パリ街歩き、おいしい寄り道。

ポンピドゥー・センターで開催のパウル・クレー展から、
女主人が1人でもてなすワインバーへ。

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5月に入り、いよいよ日が延びて来た。いまの日の入りは9時20分ごろ。
そうなると、夕暮れ時の美術館に行くのが楽しみになる。
パリの美術館は週に1~2回、夜も開館する日があり、
だいたい10時頃まで開いている。昼間よりも空いているし、
たとえばルーヴルは、大作が並ぶ部屋でも自然光の差し込むところがあって、
時とともに室内の色合いが変わりゆくのを感じながら絵画を見る時間は、
なんて贅沢なのだろうといつも思う。


お天気が良かった先週のある日、友人と11区のラ・ビュヴェットに飲みに行くことになった。
だったらその前に、ポンピドゥーに寄ってからにしよう、と思いつく。
パウル・クレー展に行きたかったのだ。フランスでは1969年以来という大回顧展。
ポンピドゥー・センターは通常の閉館時間もゆっくり目で9時まで。時間的にもちょうどいい。


切りの良いところで仕事を終えて会場に。
時系列を追いながらじっくり見ていたら、あっという間に閉館のアナウンスが流れてきた。
終わりに近い展示室の一角に、日が差し込んでいて、だいぶ日が傾いたことがわかる。
出口を出ると、ちょうど正面に太陽があった。


Arts et Métiers駅からメトロ3番線に乗り、Rue St-Maur駅まで。そこから徒歩4分。
ラ・ビュヴェットの前に着くと、お店の外もグラス片手に寛ぐ人たちで賑わっていた。
店内で、先に着いていた友人と合流。カウンターの中にいる、丸メガネにオーバーオール姿の
カミーユに、友人と同じものを、とロゼを頼む。展覧会の余韻でぼーっとしたまま、乾杯。
9時15分。日が沈む。この季節の夕暮れ時は楽しい。


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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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