ピサロ展から、お気に入りのビストロへ。
リュクサンブール美術館で開催のピサロ展に行った。
それほど印象派は好きではないのだけど、春だからか
なんとなく柔らかなピサロの絵を見たい気がした。
晩年を過ごしたエラニーで制作された作品の展示。
新印象派時代のものが結構たくさんあった。
ひとつ、エラニーの秋の夕暮れを描いた絵の色合いが
刻々と変化する空を思わせて、美しかったなぁ。
農作業の場面を描いた作品を見ていたら、なぜか
ミレーの落穂拾いを見たくなってきた。
近いうちにオルセーに行こう。
外に出たら、絵画以上に鮮やかな新緑が眩しかった。
リュクサンブール公園を通り、とても好きなお店、
シェ・マルセルへ。
(Chez Marcel 7, rue Stanislas 75006 Paris)
オーナーのピエールは、以前、
私の家の近くにあるビストロでセカンドシェフを
勤めていた。セカンドだったけれど、撮影用のお皿
なんかは、彼がいつも盛り付けをしていて、それが
とてもきれいだった。聞くと、ブリストルで4年、
他にもガストロノミーのお店で経験を積んでいた。
私がブリストルの厨房で研修をしていたと言うと、
同じ部門シェフの元で働いてたことがわかったりして
それからはお店に行くと、お互いに近況を話す。
独立して、買い取ったシェ・マルセルは、
もともとリヨン料理を名物としていたお店で、
いまもメニューには、伝統料理がいくつも並んでいる。
この日は、ランチメニューにあった仔羊の腿肉を
隣のテーブルですでにメインを食べ終えていた
ムッシュたちに強く勧められたのだけど、残念ながら
すでに完売。代わりに、顧客グループに焼いていた
乳飲み仔豚の丸焼きを、私にも出してくれると言う。
前菜は野菜が食べたい、とリクエストしたら、
じゃあアスパラとフェンネルをスライスして、
ポロ葱のヴィネグレット和えと合わせた
さっぱりしたサラダはどう?と作ってくれた。
仔羊を逃した私に「もうちょっと早く来れば、
僕たちのを一緒にシェアできたのにね」と言っていた
隣のムッシュは、どうやら豚肉が大好きだったらしい。
私に運ばれてきた豚のローストを見て、「どうして
彼女には乳飲み仔豚で、僕たちには仔羊だったんだ?
豚があるなんて言わなかったぞ!」と、ピエールに
文句を言っていた。常連客と店主の、その、とても
フランスらしい絡み方とやり取りに、大いに笑って、
今日はここに来てよかったなぁと、幸せだった。
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