
左岸の激辛麺と、16時オープンのパン屋さん。
フレンチが続いたからか、辛いものがとても食べたくなった。
10年前だったら、そんなときには自分で作るか韓国料理を食べに行っていたけれど、最近は、ちらほらお店の増えている、刺激の強い中華料理も選択肢に加わった。
今回は、終日通しで営業しているというのでチェックしていた5区の四川料理店sucrépiceに行ってみることにした。
サイトを見ると、麺も自家製とあり、期待が高まる。
ランチタイムも完全に過ぎた午後3時に行くと、お客は私のほかにふたりだけだった。
辛い麺はどれかなぁとメニューを開くと最初に、重慶小面と書かれたものがあった。
10種のスパイスを使い、自家製麺に野菜が具らしい。
漢字の説明文では花椒、辣椒が赤字になっている。
これにしよう!と次のページを開いたら、トッピングが14種類も載っているではないか。
迷うなぁ……豚レバーの唐辛子の酢漬け風味なんていうのもあってとても気になる。
が、初めてのお店でそれはちょっと冒険だなと少し慎重になって、無難そうな豚ひき肉炒めと、はじめから盛られていると言われたが、野菜も追加でトッピングすることにした。
辣さは“少しだけ辛い”で注文。
ほんの数分で麺鉢が運ばれてきたら、それでもなかなかに辣そうな色だ。
麺を引き上げてみると、かなりの量。
でもなんだか、コシがありそうな感触。
食べてみて、お!!と止まった。
この麺おいしい!!
ほかの中華料理店にも、辛い麺を食べられる店にも行くけれど、ここの麺はこれまでパリで食べたなかでいちばん好みな気がした。
今度はスープなしで食べてみたい。
午後3時なんていう中途半端な時間にお昼を食べに行ったのは、すぐ近くにある4時からオープンのパン屋さんArchibaldに寄りたかったから。
麺はあっという間に食べ終わってしまって、パン屋さんの前に着いたのは3時50分。
店のカーテンはまだ閉まっている。
でも中の明かりが点いているのは見てとれたから、日向で本を読みながら待つことにした。
フィガロのパリ特集で見てから来てみたかったのだけれど、なかなか機会がなく、やっと。
カンパーニュ系の大きなパンのみの販売だが、スライスして売ってくれるとわかり、シード入り、ふつうのカンパーニュを3枚ずつ、それに量り売りでプティ・エポートルのパンを購入。
4時のオープンを目指してくる常連客がたくさんいるようで、店内はあっという間にいっぱいになった。
この様子から察するに、早めに来ないと売り切れてしまうパンがあるのだろうな。
よいパン屋さんだ〜とうれしくなりながら外に出たら、辛いものを食べたからか甘いものが欲しくなった。
帰りにメトロを乗るつもりの駅近くにミルクパンのおいしいパティスリーがあるから、そこに寄ろうと歩き始めたところで、すぐに通りかかったパン屋さんの窓に、2019年のエクレアコンクールでパリ3位、と貼られているのが目に入った。
店の前にはテラス席も出ている。
ということはコーヒーもあるだろうし、何より“いま甘いものが欲しい”気分だったから、そこで食べることにした。
Paris&Coというなんともシンプルな名前のお店。いくつか店舗があるようだ。
すんなり入ってくる濃度のエクレアは、ある程度お腹がいっぱいの状態で食べるのにちょうどよかった。
暖かい日差しの中、つかの間、休日の午後を過ごした気分になった。
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