フィガロ ビューティストの安倍佐和子さんがレポート！ アジアのホリスティック・リトリート滞在記。〈後編〉

多彩なウェルネスプログラムが揃う「カマラヤ・コ・サムイ」で、今回、私が選んだプログラムが「ストレスバーンアウト・アジアン・ブリス」。その名の通り、アーユルヴェーダや古代中国医術、タイ式セラピーやレイキなど、アジアを代表するトリートメントを贅沢に組み合わせた、ストレスリリースが目的のプログラムだ。

事前にカウンセリングシートが届き、生活習慣や体質、家族の病歴などをメールで詳しく報告。やりとりはすべて英語。現地でも英会話は必須だ。

サムイ島の中でも特別な場所に位置するカマラヤ・コ・サムイ。

神聖な空気に包まれ行う早朝のヨガセッションでエナジーの浄化を。

カマラヤ・コ・サムイでの4日間。プロローグは問診と体質テストから。さらに、この結果に基づいて、資格を有するセラピストとのカウンセレーションが30分。体調やストレスの状態、食事の注意点、プログラムの確認など、ていねいな上にセラピストの真剣な対応に、思わず気が引き締まる。それもそのはず、ここを訪れる多くの人が、自分を深く見つめること、真のウェルネスライフを望んでいるからだ。

健康診断はハイテク。年齢の平均値と比較、細胞そのもののコンディションを分析してくれる。食事やライフスタイルまで過不足なくチェック。

4泊5日の「ストレスバーンアウト・アジアン・ブリス」のプログラム内容はざっと以下のような感じだ。1日平均、3つのプログラムを受けるタイムスケジュール、満足至極だ。セラピストはそれぞれの分野のエキスパートで、海外から期間限定でセラピストを招く特別セッションもある。私の滞在中には、日本から鍼灸師、カナダからレイキのセラピストが招かれていた。

ジンジャーやレモングラスなど、タイならではの植物成分もトリートメントに応用。

また、それぞれ決まったプログラム以外に、フリープログラムが数多くあり、時間外に「ビーチウォーキング」、「アクアエアロビクス」、「クリスタルヒーリング&バッチフラワーレメディガイド」、「鍼と気功のガイド」「メディテーション」も体験。サウナやジャグジーも併設されているから、トリートメント後のミストサウナも望むまま、ウェルネスライフにどっぷり浸かれるのだ。

早朝のビーチウォーキングに参加。ゲストの多くは欧州や豪州からの女性といった印象。みなフレンドリーだ。

そして、ホリスティック・リトリートのもうひとつの魅力がフード類だ。カマラヤ・コ・サムイの食事のクオリティは高く、タイフードはもちろん、アーユルヴェーダやマクロビオティック、デトックスフードなどメニューも豊富、味も質もレベルが高く、飽きさせない工夫がすみずみまで行き渡っている。滞在中の食事は1日３回、飲み物も含めてすべてインクルード。毎朝、飲んでいたフレッシュジュースは有機にこだわったケール、ゴツゴラ、オオムギのデトックスハーブ類。フルーツやサラダ、ドリンク類など、すべてがウェルネスを意識したセレクトで、1日3食、4日間、飽きることがまったくなかったのだ。

デトックスジュースは有機。ケールやゴツゴラがフレッシュなままいただけるのは嬉しい。

野菜やフルーツなどが豊富。マクロビフードも種類が豊富だ。

部屋にはテレビやパソコンはなく、質のいい睡眠がとれるふかふかのベッドと大きなバスタブ、海をのぞむ広いテラスがあるだけ。朝日とともに目覚め、鳥のさえずりをBGMに1日がはじまる幸せ。実際にスマホを触る時間は減り、デジタルデトックスの目標は達成、自分の心と身体の声に耳を傾けるいい機会となった。（ちなみに、私の場合は食事制限など一切しなかったのだが、体重は1kgマイナス。肌の色艶が良くなり、腰痛が改善。あまりの心地よさに、再訪を誓ったばかりだ）

カマラヤならではの美しいサンセット。

長い休暇がとれる欧米人エグゼクティブや、健康志向の強い人々の間でブームとなっているホリスティック・リトリートの旅。他にもタイのチバ・ソムやフィリピンのザ・ファームなどが知られており、訪れる観光客も増加傾向にあるよう。ここカマラヤ・コ・サムイは、欧米、オーストラリア、北欧や北米からのゲストが多く、アジアからはシンガポールや香港など、日本人は比較的少なめ。そういう意味でも、まわりの目を気にすることなく、芯からリラックスできる環境は完璧に整っているのだ。あとは、欧米並みとは言わないけれどせめて5泊、長めの休暇を捻出する、これが私たち日本人にとってのホリスティック・リトリートを楽しむいちばんの課題なのかもしれない。

＊前編はこちら。