昆虫プロテインは、未来型スーパーフード?
Beauty 2022.10.29
桐村里紗
地球のことを考えると、どうやらこのまま肉食を続けていくことはできなさそう。
高感度な人たちは、環境負荷の小さいプラントベースにシフトするなど、エシカルを意識した食の選択を始めています。
環境負荷の小さい食事の多くは、私たちの健康にも良いプラネタリーヘルスフードですから、どんどん取り入れたいもの。
そこで今回は、フードテック界隈でホットなキーワード「昆虫食」についてお話したいと思います。
なかなかハードルが高い印象が否めないでしょうが、思いきってその扉を開いてみると、思いがけず豊かでアロマティックな世界が広がるかも……。
photo: iStock
昆虫食は環境負荷が小さいうえに、プロテイン源としてこんなに優秀なものはありません。
ほかの動物性タンパク質と比較すると、昆虫は1kgあたりの温室効果ガスの排出量が牛肉の約1400分の1とダントツに低く、一方でタンパク質は100gあたり牛肉の3倍以上。さらにプラントベースフードだけでは不足しがちなビタミンB群や、女性にうれしい鉄分やカルシウムも豊富。
食材として優秀であることは間違いないし、世界各国ではすでに2000種類ほどの昆虫が食用とされているのですから、これは立派な食文化なのです。
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もちろん、昆虫の姿のまま食べるというハードルをいきなり越えることは必要なし。
最近では、粉末コオロギ「クリケットプロテイン」を加えたスナックやプロテインバーが手軽に購入できます。
これは数あるプロテインバーの中でも、かなり優秀な栄養バランスです。
コオロギと言わずに「クリケット」というだけでイメージが払拭される気がしますね。
旨味が強いので、スナック類では出汁のような深みと香ばしさがありますが、プロテインバーは、そのクセがうまく消されています。
さらにクセがないのは、蚕(かいこ)。
蚕は絹糸をつくる昆虫なので「シルクプロテイン」と呼ばれています。こちらも綺麗な響きですね。
シルクプロテインを配合し、野菜やフルーツとブレンドしたスムージーも発売されていて、まさに、エシカルなマルチニュートリションドリンクと言えます。
こういった加工品のラインナップは、ライフスタイルショップやオンラインで気軽に手に入ります。もちろん、おいしく食べられるように工夫されていますから、脳内のイメージを膨らませずぎず、まっさらな気持ちで味わってみては?
text: Lisa Kirimura
桐村里紗
医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
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