香りとアートの素敵な関係。アーティスト、ルイーズ・ブルジョワが愛した香水、ゲランの「シャリマー」とは?

Beauty 2024.11.01

20世紀を代表するもっとも重要なアーティストのひとり、ルイーズ・ブルジョワ(1911年-2010年)の日本で最大規模の個展が森美術館にて開催されている。『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』の展示の中でも特に強烈なインパクトを与える作品のひとつが『蜘蛛』(1997年)である。

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ルイーズ・ブルジョワ『蜘蛛』、1997年 展示風景:「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」(2024.9.25(水)~ 2025.1.19(日))、森美術館(東京) 撮影: 菅野恒平 © The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

六本木ヒルズのシンボル『ママン』でも知られるように、ブルジョワの代表的なモチーフである卵を抱いた蜘蛛は、タペストリーの修復家であり子どもたちの庇護者だった母親との関係性、そして自身の体内から糸のように感情を引き出しながら創作してきたブルジョワの人生そのものを象徴している。

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ルイーズ・ブルジョワ『蜘蛛』、1997年 (詳細;シャリマー フレグランスボトル) 撮影: 菅野恒平
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

巨大な蜘蛛が鎮座するケージの中には、示唆に満ちたさまざまな事物とともに、作家が愛用したゲランの香水「シャリマー」のボトルが設置されている。生前、ブルジョワは「嗅覚には、魂を揺さぶる力と癒しの大きな力がある」と語ったという。

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アン・キャロライン パラザン(ゲラン ヘッド オブ アート・カルチャー・アンド・ヘリテージ)、ルイーズ・ブルジョワが所有したシャリマーの香水瓶、1925年頃製造 所蔵:イーストン財団、ルイーズ・ブルジョワ・アーカイブ(ニューヨーク)撮影: 菅野恒平

嗅覚と記憶、そして芸術表現との密接な関係について、ゲランのヘッド オブ アート・カルチャー・アンド・ヘリテージであるアン・キャロライン パラザンはこう語る。

「ブルジョワにとっての蜘蛛のモチーフは、切っても切り離せない母との絆や愛情を思い出させるものでした。母親の胎内にいる時からすでに香りを知覚していると言われるほど、香りもまた人の記憶と分かちがたく結びついています。そして自分にとってのセカンドスキンと語っていた「シャリマー」も、記憶や感情といった内なる自身との繋がりとなりうる、きわめてパーソナルな存在と言えるでしょう」

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ルイーズ・ブルジョワが所有したシャリマーの香水瓶、1925年頃製造 所蔵:イーストン財団、ルイーズ・ブルジョワ・アーカイブ(ニューヨーク) 撮影: 菅野恒平

創業以来5世代にわたって、ゲランはモダンコンテンポラリーアートを支援し、芸術家たちの創造性が華ひらく環境を育んできた。さらに芸術家たちとの対話から、互いにインスピレーションを交わし、芸術的かつ美的に洗練されたフレグランスをはじめとする製品を生み出してきた。

もともと香水「シャリマー」は、インド・ムガール帝国の皇帝が愛した王妃のために築いたシャリマール庭園をインスピレーションの源として、1925年に創作された。ブルジョワが11歳の頃である。彼女が生涯思い慕った母親は、もしかすると「シャリマー」の香りを纏っていたのかもしれない。ブルジョワにとって「シャリマー」の香りもまた、年齢を重ねてもなお創作意欲を鼓舞し続けた、母との絆や愛情を喚起させるものだったのだろうか。

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ルイーズ・ブルジョワと『短刀の女』(1969-70)、シャリマーの香水瓶、母の鏡、1980年 Photo: Mark Setteducati, ©The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo and VAGA at Artists Rights Society (ARS), NY

『蜘蛛』のインスタレーション制作からおよそ30年経った。どれほど時を経ても、香りは記憶の中で生き続ける感情をまるで手にとるように蘇らせ、芸術もまた向き合う人々の意識を幾重にも喚起する。歴史上の人の営みはそのように熟成し、神話や寓話として昇華されてきたのだ。

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ゲラン×アートバーゼルによるリミテッドフレグランスが新登場!

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ラール エ ラ マティエール アート バーゼル エディション 100ml ¥59,620/ゲランお客様窓口

ゲランの調香師たちは、何世代にもわたって、その時代の先駆的なアーティストとの交流やその前衛的な作品からインスピレーションを受けて自身の香りのクリエイションへと繋げていました。

今回、芸術との絆を象徴するフレグランスコレクション「ラール エ ラ マティエール」からコンテンポラリーアートの祭典アートバーゼルへオマージュを捧げるリミテッドエディションが誕生! フランス人女性アーティスト、Julie Beaufils(ジュリー・ボーフィス)がボックスデザインを担当。ボトルに収められた香りは、アンドロジナスな魅力を放つ「ウイエ プールプル」。森美術館限定での展開なのでぜひチェックして。

ラール エ ラ マティエール アート バーゼル エディション
販売期間:2024 年11月7日〜10日
森美術館限定展開 ART WEEK TOKYO期間限定30個

問い合わせ先:
ゲランお客様窓口
0120-140-677(フリーダイヤル)
https://www.guerlain.com

『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ言っとくけど、素晴らしかったわ』
会期:開催中〜2025/1/19
森美術館 
050-5541-8600(ハローダイヤル) 
営)10:00~21:30 最終入場(月、水〜日)、10:00~16:30 最終入場(火)
※12/24、31は21:30最終入場 
料)一般¥2,000(平日)、¥2,200(休日)
https://www.mori.art.museum/jp/

text: Chie Sumiyoshi

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