暑い夏をショートパンツで乗り切るための、フランス式美脚完全ガイド。

Beauty 2024.08.16

完璧とはいえない。でももう隠さない! 体型は変えられなくても、できることはある。むくみを取る、引き締める、メリハリのあるライン、艶のある肌...。フランス「マダム・フィガロ」が、脚にまつわるケアをステップごとに紹介。これからは恥ずかしがらずに脚を見せよう。

240808_summer_leg_care_01.jpg
美しい脚とはまず健康な脚のことだとしたら?photography: Pete Saloutos / Getty Images

脚の長さを競い合ったり、スラリと伸びた世界で最も美しい脚の持ち主は誰かを議論する時代はもう過去のもの? オレンジの皮のような肌をみっともないと忌み嫌うのは時代遅れ? 「ウィ」と断言することはできない。

身長170cmのドイツ人インフルエンサー、テレジア・フィッシャーが7年間の手術と苦痛の果てに、脚を14cm長くしてSNSで話題を集めたことは記憶に新しい。セルライトという言葉を口にする人がほとんどいなくなったいまでも、やはりテイラー・スウィフトの太ももには憧れる。すぐに体型を変えたり、身体を改造するのは難しいが、脚のケアをすることはできる。美しい脚が何よりもまず健康的な脚のことだとしたら? 軽快に動く、丈夫で、ケアの行き届いた脚。つまり良好な状態でさえあればいい。さあ、あなたもこの暑い夏、ショートパンツを履いて乗り切ろう!

---fadeinpager---

脚のための食事

ダイエットをしても脚は絶対に細くならないと言うが、脚のむくみを取るには、まずは食事の見直しから始めよう。

血流を促進する栄養素はいくつもある。筋肉の維持に欠かせないタンパク質(肉、魚、大豆......)はいわば天然のギプス。「細動脈を通過した水分が細静脈に戻るのを助ける働きをしています」と静脈科医で『脚のケアをしましょう』(セール出版)の著書があるエル・トレダノは説明する。

次に、ビタミンC(果物や野菜)は、静脈の強度を高めるコラーゲンの合成や血管のしなやかさの維持に欠かせない。赤い果物に含まれるフラボノイドは血管壁の強度を高め、ビタミンE(アボカド、ナッツ類)には血管を保護する働きがある。亜鉛と魚介類に含まれるセレンはコラーゲンの形成に関わる。オメガ3など、血液をさらさらにして血流の改善に効果のある栄養素もある。脂の多い魚を週に1~2回、1日5~10粒のナッツを摂るように心がけよう。料理の味付けにはクルミ、リンシード、菜種油を使うといい。

料理にはにんにくを使おう。「玉ねぎと同様に血液をさらさらにする成分が含まれています」とトレダノは続ける。柑橘類には血小板凝集を抑制し、血液凝固を阻害するフラボノイドが豊富に含まれている。

水分を摂ることも忘れずに。「一般に考えられていることとは逆に、水分の滞留を防ぐには、水分を摂ることが大切です」と専門家は強調する。「水分の摂取を控えると、腎臓の働きが阻害されてしまい、逆効果です」

余分な水分を排出する働きを持つカリウムや、老廃物の排出を促す繊維質を多く含む食物も積極的に摂ろう。「つまり、果物と野菜全般です。強いて挙げるなら、アスパラガス、アーティーチョーク、パイナップル、きゅうり、ズッキーニ、セロリ、いちじく、メロン、桃、黒大根」

最後に、水分滞留の原因となる塩分は控えめに。また、超加工食品に含まれている様々な食品添加物にも注意して。猛暑のときは、自然療法士のシンシア・カーが『私の自然療法日課』(ルデュク出版)ですすめているように、シードルヴィネガーで味付けした新鮮なトマトと季節の野菜サラダ、そしてインド産のクリのカプセルを1日3回摂取して暑さを乗り切ろう。

---fadeinpager---

筋肉を鍛えるプログラム

歩く、泳ぐ、自転車、ダンス、ヨガ、階段......。身体を動かすことなら何でもオーケー。筋肉が増えれば増えるほど、水分と脂肪が溜まりにくくなる。

スポーツトレーナーのジュリー・ドゥバティが引き締まった強い脚作りにすすめるのは、HIITと部位を絞った筋肉トレーニングを交互に行うメニュー。自身が運営するプラットフォームで、8週間で行う「セルライト予防と脚痩せ」プログラムを提案している。

ベースになっているのは短時間(20分間)・高強度の全身を使ったカーディオエクササイズ。断続的にハードな運動をすることで、カロリーを最大限に消費し、皮下脂肪や脂肪の塊を落とすのが狙いだ。脚のトレーニングに関しては「負荷をかけたり、筋肉を大きくするためのエクササイズをする必要はありません」とコーチは言う。「身体を伸ばしながら筋肉を鍛えることを目的に、スクワットやランジなどの姿勢を少し改変しています。また、空手の蹴りの動作をアレンジしたエクササイズも取り入れています。つねに縦のラインと前方を意識しながら行います。筋肉を収縮させながらも、身体は自然に伸びた状態で鍛えることで、最終的にふくらはぎが程よく膨らんだスラリとした脚を作ることができます」

240808_summer_leg_care_03.jpeg
身体を伸ばしながら筋肉を鍛えることを目的に、通常のトレーニングの姿勢を少し改変しています。また、空手の動作をアレンジしたエクササイズも取り入れています」と話すトレーナーのジュリー・ドゥバティ。photography: CHRISTIAN ASCHMAN

元空手チャンピオンのコーチは、血行改善と水分滞留の解消を目指す人に向けて、栄養に関するアドバイスと日常的に取り入れられる裏技も紹介している。

また、美脚作りのためのトレーニングもある。程よく筋肉のついたスラリとした脚を手に入れたい人には、「Ballet Sculpt」がおすすめ。これはフィットネスとクラシックバレエを組み合わせたトレーニングで、バレエの振り付けを踊りながらエクササイズを行う。正しい姿勢を保つことでインナーマッスルを鍛えることができる。クラシックバレエのダンサーのように、背筋から脚の先までピンと伸びた、しなやかで、すっきりとしたシルエットが出来上がる。

セルライト対策には「Aqua Jump」がおすすめだ。水中トランポリンでジャンプしながら、表面から深部まで脚全体の筋肉と腹筋を重点的に鍛えられる。そのうえ、血液を心臓に送り返す脚の静脈ポンプ作用を活性化し、筋肉をほぐし、血流をよくする効果もある。

---fadeinpager---

恵みの海

天然温泉やタラソセラピーセンターでも脚のケアに特化したプログラムを提案している。フランス・ポルニックの「脚のウェルネス・ケア」では、最新テクノロジーを活用した完全リニューアルされた充実したプログラムが提供されている。一例を挙げると、静脈とリンパ管の機能を整える機械的刺激を利用した心臓同期マッサージ「Stendo」、引き締めと痩身効果のある電気刺激と低温療法を組み合わせた「Waves」、浮腫を改善する光療法「MiltaLed」。他にも、タラソケア、血行促進のためのモデリング、またガスケメソッドに基づいたさまざまな研修も用意されている。29種のケアと研修、食事付きの6日6泊のコースは1人2172€から。今年の夏はできるだけ水の中を歩いたり走ったりしよう。足首ではなく、腰までしっかり水に浸かって。

240808_summer_leg_care_04.jpeg
「私たちが世界や宇宙を動き回ることができるのは脚のお陰です」とフランス指圧研究所創設者のミシェル・オドゥルは言う。photography: DAVID ROEMER

---fadeinpager---

定期的なドレナージュ

ゾウの足のようなむくみを取るには、手で行うリンパドレナージュに勝るものはない。とはいえ、資格を持った理学療法士の数は年々減っている。施術に時間がかかる上に、肉体的負担も大きく、そのわりに儲からないからだ。なんとも残念なことだ。

セルロース、水分の滞留、たるみ。効果が出るまでには時間がかかるが、マッサージはこれらすべてに効き目がある。なかでもイチオシはホリデルミの「Soin coprs Drainage remodelant premium」。リラックスと活性化の両方を叶える、身体の深部に働きかけるケアによって、老廃物が排除され、身体全体の血行が促進される。素手で行うドレナージュと、ローズクォーツのかっさを用いた引き締め効果のあるマッサージを組み合わせて、頑固なセルライトにまで働きかける。人間工学に基づき、身体のラインをすっきりさせるために考案されたかっさは、セルライトがなかなか落ちない凝った部分をほほぐしたりマッサージするのに欠かせない道具だ(1時間165€)。

---fadeinpager---

脚の声に耳を傾ける。

フランス指圧研究所創設者で『どこが痛いか言ってごらん。理由を当ててみせよう』(アルバン・ミシェル出版)の著者であるミシェル・オドゥルは独自の方法で脚にアプローチしている。とにかく話を聞いてみよう。

「私たちが世界や宇宙を動き回ることができるのは脚のお陰です」と彼は強調する。「脚は私たちと他者との関係を象徴的に表しています」

私たちは脚の声を聞くべきだ。たとえば脚が重いのは緊張感の表れで、他者との関わりの中で自分自身を位置付けたり、関係を進展させるのに困難を感じているということ。「これは仕事の場面でよく見られる現象です」と彼は指摘する。「身体が緊張すると、脚全体に影響が出ます。腓返り、筋肉痛、だるさ、浮腫、さらには捻挫......。これらの症状は、これ以上まともに前に進めないという警鐘です。頑張り過ぎかもしれない。少しスピードを緩める必要があると訴えているのです。痛みの部位からも様々なことがわかります」とオドゥルは続ける。「足首には立場の取り方に関する問題が現れやすい。さらに言うと、右足首の痛みは女性、左足首の痛みは男性との間に人間関係の悩みがある証拠です」

240808_summer_leg_care_02.jpeg
「脚は他者との関係を象徴的に表しています」photography: THIEMO SANDER

膝の不調は、譲歩したり、自分が置かれた状況を受け入れることに困難を感じている証拠だ。3番目の重要な関節は股関節。身体を内側から支える構造体であり、軸となるポイントだ。身体の支柱ともいえるこの部位は父と母を象徴する。「左側が父親、右側が母親に対応しています」とオドゥルは解説する。「関節症などで股関節が痛む時は、裏切り、放棄などの問題の兆候かもしれません...。拠り所となる人たちが苦しんでいて、頼りない状態にあるということです」

脚は誘惑の武器でもある。ハイヒールはふくらはぎの膨らみを強調し、歩く時には腰の振りも大きくなる。私たちの文化において、腰をくねらせることはエロティックな記号として捉えられている。「行動言語において、脚を組むことはとても重要な意味を持っています」とオドゥルは続ける。「ある関係や状況から身を守りたいという欲求を多少なりとも意識的に表している。私的な領域を保護する姿勢です」

text: Caroline Henry & Julie Gillet (madame.lefigaro.fr)

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

いいモノ語り
いいモノ語り
パリシティガイド
Business with Attitude
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories