ハッピーな心は、ハッピーな腸からやってくる!
Beauty 2023.07.24
桐村里紗
じめじめした梅雨が明けて、夏がやってきましたね。
うだるように暑い夏は、胃腸のトラブルが起きがちですが、実は胃腸の不調はメンタルにもネガティブな影響を及ぼすことをご存知でしょうか?
私たちの腸は、私たちの幸福感にとって“超”重要。
今回は腸内環境とメンタルヘルスの関係についてお話したいと思います。
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腸が落ちると、心も落ちる。
夏になると食欲が落ちたり、お腹が緩くなったりと、胃腸のトラブルを抱えがち。
冷たい飲み物や冷たい食べ物ばかり摂取していると、胃腸が冷えてしまい、働きが悪くなります。胃腸機能が低下すると、ますます食欲もなくなりますし、いざ食べても消化が悪いのでもたれたり、お通じが緩くなります。
胃腸の働きが悪いと、それにつられてなんとなく気分が落ち込んだり、やる気が低下しメンタルも落ち気味に。
毎年恒例のように夏バテを経験している人も、今年はまず、胃腸を整えることをおすすめします。
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腸と脳のコミュニケーションとは?
胃腸トラブルがメンタルヘルスに与える影響は、腸と脳の密接な繋がりに由来しています。
「腸脳相関」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
腸は第2の脳と言われるほど、たくさんの神経が密集していますが、それが身体の臓器や脳とも密接にコミュニケーションをとっています。
腸の中に暮らしている腸内細菌も、神経やホルモン、免疫系などを通して脳とコミュニケーションをとっています。
腸内環境が悪化すると、脳にもネガティブな影響があります。
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私たちの心のハッピーを保つために重要なのが「セロトニン」。
低下すると、うつうつ気分でやる気や元気がなくなってしまいます。
このセロトニンが脳内で作られるためには、腸内でセロトニンの原料となる成分が十分につくられる必要があります。腸内環境が良好であれば、腸内細菌の働きで適切なセロトニン原料の産生が促され、ポジティブな気分がもたらされます。
実は、乳酸菌やビフィズス菌が少ない人はうつ病のリスクが高いことがわかっています。
乳酸菌やビフィズス菌と同じくらい大切な腸内細菌、酪酸菌の分泌する酪酸には、抗うつ効果があることもわかっています。
酪酸には、脳の健康維持に必要な脳由来神経栄養因子BDNFを増やしたり、脳の炎症を抑制したりする働きがあることがわかっていて、これが気分を上げたり、脳機能を高めたりするためにとても重要なのです。
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腸から心を整えるには?
では、腸から心を整えるにはどうしたら良いのでしょうか?
まず、夏は胃腸を冷やさないこと。
胃が冷えて働きが悪くなると、消化力が低下して、腸内環境を悪化させてしまいます。
冷たい飲み物や食べ物をなるべく控え、夏であっても常温や温かい飲み物、食べ物を積極的に食べることです。
エアコンで冷やすのもNGです。
職場などでなかなか温度が調整できない場合は、足首や首元、お腹をエアコンの冷気から守るために、レッグウォーマーやネックウォーマー、腹巻きなどで保温してあげましょう。
そして、食事も大切です。
食物繊維や発酵食品、プロバイオティクスなど、腸内の健康をサポートする食材を積極的に摂取しましょう。
「ハッピーな腸からハッピーな心」を意識して、ハッピーな夏をお過ごしくださいね。
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桐村里紗
医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
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