、尿検査で化学物質を調べます。
実際に日本で検査をしても、ダイオキシンや農薬、プラスチック製品から溶け出すフタル酸エステル、壁紙や家具から発生するホルムアルデヒド、大型の魚や玄米などに蓄積している重金属など、さまざまな環境毒が検出されています。

220317-03-iStock-642036060.jpg

photo: iStock

地球の健康と女性の健康、そして妊娠出産、赤ちゃんの人生は密接に関連しています。
地球環境が汚染されて、身の回りに化学物質があふれるいま、これらをなるべく避けながら、地球に目を向けて、自分のためにも将来生まれる赤ちゃんのためにも良くしていきたいと思うのです。

次回は、環境毒の具体的な避け方や、ケミカルフリーのより良い選択についてお伝えします。

text: Lisa Kirimura

桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリとバレエとオペラ座と
世界は愉快

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories