パリ街歩き、おいしい寄り道。

パリからの旅・エクサンプロヴァンス滞在記。#1

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アルザスの次はプロヴァンスへ。
きっかけは、ロシア人ピアニスト、エフゲニー・キーシンのリサイタルが開催されると知ったからだ。
2月のはじめにパリでもコンサートがあって、それに行った友人から「シューマンがすごくよかった!」と聞いた。
私は仕事があり帰国中で行けなかったのだ。
すぐに同じプログラムでのコンサートがないかと調べたら、フランス国内でもう一度あることがわかった。
その曲目での演奏はこの日が最後らしい。
3月21日。エクサンプロヴァンス。
チケットはまだ残っていて、おまけにパリの半額以下だった。
春分の日に、エクスかぁ。おまけにこの日は満月だ。
なんだかいいかも!と思い、行くことにした。

TGVでパリから3時間10分。
エクサンプロヴァンスのTGVの駅は街中から少し離れている。
エクスでタクシーによい思い出はなかったから、駅から街中まではシャトルバスを利用した。
たった4.30ユーロで何の心配もない。ありがたい。

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直前に予約をしようとしたら、某ホテル予約サイトで「この期間のエクサンプロヴァンスの予約率は90%です」と出てきた。
コンサート会場周辺の様子がそこまでわからなかったから、終了後ともかく歩いてすぐに戻れる場所にしようと、まず1泊分、その時点で空いていたホテルを予約。
Hôtel Saint Christopheは1階にブラッスリーがあり(翌日見たら地元の人でお昼は賑わっていた)、ホテルのスタッフも感じがよく、もう一度泊まることがあるかはわからないけれど、清潔で、結果的には不便を感じることもなく過ごせた。

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16時過ぎに到着して、すぐに出かける。
まずはメインストリートのcours Mirabeauを歩く。
お菓子屋さんの脇にボーダーのシャツを着た男の子が、休憩中か、壁に寄りかかっていた。
あまりにショーウィンドーの色合いとぴったりで、それだけで、帰りにお菓子を買おう、と思った。

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向かったのは、「白黒からカラーへ」というタイトルで開催されているシャガールの企画展(3月24日まででした)。
この企画展にもタイミングよく間に合う!と思って、エクス行きを決めた。
夕方なのに光のコントラストが強い。

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会場はHôtel de Caumont
立派な建物の中は、とても素敵だった。

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階段を上り、シャガール展の入り口と反対側にあった寝室を覗いてみたら、壁の柄と色調、ベッドに使われた布の組み合わせに目を奪われた。
こんなふうにしたくてもなかなかできない合わせだけれど、好きだなぁ。

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向かいにあるシャガール展の入り口に入ると、打って変わってモノトーンの展示。
鮮やかでないシャガールの作品を観たのは初めてな気がする。

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展示は、進むごとにだんだんと色彩が豊かになっていった。

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墨絵のような作品も、彫刻もよかったけれど、最後の展示室にあった、端切れをコラージュした作品が私はいちばん好きだった。

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展示室を出て階段を降りると売店に繋がっていた。なんとまあそこにもラブリーな一角が。

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売店を出ると入り口ホールの向かいにサロン・ド・テがあって、そこもピンクが基調の愛らしい空間。
テラスもあって気持ちがよさそうだ。
時間があったら、午後をここで過ごしたかった。

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外に出ると、日が傾きはじめていた。
さきほどのお菓子屋さんに戻ってみると、ケーキは8個が残るのみで、ショーケースはほぼ空だった。
洋梨のタルトをひとつ買い、少しだけ散歩することにした。

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歩き始めてすぐに、「そうだ、この街は噴水が多いんだった」と思い出した。
ホテルに戻って身支度をし、コンサートに出かけた。
「皆さんに我慢してほしいことがあります」で始まった、コンサート中は携帯の電源を切るよう促すためのアナウンスは、テキストを送ること、サッカーの試合の流れを気にすること……などとユーモアがあって、会場に和やかな空気が流れた。
友人の言ったとおり、シューマンの演奏がとてもよかった。
楽しみにしていたスクリャービンも期待を裏切らない演奏だった。

劇場からホテルヘは、不安を感じることもなく、歩いて5分ほどで帰り着いた。

続く。

川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


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