パリ街歩き、おいしい寄り道。

Grammeと、アンリ・カルティエ=ブレッソン財団。

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この1月の終わりは、会期を終える展覧会がいくつもある。
やっとメトロもほぼ通常運行になったから、時間の許すかぎり足を運びたいと思っているのだが、残念ながらやはり全部には行くことができない。
優先順位をつけて、これは観ておきたい!とまず思ったのは、3区のアンリ・カルティエ=ブレッソン財団の企画展だ。
向かうメトロの中でお腹が鳴ってしまったので、先にお昼を食べることにした。
財団のはす向かいに1年ほど前にオープンしたGrammeに行ってみたかったのだ。
朝からオープンしているコーヒーショップで、朝食はもちろん、お昼には日替わりのサラダとサンドイッチがあり、おいしいよ!と何人かから聞いていた。
何度も前は通っているけれど、入ってみたら、外から見かけるよりもずっと可愛いお店だった。
そして、とてもいい匂いが漂っていて、湯気も立っていて、スタッフもすごく感じがいい。
席に着いた時点でもううれしくて、メニューをめくったら1ページ目にパリの地図が描かれ、扱っている食材がどこから来ているかが記されていた。その地図もまた可愛らしい。
キノコと目玉焼きのタルティーヌも、バインミー・ドッグも惹かれたけれど、台の上に並んだデザートに目が行って、すでにデザートも食べたくなっていたから、粉物(パン)は避けようと、サラダを取ることにした。
火を通した野菜が中心の彩りが美しいサラダは、ナッツにレンズ豆、ゆで卵も添えられて、ボリュームしっかり。野菜の下にはラブネ(中東の塩味のヨーグルト)も隠れていて、味の変化も楽しめ、とてもおいしかった。
デザートは、リンゴのケーキにした。ケーキ自体はほんのりと甘さがあるくらいで、クリームと、塩バターキャラメル味のソースを合わせて食べても、甘い!と感じず、だから、クリームもソースも残さず全部きれいに食べた。
ブリオッシュのパン・ペルデュがとてもおいしそうだったから、今度は朝ごはんに行きたい。


通りを斜め前に渡れば、カルティエ=ブレッソン財団の入り口だ。
1948〜49年、1958年にカルティエ=ブレッソンが中国で撮った写真の展覧会。
中華人民共和国政府が設立される直前をカメラに収めた、貴重な資料でもあるからか、この美術館には珍しく、とても混んでいた。
お米の配給を待って列を組む子どもたちや、台風の後に洪水となった上海の街、分厚い札束をいくつもくくりつけて運ぶ自転車など、中華民国時代の北京や上海の街角の様子を垣間見ることのできる展覧会だった。
なんだかどの写真も力強かった。昼寝をしているシーンでさえも。

2月2日までの予定だった会期は、2月9日までに延長されたらしい。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


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