医師に聞く、"オーダーメイド睡眠"のすすめ。【前編】
Beauty 2018.03.08
最近、よく眠れていますか?
"良い睡眠"は年齢や体質、生活スタイルによって人それぞれ異なるといわれます。いまの自分に必要な睡眠を知り、自分のためにオーダーメイドで眠りをつくるという感覚を持つことが、ライフスタイルの質を高める鍵。前編ではその実践のヒントを、睡眠の専門医である白濱龍太郎先生に聞きました。
Q:自分に最適な睡眠時間の長さを知る方法はありますか?

理想を言えば、1週間ぐらい旅に出て、時間の制約がない中で寝起きすればおのずとわかるものですが、現実的にそれは難しいと思うので、週末などを利用して、目覚まし時計をかけずに寝る日をつくることです。そして、何時間の睡眠で自然に目が覚めたか、眠っていた時間帯、寝付きはどうだったか、熟睡感は得られたか、日中に気になる眠気がないか、普段と比べて集中力はどうかなど、気付いたことを記録する"睡眠日誌"をつけましょう。アナログな方法ですが、それを数週間続けて、自分がどういう時に調子が良いのかを観察してください。睡眠の質は、起きている時のパフォーマンスに表れます。
Q:最近は睡眠アプリなども人気ですが、それを活用するのも手でしょうか?

睡眠アプリは、ウエアラブルデバイスを使って脈拍まで測っているものもありますが、ほとんどのものは身体の動きから予測した睡眠の結果を表示しているので、信用しすぎるのはよくありません。ただし、睡眠時間のログは取れますし、ひとつの目安にするのはいいと思います。
© Sanna Lindberg/PhotoAlto/amanaimages
Q:どうしても寝付きが悪い人は、何から試すべきでしょうか?

人間が眠るために必要な要素は大まかには2つ。ひとつは自律神経を交感神経優位の状態から副交感神経優位の状態に切り替えること、もうひとつは深部体温を下げること。この2つに関係することならば、寝る前のストレッチでもいいし、お風呂に浸かるのもいいし、ヨガでもいいですし、自分に合った方法を探ってみてください。
Q:その方法はルーティン化した方がいいのでしょうか?

その人のライフスタイルによるかもしれません。海外出張が多かったり、睡眠環境がしょっちゅう変わる人はルーティンを見つけておいたほうがいいですし、逆にほとんど変わらない人は、ずっと同じことをやっていると飽きてくるかもしれません。自分で「違うな」と感じたら、少しずつ手法を変えてみてください。ちなみに僕の場合は、コーヒーの香りでリラックスしたり、炭酸入りの入浴剤で効率良く体温を上げることを心がけています。あとは、就寝1時間前には携帯電話を見ないようにする。ブルーライトの刺激は、睡眠ホルモンであるメラトニンの働きを抑えてしまいます。
Q:反対に、朝起きられない人が試すべきことは何でしょうか。

まずは先ほどお話ししたような睡眠日誌をつけ、寝起きが良い日と悪い日の差を観察してみてください。朝起きられない日は、前日や前々日の生活が影響していることが多いです。そのうえで目覚めやすくするためには、寝室のカーテンを開けたまま寝て、自然と朝日が入ってくるようにすること。日当たりの悪い部屋ならば、目覚まし時計が鳴る前に寝室の明かりがつくよう、タイマー設定するのもいいですね。
Q:太陽光でなく、ライトの光でもいいんですか?

はい。人間の脳は、目を瞑っていても光を浴びることで覚醒スイッチが入るので、人工の明かりでも構いません。また、脳は母国語のテンポが速い音楽に無意識に反応するため、日本人の場合は、目覚まし代わりに邦楽のロックなどを聴くと起きやすくなりますよ。
後編では、睡眠に現れる老化や、睡眠専門クリニックの活用方法について伺います。

白濱龍太郎先生
リズム新横浜 睡眠・呼吸メディカルクリニック院長。医学博士・日本睡眠学会認定医。
筑波大学医学群医学類卒業後、東京共済病院、東京医科歯科大学附属病院等での睡眠障害専門外来、呼吸器内科専門外来の臨床など、豊富な経験を生かした診療を行う。また、経済産業省海外支援プログラムに参加し、途上国の医師への教育や医療のシステムの構築を行うなど、幅広く活動。近著に『1万人を治療した睡眠の名医が教える 誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム刊)がある。
http://www.resm.info/