パリ街歩き、おいしい寄り道。

シテ島での定番朝ごはんと、5区の新しいパン屋さん。

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数日前から、おいしいクロワッサンと天井の高い空間が恋しくなって、このブログにも数回登場しているレ・ドゥ・パレに行きたいなと思っていた。
ちょうど近くで、夏前からオープンを待っていたパン屋さんが数週間前にやっと始動したところだ。
まだ金曜から月曜のみの営業。
ならば、月曜は朝からカフェで仕事をしてその帰りに寄ろう、と12月に発売の決まった本のゲラを抱えて、レ・ドゥ・パレに向かった。
初めてこの店に入った朝も雨が降っていたからか、雨の降る朝に店内に漂っている空気が、いちばんすっと自分にはなじむ気がする。
外は暗くて、夕方のように店中に灯りがついて、写真を撮ると色がオレンジだ。
カフェ・クレームとクロワッサンを頼む。
相変わらずここのクロワッサンは好みだ。
原稿を前にあまりに考え込んでいたからか、サービス係のムッシュが、遠慮気味に「もう少ししたらランチタイム用のテーブルクロスをかけたい」と言ってきた。
時計を見ると、ほぼ12時。
周りのテーブルにはすでにクロスがかかっていた。
あと15分で出るので、と伝えて片付け始める。
入り口にはすでに席に案内されるのを待つ常連客たちがいた。


セーヌ川を左岸に渡り、シェイクスピア書店の方向に曲がる。
新しくオープンしたパン屋さん、Circus(サーカス)(でもフランス語読みでスィルキュスとみんな発音する。ちなみにフランス語でサーカスはcirque)は、3区の大人気カフェFragmentsが始めたブーランジュリーだ。
店の外から窓越しに店主・ユセッフの姿を見つけ、ドアを開けて入ると甘い香りがした。
「蜂蜜の匂いがする」と言うと
「シナモン・バンのシナモンじゃない?」と言われたので
「シナモンなのかなぁ? 蜂蜜っていっても、栗の木の蜂蜜の匂い」と伝えると、「まただよ!」とパンを焼いているジュリーに言いながら、途端に大笑いし始めた。
私のほかにもまったく同じように、栗の木の蜂蜜の匂いだと言った人がいたらしい。でも、使っていないのだそうだ。
店ではいまのところ天然酵母で作る5種類のパンを売っていて、ベンチがふたつあり、イートインもできる。
インスタグラムで見て、食べたいと思っていた5種のシード入り食パンを買おうとしたらちょうど焼いているところだった。
それでシナモン・バンとカプチーノをもらい、待つことにした。
ユセッフの淹れるカプチーノは本当においしい。
もちもちのシナモン・バンは甘さ控えめで、だからカプチーノと一緒に食べてもくどさは全然なく、ちょうどよかった。
店の奥には窯があり、スタッフが揃ったら、自家製のチーズを使った、ミニ・ピザがイートインできるようになる。
その前にまずはクロワッサンとパン・オ・ショコラを作ることが次のステップと言っていた。
香ばしい匂いを放つ、まだ温かいシード入りパンを手に、家に帰った。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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