ディプティックの新フレグランス、「ロー ・パピエ」のあたたかな香りに包まれて。
Beauty 2023.02.27
2月初め、ディプティックの新作がパリでお披露目された。調香師のファブリス・ペルグラン、アーティストのアリックス・ワリーヌを囲むワークショップで発表されたのは、「ロー ・パピエ」、白い紙からインスパイアされたフレグランスだ。
フランス語で米の紙、を意味する和紙や半紙がイメージソース。
独特の感性で、オリジナリティのある香りを生み出してきたディプティックから、3月16日、新作が登場する。新フレグランスの名前は、「ロー ・パピエ」。それぞれにクリエイターとしてデッサンを手がけたディプティックの3人の創業者たちに思いを馳せるような、真っ白な紙(パピエ)とインクがテーマとなっている。
発表会は、2月初め、ワークショップ形式で行われた。パリ7区のアトリエ風の会場には、天井から手すきの白い紙が何枚も下がり、花瓶にはミモザの花が飾られている。
プレゼンテーションの会場には白い和紙やミモザが飾られて。
大きな木のテーブルを囲んで、まずは、調香師のファブリス・ベルグランの話に耳を傾ける。
「僕にとって、“紙”は現実と抽象の境目、驚くべきテーマでした。紙の匂いを香りという形にするのは大きなチャレンジ。紙の匂いとは何か?インクの匂いとは何か?ゼロからの出発でした」。
この香りを表現するために、彼はいくつかのテーマからスタートしたという。それは、米の湯気のアコード、ミモザのアブソリュート、ホワイトムスク、そしてシダーウッド。
「イメージした紙は半紙(注:フランス語で“米の紙”)でした。ですから、まずお米に穀物やゴマの香りを加えたアコードを取り上げました。ここに、包み込むようなミモザのアブソルートで、和紙に触った時に感じるようなテクスチャーを表現。白い紙から発想したホワイトムスクのアコードでセンシュアリティと深みを加え、シダーウッドで、鉛筆の芯やインクの香りを想起させることにしたのです」
全てが溶け合って生まれたフレグランスは、香ってみると、ふんわりと包み込まれるような感覚が心地いい。第二の肌のような心地よさを求めたという調香師の言葉に納得させられる。
「この香りは人を巡るものではなく、性別もありません。原料を通して、紙という素材を讃える香りです」
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紙の匂いとは?インクの匂いとは? 調香師の感性が翻訳した紙の香りは、米の蒸気、ミモザ、ホワイトムスクとシダーウッドから。
無色透明のフレグランスを封じ込めるのは、メゾンのシグネチャーであるオーバル型のボトル。ラベルのデザインは、フランス人女性アーティスト、アリックス・ワリーヌの仕事だ。
発表会の後半には、アリックスの指導で、彼女がラベルのクリエーションに使用したテクニックを試すワークショップが行われた。真っ白な画用紙に筆で水を広げ、極細の筆で黒いインクを落とす。インクは水に沿って広がり、美しいぼかし模様を描く。考えてみれば、「ロー ・パピエ」の“ロー”は、フランス語で水を意味する言葉。水とインクが出会うことで、白い紙の上には、抽象画のような柔らかな世界が生まれていく。
ラベルの表側は柔らかなぼかしのモチーフ、裏側から見ると、精緻な筆さばきが描く、風景を思わせるグラフィック。ラベルのデザインもまた、白い紙とインクから生まれるクリエイションへのオマージュなのだ。
L’Eau Papier オードトワレ 50ml ¥16,280, 100ml ¥22,770
Diptyque Japan (ディプティック ジャパン)
tel : 03-6450-5735
text: Masae Takata (Paris Office)