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ボローニャ「森の家」暮らし

森の家はみんなの家。友達の輪広がる8月。

森の家では、先月から新しくスタートしたことがある。
それは、「アパートの鍵貸します」。

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大きな大きな家(地下とガレージ別で1000㎡!)は、修復していない部屋がいくつもある。それでも工面すればふたつアパートができるので、試しに夏の間貸しアパートをすることにした。

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いつものキッチンは……、

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向こうのリビングとの通り口を塞いだ。

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階下と反対側の部屋に繋がる扉(写真左)は開かないようにした。

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ここにはもともと扉はなかった。

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森の家を購入して半年後くらいに、はじめに改装をした空間。
壁を塗り直して部屋らしい部屋ができて、感動的だった。
1800年半ばに建てられた森の家には、戦時中アメリカ軍が滞在していて、その後ほぼ放置されていた。

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4フロア、何部屋もあるのに、水場は一カ所。大理石の台に穴が開いていて、ホウロウの蓋がしてあったのが、唯一のトイレだった。暖房は4つの暖炉のみ。

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屋根と石造りの外壁のしっかりした構造以外、配管配線すべて一から手を入れないといけない、非常に手のかかる物件。

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7000㎡の敷地は、アップダウンがある栗やオークの林、今や雑木林。こんな面倒な物件は売り出されて5年以上買い手がつかなかった。それに惚れ込んだのは、代々建築が家業の夫、パオロ。
家の中と同じくらい、外もすごかった。

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母屋の玄関の外。あたりは雑木林化していて薄暗く、向こうの景色なんてまったく見えなかった。

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それを、私は2歳にならない次女のみうを背負い、枝切りハサミやノコギリで徐々に切り開いていったのだ。だんだん空とランドスケープが見えるようになってくることに達成感はあるものの、その量に途方に暮れたものだ。

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薪の窯と鶏舎がある家の前にある、この建物も天井が崩れていた。

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修復してからは、友達と集まる時は、直した窯でピッツァを焼くのが定番に。

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いまは外のテラス席になっているところ。

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石を積んで砂利を敷き平らにして、ガゼボ(柱と屋根の構造物)を造ったので、食事も宿題も作品作りもここですることが多い。

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右側は納屋だった。

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いまではアトリエ兼ショールーム兼、集いのスペースに。

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納屋から出たものを溜めて、堆肥にするために掘って石造りの壁で造られた掃き溜めは、大きな長方形なので、プールにぴったり。本格的なプールを作るのはまだ先。でも去年の夏、市販の簡易プールを置いてウッドデッキを造ったら、悪くない出来。

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これができる前までは、ちびっ子プールだった。

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ノラと生まれて1カ月のモモ親子が来た2016年の夏。薪オーブンも修復前。
ちなみにプールもロバも(ヤギも)パオロから私への誕生日プレゼントだった。 いままででこれがいちばん役に立ってみんなが喜ぶ贈り物だった。
さて、貸しアパートは、母屋のエントランスの反対側、裏口から。

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いつもロバが覗きにくるところ。入ってすぐは暖炉のあるキッチン。

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階段を上がったところにリビング。

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家じゅうにある花の絵は、画家だったパオロのお母さんの作品。

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私の作品は家のあちこちに。

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これは、窓辺に来てガラスをつついて行ったヤツガシラ。

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北側の部屋、カメラ・ノルド。

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この部屋の窓から見えるのは、青々とした草原。そして麦畑、麦ロール、耕された後の荒々しい大地。夕方になるとよく山からシカが降りてくる。

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バスルームは、廊下の物置になっていたところを部屋と繋げて造った。

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タオル掛けやトイレットペーパーホルダーなど、備品は手作り。

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南側の部屋、カメラ・スッド。

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ハンガー掛けは、森で拾った栗の枝。

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クッションはカーテンの残り生地。カーテン自体はパオロが工事した弁護士事務所だった物件に残っていたもの。

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こちらのバスルームのサニタリーもパオロが解体した物件にあったもの。ここも隣の部屋を半分潰して造った。

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子どもたちが大好きな部屋で、よく誰かしらこのソファにごろごろして本を読んでいた。

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キッチン付きのアパートを提供するにあたって、私たちのキッチンを造らなければならなくなった。それで、もと薪や農具などを置いておく部屋で、薪とソーラーパネルで全館の暖房やお湯を供給するストーブを置く予定のスペースに、仮のキッチンとダイニングを造った。
土間状態だった床にコンクリートを流し、配管して、再度コンクリート、その上にレンガを敷いた。

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レンガを敷く土台に足跡をつけてしまった三女のたえ。足跡は見えなくなるので、代わりに手形を残した。森の家を買った後に生まれたたえは、漢字で大恵と名付けた。私の苗字と合わせると、「小さな林の大きな恵」。文字どおりここに恵をもたらしてくれているよう。ちなみにこの梁の部分は、1700年以前のものだとか。もともとあった構造に増築してこの家は造られたようだ。
このキッチン、仮とはいえ、センスと行動力抜群の友達のおかげで、ありものだけでこんな形になった。

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木工の職人が使う重たい作業机は南米に引っ越したパオロの友達が置いて行ったもの。パスタを打つ麺棒が内蔵してある大理石のテーブルは、パオロの実家の夏の家にあったもの。
丸見えだった配線チューブはジュートで目隠し。

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立派なガスコンロとオーブンは、展示品を買ってあったもの。いつ新しいキッチンができるか見通しが立たないなか、仮キッチンで早く日の目を見られて私もうれしい。

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隣のダイニングスペース。買い貯めた食材ストックはヴィンテージの引き出しを使ってディスプレイ。キッチンもダイニングもゲストルームのディテールも、パワーハウスの友カテリーヌが家族と寝泊まりして手伝ってくれたおかげで出来上がった。

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パオロが手がけた物件から回収して屋根裏にしまってあった、カラフルな縞模様のベルベットの カーテンを引っ張り出し、気球の絵がたくさん飾ってあるリビングにぴったりだからと採用したり、カーテン生地を使ったクッションを作るアイデアは、全部カテリーヌのもの。同じくらいエネルギッシュでセンス抜群のユリアも一家で泊りにきて、クッションを縫ってくれたり、オープン前はかなりエキサイティングな合宿生活を送った。そしてこんなクリエイティブで行動力抜群の友達に恵まれて最高!! と感謝の気持ちでいっぱいに。

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そしてやってきたはじめのゲストは、貸しアパートをするかも、とソーシャルメディアで告知したらはじめに連絡をくれた、ミュージシャンのカテリーナ

モジュラーシンセサイザーを使って作曲、パフォーマンスをするカテリーナは、ボローニャ出身 で、いまはミラノ在住。売れっ子で、世界中の音楽フェスやファッションショーなどに引っ張りだこ。日本でも2度コンサートをし、去年日本版CDも出している。この夏も本当は各地のサマーフェスで演奏する予定が、ほとんどキャンセルになったので、家族がいるボローニャから行きやすいところでサマーハウスを探していたそう。それで、貸しアパートをすることに決めたよ、と伝えると、即1カ月の滞在を決めてくれた。

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カテリーナと同じくミュージシャンのボーイフレンドのカルロは本当に素敵なカップルで、子どもたちもたくさん遊んでもらっている。カルロはプロ並みのチクリスタ(サイクリスト)で、5カ月のロックダウンの間、ミラノのアパートに缶詰だった分、水を得た魚のように自然の中での自転車ライドを満喫している。チクリスタ初心者のカテリーナもカルロと毎日出かけ、すっかり立派なサイクリストに。

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ボローニャの音大でクラシックギターを専攻したカテリーナ。一緒に滞在中のパパもプロのミュージシャンだったことがあり、ギターやフルート、サックスを持ってきていて、親子で演奏を楽しんでいて、本当に微笑ましい。お姉さん、お母さん、おばあちゃんも森に滞在して、濃厚な時間を一緒に過ごしたカテリーナの家族は、もはや親戚のよう。貸しアパートの初めてのお客さんとこんな関係が築けたことに、感謝しかない。
カテリーナの音楽にインスパイアされて作ったのは、モビール。

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重なり合う音はループしながら変化し、瞑想的。

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カテリーナとも散歩した野原で採取した植物や石で作った揺らめくモビールは、カテリーナが作り出す音の世界をイメージして作ったもの。

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木漏れ日揺れる芝生の上でギターを弾いて、お気に入りの場所を一緒に散歩して、寝転んで流れ星を見て。私にとって、カテリーナたちと一緒に過ごしたこの夏の思い出を集めたような作品。それを写真に収めてくれたのは、パリから遊びに来てくれたフォトグラファーのアツシ(酒井敦司)さん。カテリーナたちとも意気投合、餃子もピッツァも一緒に作って、この作品のストーリーを体感して撮ってくれた。こんなふうに思い出ごと写真に残してもらえて幸せだ。

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森に集まる素敵な友とご縁に感謝しっぱなしの、2020年、夏のメモリー。

小林千鶴

イタリア・ボローニャ在住の造形アーティスト。武蔵野美術大学で金属工芸を学び、2008年にイタリアへ渡る。イタリア各地のレストランやホテル、ブティック、個人宅にオーダーメイドで制作。舞台装飾やミラノサローネなどでアーティストとのコラボも行う。ボローニャ旧市街に住み、14年からボローニャ郊外にある「森の家」での暮らしもスタート。イタリア人の夫と結婚し、3人の姉妹の母。
Instagram : @chizu_kobayashi

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