老けて見えると死亡率が上昇? 見た目と健康の関係。
Beauty 2023.02.06
心身の老化が私たちの顔に反映される? 最近オランダで行われた、写真を用いた調査によるとそういうことになる。1月10日発行の医学雑誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ダーマトロジー」に結果が掲載された。
心身の老化は顔に表れる?photography : Getty Images
実際の年齢より若く見える、老けて見えるというのは、多くの場合、他者の眼差しによる、かなり主観的な評価だ。ところが実際に、この評価を私たちの健康状態を示す指標として利用できるかもしれない。これがロッテルダムのエアルムス大学のオランダ人研究グループが引き出した結論だ。調査参加者にほかの参加者の年齢を写真から推定してもらい、それを各人の医療データと比較することによって、研究者たちは、老けて見えることと、加齢による健康リスクの増加との関連を明らかにした。この調査の結果が1月10日発行の雑誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ダーマトロジー」に掲載されている。
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見た目の年齢は体内の老化の反映?
研究チームは51~87歳までの2769人のヨーロッパ出身の男女を対象に、顔の正面と横顔の写真を集め、これらの写真を27人のパネリストに提示し、見た目の印象からモデルの年齢を推定してもらった。写真のモデルとなった人たちには、実際の年齢と見た目の年齢のずれから算出されたスコアが割り当てられた。このスコアが高いほど、パネリストからより若く見られたということを表す。
次に研究者たちはこのスコアを写真のモデルとなった人たちの体重、喫煙習慣、紫外線暴露量といった生活スタイルに関わるデータと照合して検討した。腎臓、心臓血管、肺、筋肉、骨、目、耳の疾患など、過去の病歴も精査された。認知能力も測定され、徹底した分析が行われた。
研究の結論部分に目を通すと、こうした分析から「(実際の)年齢より老けて見えることと死亡率の上昇との間には関連性がある」ことが明らかになったと記されている。
5歳以上若く見えた人たちに関しては、健康上の重大な懸念は認められなかった。より正確に言うと、若く見える人は、慢性肺塞栓症、骨粗しょう症、白内障、加齢性難聴などの疾患に罹患するリスクがより低いという結果が出た。また、全般的な認知機能も良好であるとプレスリリースに記述されている。
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有望な診断指標。
「実際より若く見える場合、生体システムや心身の健全さが見た目に反映されている可能性がある」と、研究の筆頭著者であるタマル・ナイステンはコメントしている。「これは研究として最終的なものではないが、見た目の年齢が体内の老化を反映する証拠を提供する、おそらく現在のところ最も優れたものであろう」と続けている。
したがって研究者たちによれば、見た目の年齢は信頼性の高い診断指標として有望と考えられるという。ただし、今後さらに補足的な調査が行われることになるはずだ。実際、ロッテルダムのエラスムス大学が調査対象とした標本は主として北西ヨーロッパ出身の人々で構成されている。今後の調査ではしたがって、さまざまな民族的な起源をもつ人口グループに調査範囲を広げる必要があるだろう。
text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)