フランシス・クルジャンが手がける新生ジャドール ロー、輝く花のブーケ。
Beauty 2023.10.04
ディオールは、パフューム クリエイション ディレクターとしてフランシス・クルジャンを迎え、アイコンのフレグランス、ジャドールを再解釈。伝統を重んじつつ、モダンに洗練されたフローラルブーケへ、その制作の裏側をインタビュー。
ゴールドのオーラを纏わせた、温かなフローラルブーケ。
ジャドールを象徴するジャスミンとローズを使いつつ、ひとつひとつの花々を強調し、輪郭を際立たせたモダンな調香に進化。さらに温かなゴールドの輝きを纏わせて、まろやかなセンシュアリティで魅了する。アイコニックなアンフォラのボトルも、流れるように波打つゴールドのデザインに。ジャドール ロー 50ml ¥23,320/パルファン・クリスチャン・ディオール
ある時は濃厚でスパイシー、ある時は透明で爽やか。フランシス・クルジャンが創る香りはどれも、ユニークでありながら多くの人を魅了する。唯一無二のセンスを持つ彼が、ディオールのパフューム クリエイション ディレクターに就任したのは大きなニュースだった。
photography: Valentin Hennequin
Francis Kurkdjian/ヴェルサイユの香料国際高等学院卒業。20代からラグジュアリーメゾンでその存在が注目され、以降も数々の調香を手がける。2001年、オーダーメイドのアトリエをオープン。03年には自身の名を冠したブランドを設立。21年より現職。
「パフューマーが自身のブランドを持ちながら大きなメゾンのディレクターとして働くのは稀なケースで、私が初めてかもしれません。ファッションデザイナーが自分のブランドを持ちながら大きいメゾンを統括するのと同じことなのですが。ディオールでは、グラースの畑の管理や、香料原料の精査、社内のチームとのコミュニケーションなども重要で、グローバルなビジョンを求められます。ブランドの価値やコード、そして膨大なヘリテージを咀嚼して香りを考えていかなければならないので、責任重大です」
どの花が主役かわからない、ジャドールの原点はミステリアス
まず彼が手がけたのは、フローラルブーケの名香ジャドールの新解釈だ。
「最初のジャドールは、1999年にニューヨークで制作されました。当時、実は私もそのチームにいて、どう創られたかを体験しています。ジャドールは、ローズやジャスミン、チュベローズなど、さまざまな花の香りが印象派の絵のように層で重ねられています。フローラルでありながら、どの花が主役かわからない謎めいたところが最大の特徴。そのDNAを踏襲しました。新しいジャドール ローは、モダンアート。ひとつひとつの花の解像度を上げて、純度を高めていく。それらの香りにゴールドのオーラを授けました。肌が太陽に照らされ輝くような温かなセンシュアリティが香ります」
photography: Valentin Hennequin
花の輪郭が際立つフローラルブーケは、モダンな女性らしさを表すよう。
「現代のフェミニニティとは、ダイバーシティ。ジャドールでは、シャーリーズ・セロンがそれを体現しています。アンバサダーとして年月を重ね、彼女の黄金に輝く肌と香りがぴったり合っています」
今後、クルジャンの手で新たな香りが生まれたり、別のアイコンが大胆に再解釈されたりすることだろう。彼自身が大切にしていることは何だろうか?
「常に誠実であること。幸せな気持ちで親切に、真摯な心で制作したいと思っています」
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ミューズ、シャーリーズ・セロンとジャドールの進化。
パリのアパルトマンで、大胆にドレスを脱ぎ捨てる。ヴェルサイユ宮殿を闊歩したり、砂漠を走ったり。ジャドールのフィルムで、15年もの間、美しい肢体を伸びやかに、さまざまなシーンを演じてきたシャーリーズ・セロン。
メイク使用色:ディオールスキン フォーエヴァー フルイド グロウ、同 フォーエヴァースキン コレクト コンシーラー、同 ルージュ ブラッシュ 100、ディオールショウ ブロウスタイラー ウォータープルーフ 03、同 サンク クルール 649、同 オンステージ クレヨン ウォータープルーフ 594、マスカラ ディオールショウ アイコニック オーバーカール 090、ルージュ ディオール 100/以上パルファン・クリスチャン・ディオール
photography: Josh Olins
女優
フランス人の父とドイツ人の母のもと、1975年、南アフリカで生まれる。96年『トゥー・デイズ』で映画デビューし、2003年『モンスター』でアカデミー主演女優賞受賞。15年にわたり、ジャドール ウーマンを表現し続けている。
新しいジャドール ローの表現は、いまの私自身を象徴しているよう
「ディオールでの仕事で出会ったスタッフとの関係や教えていただいたことが、女優という仕事に深い影響を与えています。ジャドール ウーマンは、現在にいたるまで進化し、成長し、成熟してきました。そして私自身も変化したと思います」
今回のジャドール ローでも、自信に満ちあふれ胸を張って前を向く、現代的な女性らしさを体現。シャーリーズ・セロンは、香りがそうであるように、女性たちをエンパワーする存在であり続ける。
―― フレグランスとの付き合い方は?
子どもの頃からフレグランスが大好きなんです。母が香りを纏うと、いつも駆け寄ったのを覚えています。いま、娘たちとその追体験をしていて、これから先も彼女たちの中にフレグランスへの愛が育っていく様子を見守るのでしょう。朝起きて完璧と思える服を選び、髪とメイクを整えて、香りで締めくくる。いい香りがするって、最高の気分! 香りはその人に必要な自信をさらに高めてくれるもの。そう、ディオールのフレグランスは、毎日そばにある、女性へのエンパワーメントのメッセージです。
―― 新しいジャドール ローで、モデルとして表現は変わりましたか?
誰もが人として進化し、成長し、常に自分自身を表現する新しい方法を探しているのではないでしょうか。ジャドールの新たな表現に惚れ込んだと同時に、ジャドール ローは現在の私自身を象徴しているとも感じています。
―― 新しいジャドール ローの第一印象は?
夢中になりました。とても贅沢でセンシュアル。豊かにバランスが取れ、見事に構築されて花々が香り立つ。最もピュアな花束のように、一瞬で喜びをもたらしてくれます。
―― ジャドール ローを一言で表すとしたら?
セクシー。
―― この香りに、どんなファッションが合うと思いますか?
自分自身が心地よければあらゆる服装に似合うと思います。Tシャツとデニムにハイヒールというスタイルから、イヴニングドレス、スウェットでも自信に満ちた気分にさせてくれます。
シーンでつけ変えたい、ジャドールの香りの幅広さ。
1999年に誕生したジャドールは、さまざまな花が調和してフェミニニティを象徴する名香。ジャドール オードゥ パルファン 50ml ¥15,950(右)。2022年、アルコールフリーのウォーターベースでみずみずしく柔らかな花々を表現したのが、ジャドール パルファン ドー(オードゥ パルファン) 50ml 15,950(左)だ。そして23年、クルジャンが新たな解釈を加えた温かなフローラルブーケ、ジャドール ロー(エッセンス ドゥ パルファン) 50ml ¥23,320が誕生。シャーリーズ・セロンは、それぞれでジャドール ウーマンを表現。/以上パルファン・クリスチャン・ディオール
*「フィガロジャポン」2023年10月号より抜粋