
鴨のコンフィから始まるリシュリュー通り。
週末。知人からメッセージが届いた。
“日本からパリにくる友人が、鴨の胸肉を食べたいと「このお店に行ってみたい」って送ってきたんだけど、ここ知ってる? どう思う?”と。
聞かれた店を私は知らなくて、すぐに検索し、見た写真から受ける印象と、自分のオススメの店を伝えた。
それで鴨料理を考えていたら、鴨のコンフィが食べたくなった。
久しく行っていなくて、行きたいなぁと最近何度か前を通っていた店を思い出し、行くことにした。
フィガロ本誌のパリ特集でも数年前に紹介したことのあるLa Tuteは、オークション会場「Drouot」の前にあり、スペインとの国境近く、ピレネーから食材を取り寄せたパンチのある料理を出す。
立てかけられた黒板メニューを見て、“そうそうこれこれ”とひとり頷きつつ、揚げ物続きになっちゃうなぁと思ったけれど、前菜にはシシトウの素揚げを、メインに鴨のコンフィを頼むことにした。
なんだかお店が静かだった。
いつもカウンターの中にいたオーナーがいなくて、何かが、なんだか違った。
でも運ばれてきたシシトウは、前と同じ皿に盛られ、変わらずおいしい。
ここは、鴨のコンフィにジャガイモのソテーがついてくるのだが、ちょっとニンニクが効いている。
ますます食欲を刺激されて、ジャガイモをパクパク食べてから鴨を。
私は、“ものすごくおいしくなったフライドチキン”みたいなカリッとした鴨のコンフィが好きで、それには少しコンフィ具合が控えめだった。けれど、完食。
お会計をしながら、「ムッシュ・マニュは?」とスタッフに聞いたら、「昨年の9月に売ったんだよ。僕はそのまま残って働いているのだけど」と教えてくれた。シェフも前と変わらずのようだった。
でもそれで、店の雰囲気が違ったことも腑に落ちた。
La Tuteから右に10メートルほどのところに、リシュリュー通りが走っている。
ここをまっすぐ歩いて行けば、パレ・ロワイヤルの脇、ルーヴル宮のほど近くに着く。
次に向かったのは、パレ・ロワイヤルの薬草薬局Herboristerie du Palais Royal。
Petit Champs通りにぶつかったら左に曲がると右手に見つかる。
この季節に必須の花粉症対策、カシスの芽のエキスを購入。あとタイガーバームも。
毎年パリ・マラソンのスポンサーにタイガーバームがついていて、ゼッケンをもらいに行くと、試供品が入っている。
これが、マラソンのあとにとても効果的なのだ。
今年は4月14日。参加登録しているので、一応買っておくことにした。
またリシュリュー通りに戻り、今度はSacaiのポップアップ・ブティックに向かった。
プチバトーとのコラボアイテムで出ている、子ども用のキャミソールやTシャツがまず買いたくなって、ついでに自分のも欲しいなぁと思った。
けれど、鴨のコンフィを食べた後に試着をする気分にはなれず、また後日戻ることにした。
口をさっぱりさせたくて、目の前のヴィレド通りにあるカフェ、テレスコープ(Télescope 5, rue Villedo 75001)に寄る。
少しだけ甘いものも食べたいなぁと思っていたのに、「ほんのり温めて出すバナナブレッド、おいしいよ」と言われたら、頼んでしまった。
バナナケーキとかバナナブレッド、大好きなのだ。
家に帰ったらPCに向かうのがわかっていたから、ノートとスケジュール帳を出して、今後の予定をじっくり考えた。
店主のニコラと、最近行ったお店の話などをしばしおしゃべりしてから、帰り途、ストックのなくなったコンタクトレンズを注文しに眼鏡屋さんに行き、家に帰った。
いろんな意味で補給した1日だった。
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