パット・マクグラスが創る至高のオブジェ、ラ・ボーテ ルイ・ヴィトン誕生。
Beauty 2025.08.20
待望のルイ・ヴィトンのコスメティックをクリエイトするのは、世界で最も影響力のあるメイクアップアーティスト、パット・マクグラス。時代を超越するビューティの世界を拓く彼女に、フィガロジャポンが独占インタビュー。
メゾンを象徴するカラー、"モノグラム・ルージュ"
左上から、ブラシ2本を内蔵、チャームにもなるアイシャドウ ポーチ¥75,900、リップ1本のためのトランク リップスティック・ケース¥443,300、深みのあるバーガンディブラウンが艶やかに唇を彩るLV ルージュ 896 ¥23,100(レフィル¥9,900)、3色のブラウンとモノグラム・ルージュを組み合わせたアイシャドウ、LV オンブル 896 ¥36,300(レフィル¥13,200)(すべて8/25オンライン先行、8/29発売)/以上ルイ・ヴィトン クライアントサービス
「旅はルイ・ヴィトンの神髄です。世界のどこにいても生活に寄り添うラグジュアリーな感覚を捉えたい、と思い、まずリップとアイシャドウという必需品を展開することにしました」(パット・マクグラス/ルイ・ヴィトン コスメティック・クリエイティブ・ディレクター)。長く愛され受け継がれるよう、アルミニウムと真鍮で作られたパッケージにレフィルで詰め替えるデザインに。1896年にデザインされたモノグラム・キャンバスのリッチなブラウンカラーをクラシックな赤と掛け合わせた「モノグラム・ルージュ」がシグネチャーカラー。口元に、目元に、モダンなエレガンスが薫る。ミニチュアサイズが可愛い専用の小物類も同時にデビュー。
手前右上から、マスコットの「ヴィヴィエンヌ」を名付けられたヌメ革のフレッシュなベージュのLV ルージュ 100、ブラウンニュアンスの「ローズ オデッセイ」同 203、大胆で力強いマットな真紅はメゾンの創業者にちなんだ「ルージュ ルイ」同 854、ウジェニー皇后に敬意を込めた柔らかく優雅なブラッシュローズの「ローズ ウジェニー」同 200、プレイフルなピンクの「ポップ マイ ハート」同 300、2列目右上から、コーティングキャンバスの赤みアーモンド「ヴィトナイト」同 110、宇宙の謎めいた色合い「ネブラ プラム」同 400、パットのお気に入り、メゾン初期のトランクから着想を得たシックでマットなピンクベージュ「ヌード ネセセール」同 105、シナモンカラーの「シルク&スパイス」同 108、ビビッドでマットな「ピンク スカイ」同 301、3列目右上から、奥深いプラムカラー「フィアレス ナイト」同 406、レトロ感もあるエネルギッシュな「トニック オレンジ」同 601、1920年代のポスターに描かれた女性の赤リップの色「トゥシェ・ドゥ・ルージュ」同 500、4列目右上から、青みの強いマゼンタ「ブレイキング ポイント」同 307、モダンなラズベリーレッドの「ビヨンド レッド」同 504、アーシーなマットレッドの「ダンス オン マーズ」同 605、5列目右上から、型押しレザーの名称から忘れがたい赤の「ルージュ アンプラント」同 501、フレグランスにインスパイアされた赤みのローズ「スペル オン ユー」同 201 各¥23,100(レフィル各¥9,900)(すべて8/25オンライン先行、8/29発売)/以上ルイ・ヴィトン クライアントサービス
ローマ数字でLV=55。その数のリップをふたつの質感でクリエイト。クリーミーなサテン27色、ベルベットなマット28色、どの色にもレザー素材や歴史、旅の物語が込められて。アップサイクルした花から抽出したワックスを配合、潤いと鮮やかな発色が長時間続く。オリジナルで調香したローズ、ジャスミン、ミモザのほのかな香りにも魅了される。
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透明感のある色とツヤ、心地良さを纏うリップバーム。
奥左から、「モノグラム・ルージュ」のバーガンディブラウンを柔らかに再表現した「モノグラム・タッチ」、LV バーム 051、クリアカラーの「インフィニット ドリーマー」同 000、ピンクパールが繊細に輝く「テンダー ブリス」同 030、躍動感あるチェリーレッドの「レッド パルス」同 050 各¥23,100(レフィル各¥9,900)、奥はリップ5本もしくはアイシャドウとリップが収まるバニティ、ニース ビューティー¥139,700(すべて8/25オンライン先行、8/29発売)/以上ルイ・ヴィトン クライアントサービス
10色が揃うLV バームは保湿力が高く、エフォートレスなツヤと繊細な色づきで唇を彩る。ミントやラズベリーの香りも爽やか。クリーミーな白いケースにセットして。
眼差しを豊かに彩る4色のアイシャドウパレット。
上から、ポジティブなピンク系の「ダズリング ゲイズ」LV オンブル 350、アイコニックなヌメ革の変化する色合いを表現した「ベージュ メメント」同 150、トープを効かせたブルー系の「スカイ イズ ザ リミット」同 950、カーキにゴールドがアクセントのアーシーカラー「フォース オブ ネイチャー」同 951 各¥36,300(レフィル各¥13,200)(すべて8/25オンライン先行、8/29発売)/以上ルイ・ヴィトンクライアントサービス
「極上のマットやサテン、輝きのパール、メタリックなど、重ねやすく溶け込み合う仕上がりは絶妙。すべてのパレットに美しいハーモニーを感じてもらえるでしょう。水溶きでアイライナーのようにも使えます」(パット・マクグラス)。使いやすい3色と個性的な1色を組み合わせた全8種のパレット。色と質感で、ナチュラルにも大胆にも変化するアイメイクを楽しんで。
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パット・マクグラスが語る、メイクアップにおけるラグジュアリー。
photography: Steven Meisel for Louis Vuitton
Pat McGrath
ルイ・ヴィトン コスメティック・クリエイティブ・ディレクター
英国出身。ノーザンプトン・カレッジでアートファンデーションを学ぶ。1990年初頭にメイクアップアーティストのキャリアをスタートし、長年にわたり名だたるメゾンのコレクションのバックステージや広告、雑誌のカバー撮影などで活躍。2021年、メイク業界初の名誉大英帝国勲章(DBE(デイム・コマンダー))を叙勲。
ルイ・ヴィトンがメイクアップ製品を作るなら、"彼女"しかいないだろう......そんなまことしやかな話が業界内で囁かれて数年が経つ。世界で最も影響力のあるメイクアップアーティストとして知られ、モデルやデザイナーに愛される唯一無二の存在、パット・マクグラス。20年以上ルイ・ヴィトンのショーのメイクを担当し、メゾンと深い信頼関係で結ばれている彼女にオファーをしたのは当然であり必然。それでも、パット自身は、信じられない思いだったと話す。
時代もトレンドも超える、最上級のクラフトマンシップ。
「夢のような話に興奮しました。誰にとってもルイ・ヴィトンはあまりにも特別で偉大なメゾンですから。大胆なエレガンスと革新性を備えたメイクアップを通じて、新たな美を創出すること、そしてルイ・ヴィトンの未来を形作ること。時代を超越した先見的なクリエイションを目指しました。トレンドや拡散性を追い求めると、精神や芸術性を見失ってしまうこともあります。ラ・ボーテ ルイ・ヴィトンでは、真のストーリーを伝えたいと思いました」
この美しい旅へと船出したのは5年前のこと。コスメティックカテゴリーの誕生に向け、パットはメゾンから完全な自由と信頼を与えられたという。
「メゾンのクリエイターたちとも、長年築いてきたクリエイティブな信頼関係があります。ニコラ(・ジェスキエール/ウィメンズ・コレクション アーティスティック・ディレクター)とは10年以上仕事をしていますし、ファレル(・ウィリアムス/メンズ クリエイティブ・ディレクター)は創作的なダイナミズムを感じる人。ジャック(・キャヴァリエ・ベルトリュード/マスター・パフューマー)とは今回、香りの調合で深く関わりました。彼の香りがメイクアップに最高に贅沢な仕上げをもたらしてくれました」
メゾンのアーカイブに触れ、その精神と歴史にどっぷり浸かる機会を得て、無限大の可能性を感じた。
「常に過去があり、現在があり、未来が生まれていく。未来への多くのインスピレーションをもらいました。旅はルイ・ヴィトンの神髄であり魂の一部ですが、1920年代にはすでに、エレガンスと実用性を兼ね備えた美しいメイクコンパクトやバニティケースがあったのです。愛用のバッグやトランクを持ち歩くように、メイクアップを持ち歩くことは、人生に美しい色彩と自信を与えてくれます」
モノグラム・キャンバスのポーチにメイクアップブラシが5本。リップ&アイ ブラシセット ¥165,000(8/25オンライン先行、8/29発売)/ルイ・ヴィトン クライアントサービス
モノグラムがプリントされたあぶらとり紙を鏡付きのケースに入れて。マティファイング ペーパー ケース ¥80,300(レフィル¥9,900)(8/25オンライン先行、8/29発売)/ルイ・ヴィトン クライアントサービス
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商品の開発にあたっては、高品質なピグメント、先進技術を駆使した設計やデザインなど、すべてにおいて最高峰を追求している。それぞれの色に"シェードの物語"があるのもユニークだ。
「私たちが求めたのは、時代を超越した美しいオブジェ。この世で最も美しいフォーミュラ、色、仕上がり、そして物語です。たとえばアイシャドウの『ベージュ メメント』は、革の織りなす経年変化から着想を得ました。明るいトーンから濃厚なキャラメルまで美しい色の旅を捉えたシェード。名前も素敵でしょう?」
シェードの物語はメゾンの過去、現在、未来を語る貴重なテキストとしても価値がある。言葉が先に浮かぶこともあれば、色が先にできることもあったそう。リップスティックは圧巻の55色。創作にあたり、パットには"地球上のすべての人に合う真のカラーワードローブを構築する"という構想があったという。
「柔らかいヌードからドラマティックな赤まで、あらゆる気分、時間、個性、肌色に合う色を創ろうと考えました。たとえば、私にとってのヌードは、色白の人のヌードとは異なります。国籍や肌色に関係なく、カウンターに足を運んだ時、すべての人に合う色がそこにある──包括性があることを大切に考えました」
90年代、パット・マクグラスの出現はファッション界におけるメイクアップアーティストの地位と存在感を一変させた。バックステージはトレンドの発信地となり、世界中の雑誌が彼女のメイクを追いかけた。彼女の生み出した数えきれないルックはいまも記憶に鮮明だ。赤リップ、グラススキン、スモーキーアイ......大胆で創造的なメイクに世界中のエディターが夢中になった、と伝えると大きな笑顔で、ありがとう、と言ってメイクへの深い愛を語ってくれた。
© Louis Vuitton Malletier
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自信とパワーを与えてくれる、メイクアップへの想い。
「ランウェイの瞬間はどれも私にとって宝で、すべて記憶しています。赤いリップはキャリアの初期からずっと特別。ナチュラルなアイシャドウに赤いリップを塗った時の大胆なインパクトが好きなんです。ドラマティックにも繊細にもなるスモーキーアイも大好きなルック。ある時、強めのスモーキーアイを施したモデルに『ずっとこのメイクでいたい。まるで戦士になった気分になれるから』と言われたことが心に残っています。メイクは単なる装飾ではなく、こんなにも楽しく、自信とパワーを与えてくれるツールなのです」
名だたる女優たちをはじめ、ナオミ・キャンベル、リンダ・エヴァンジェリスタ、クリスティ・ターリントン、ジゼル......世界的なモデルとの付き合いも深い。
「キャリアの若い時に偉大なスーパーモデルたちに出会えたのは、本当に恵まれたことでした。彼女たちと過ごす一瞬一瞬が魔法のようなインスピレーションと力をくれた。私にとって家族みたいなものです」
インスピレーションは、一緒に仕事をする人たちはもちろん、あらゆる場所やものから受けているという。
「創作プロセスで、たとえば美しい赤を考える時、世界中で訪れた場所や赤を着ている人々を思い浮かべます。映画、音楽、アート、街を歩く人......すべてがアイデアになるんです。日本では新しいピグメントを探すために、必ず東京のハンズに行きます」
45分にわたるインタビューの中でパットの口から何度も「未来」という言葉が発せられた。ルイ・ヴィトンというメゾンを前にした時、その偉大な歴史に没頭し拘泥するのではなく、未来を見つめ、未来を創っていく──そんな覚悟を端々から感じた。最後に、やはりこの質問を投げかけた。あなたにとってメイクとは?
「私にとってメイクはすべて。生きている実感を得られる幸せな場所。恵まれていることに感謝しています」
シグネチャーの「896 モノグラム・ルージュ」でメイクしたルック。唇は「854 ルージュ ルイ」もアウトラインに重ねている。
※店舗での発売は、ルイ・ヴィトン 表参道店、銀座並木通り店、阪急梅田店2階のみ。
photography: Hironobu Maeda(Stijl) interview & text: Naho Sasaki