パリ街歩き、おいしい寄り道。

お仕事モードのカフェ巡り。#10

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朝は気持ちのよい光が差し込んでいたかと思ったら
午後になって黒い雲が広がり始め、来そうだなぁと
思っていると、雨が降り始める。
そんなお天気の続いている6月のパリ。
書き続けている原稿があって、家に缶詰の日々が続き
気分を変えようとPCを持って出かけることにした。
まず思い浮かんだのがモコナッツ
オープンキッチンの小さなお店は、カフェの雰囲気
だけれど、その小さな厨房で作っているとは思えない
しっかりしたお料理を出すランチが人気で、予約なし
では入れないほど。
私は、そのランチの準備をしている厨房の音が
聞こえてくる朝が好きだ。
「久しぶりだねぇ」着くと、モコさんに言われた。
カップルで切り盛りしているこのお店のマダムは
日本人女性のモコさん。英語もフランス語も現地で
育ったかの発音で、お菓子を作りながら、お客さんに
応対し電話もすべてとる。
忙しそうだったので、先に席に座って上着を脱ぎ、
少し落ち着いたころにカウンターへ行った。
「何にする?」
「フルーツの何かある?」
グラノーラにフルーツが乗ってるというので、
それにした。
ご主人は後ろで、アンコウをさばいていた。
待っている間も、予約の電話がひっきりなしで、
最初のサービスはすでに満席、14時からしか席がない
とかかってくるたびに伝えている。
グラノーラにはオートミール、カボチャとヒマワリの
種なんかに、ケシの実がたくさん入っていて、それが
すごくいいアクセントでおいしかった。
原稿を書いているうちにお昼になったので、移動する
ことにする。
「グラノーラ、ケシの実が入ってるのがおいしかった」
というと
「ほんと? 実は今日初めて入れたの。でも自分で、
これはイケてるって思ってたから、誰かに言って
ほしかった」
とモコさんがうれしそうに笑った。そして
「あのね、ヨーグルトも自分で作ってるよ」
とさらっと加えた。えーーー!それはえらい!!
一見、ちっちゃなコーヒーショップ。手軽に気軽に
食べられるものが、ちゃんと手をかけて作られている。

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角地にあって窓が大きく気持ちのよい空間のカフェ
パッサジェへ。5月の終わりに行ったニューヨーク
でパンケーキを食べないまま帰ってきたから、
パンケーキを食べるつもりでいた。なのに、今日の
日替わりプレートは、野菜のコンフィに目玉焼き、
シェーヴルのタルティーヌだよ、と聞いて、
「パンケーキいつでも来れば食べられるもんね」
と結局、今日のプレートにする。
お野菜が食べたかったから、うれしい。
ここのスタッフはいつも感じがよくて、そして
かかっている音楽がとてもいい。
だいぶ長居して気づけば4時。ここ数日、ずっとひと
つの原稿が書き上げられず、煮詰まっている。
おかげで時間の経過がわからなくなることが多い。
今日こそ、と思って向き合っていたけれど、
また煮詰まってしまった。うまくいかないなぁ……


少しお散歩しよう、とまた移動。
シャロンヌ通りを歩いて、ピュール・カフェへ。
ここは映画『ビフォア・サンセット』で、
イーサン・ホークとジュリー・デルピーが
散歩の途中に立ち寄る場面で登場したカフェだ。
いつでも、のどかな空気が流れている。
映画、観たいなぁ。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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