ルイ・ヴィトン財団美術館と、オニオンスープ。
ぷわぁ〜っと飛び立ちたいような気持ちになると、ルイ・ヴィトン財団美術館に行こう、と思う。
見応えがありそうな展覧会も開催中だったから、連休の合間に行くことにした。
前回訪れたエゴン・シーレ&バスキア展のときも大変な混雑に驚いたけれど、今回の『コートールド展』もけっこうな混みようだった。
イギリスの美術蒐集家コートールドによるコレクションは、マネの作品から始まる印象派が中心の展示で、そこかしこに人だかりができていた。
私は実は、それほど印象派の絵画に惹かれない。
それが、コレクション、そしてキュレーションによるのか、はたまた自分が変わったのか、実に引き込まれる作品が多く、たびたび足を止めて見入りながら進んだ。
マネに続いて、ルノワールの春を描いた作品の美しさにも思わず立ち止まり、モネのサン・ラザール駅にはその時代の喧騒を想像した。
ドガの踊り子も、ここで展示されていた作品はとても好きだった。ロートレックの、あぁこういう女性いるよねぇと思える絵画のあとに、セザンヌの手紙と、サント・ヴィクトワール山の水彩画、ゴーギャンの版画をじっくり観て、最後の展示室にあったのはターナーの水彩画。
来て本当によかった、と得した気分になれる企画展だった。
なんだかうれしくなって、そのままテラスに向かった。風が吹いていてもいなくても、ここに来ると風を感じに旅に出たくなる。
今年後半、行きたいと考えている旅先はすでにあるのだけれど、その前に、“あぁやっぱりあそこに行こう”とある場所が思い浮かんだ。
近いうちにいけるといいなぁ。
LV財団コレクションも展示中で、いくつか見たいアーティストの作品があったので、楽しい気持ちのまま館内へ戻る。
いちばん見たかったリヒターは、最近の作品の中にひとつだけ、60年代に制作されたものがあった。
これくらい広い空間に展示されると距離を置いて観ることができてうれしい。
草間彌生のミラールーム、最後にスーラージュの作品をじっくり。誕生年が1919年と記されていて、現在99歳と知り驚く。
展示されていたものは2002年の制作。82歳で作ったのか……と思ったら、なんだか呆気にとられた。
閉館の案内が流れる中、ミュージアムショップへ。
「Le Journal」というLV財団美術館が発行している冊子が、大きさといい薄さといい紙といい発色といい、中の構成といい、帰り道、余韻に浸るのにとてもよい塩梅なのだ。
80ページで5ユーロにしては大充実の内容で、これまたとても得した気分になる。
館内は少し冷房が入っていて、長くいたからか身体が冷えてしまっていた。
“今日はご褒美の休日”と思って、帰りにはカレットに寄ってクープ(パフェ)を食べるつもりでいたけれど、変更。オニオンスープにすることにした。いずれにしても、カレットへ。やっぱりご褒美気分だ。
もしかしたら夏になるとスープはないかしら?と思って聞いてみたら、1年中あるという。よかった。
クープは、次回。
この店のテーブルは、ちょうど膝くらいの高さに小さなバッグなら置ける台が付いている。
何かを置いたら忘れてしまいそうだから、実際に置くことはない。でも、このテーブルがとても好きなのだ。
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