デジタルデトックス、無理なく始める方法は?
Beauty 2023.02.01
桐村里紗
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撮影:奄美リゾート「ばしゃ山村」ビーチにて。 主催:NPO法人SELF
新年早々から、デジタルデバイスを預けて、奄美大島での集中ワークショップに参加しておりました。
普段は仕事のやり取りと称して、スマホは常時接続状態。なかなか自主的にはやめられないことだし、「えいっ!」と預けてしまいました。
結果、大正解!
普段お散歩状態になっている意識が、しっかりと“イマココ”に戻り、奄美大島の美しい環境を身体化しながら、目の前の仲間と真剣に向き合い、未来のことを本気で熱く語り合いながら、泣いて笑って呑んで歌って、最高の新年のスタートを切ることができました。
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スマホ脳は進化? 退化?
メタバースの登場で、ますます人の意識が違う空間に飛んでいきそうないまこそ、この身体に意識をしっかりと宿し、自身を取り巻く環境と接続することが大切になります。
スマホを使うようになった私たちは、これまで自分の脳に留めていた記憶や思考から導き出していた答えをスマホに頼るようになり、その結果として記憶力や集中力、学力の低下が指摘されています。
飽食の時代に食べすぎによるメタボが増えるのと同じで、過剰な情報に毎日触れ続けることで脳はキャパオーバーに。情報処理が追いつかずに本来の機能までも低下してしまうのです。
これは、進化か退化か。デバイスなしの丸腰の人間は、本来の機能やセンスを失って明らかに退化しているのではないでしょうか。
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photo: iStock
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スマホ使用時間の確認を。
「スマホが手元にないと落ち着かない」「時間が空いたらすぐにスマホを見たくなる」「常にメッセージやツイートの返信をしないと不安」などの傾向があれば、スマホ依存気味かもしれません。
どのくらいスマホを使っているのか確認するには、iPhoneならば、「設定」から「スクリーンタイム」を、Androidならば、「設定」から「デジタルウェルビーイング」を選択すると1日の使用時間や週のトレンドや平均時間が確認できます。
何時間であれば依存かという明確な時間はありませんが、1日2時間以上の使用は、抑うつや記憶障害を増加させるという報告もあります。
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デジタルデトックスのスモールステップ。
あまりにデジタルデトックス期間が長いと、いざ接続した時のメールの数に嫌気が差しそうなので、週1日とか、1日のうち夜は完全にオフにするとか、短いチャレンジからスタートするのがよさそうです。
さらにスマホへの意識を遠ざけるには、通知機能をオフしておくこと。
メッセージやSNSの通知が鳴れば、すぐに注意が向いてしまいます。この通知の仕組みは、野生動物に備わる敵を察知する注意力に関連しているとされています。ですから通知内容を確認しないことには、人は安心感を持てないのです。
通知を減らすだけでも、ずいぶん意識が切り離されて楽になります。
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photo: iStock
そんな私も昼夜問わずチャットしている状態なので、偉そうなことは言えません。記憶力の悪さを腸内フローラのせいにしていますが、ただのスマホの使いすぎかもしれません。
でも今回、2泊3日、デジタルデバイスと意識を切り離して過ごした時間がとても充実していたので、今後、定期的にデジタルデトックスデーを設けようと思います。
みなさんも、スモールステップから始めてみては。
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桐村里紗
医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
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