ボローニャ「森の家」暮らし

新しい季節、新しいリズムで人生ゲームを航海する9月。

3カ月半の夏休みが終わり、学校が始まったのは9月16日。

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末っ子たえは小学校2年生。次女は中学1年生。小学校と中学校は隣同士なので朝は8時に一緒に送って行く。

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長女のゆまは高校1年生。ボローニャの学校に進学した。(写真はボローニャで行こうと思っていた高校。別の高校を見に行った友達に触発されて、そっちの高校に決めた。)イタリアには受験という言葉はない。入りたい学校に、場合によっては書類、ちょっとしたテスト、私立ならお金、を持っていけば入れる。普通の高校は語学系、理数系、美術系、音楽系、教育系がある。ゆまは、ボローニャで一、二を争う厳しい学校の、ドイツ語で(!)理数系を学ぶ科を選んだ。理数系に行こうとは前から決めていたけれど、一言も知らないドイツ語で、ドイツ式の教育を受けることに決めたのにはびっくりした。学校説明会の時に、ドイツの教育システムがイタリアとどう違うか、それにこの高校を卒業したらドイツの高校を卒業したことと同じことになり、ドイツの大学にもスムーズに行けるというのも気に入ったよう。それに、幼馴染のドイツ人ハーフのニコライもここに決めたことも決定打だったに違いない。

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この高校、1年生は、AからQまで17クラス、1クラス25から28人くらい。入るのは簡単でも卒業する頃には人数は半分くらいになるとも言われている。イタリアの学校では入学式も卒業式もなく、学校の写真をとる機会もなかったくらい。

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生活リズムも変わった。学校まで公共の乗り物で行くとすると、バスを乗り継いで行くことになる。幸い地元の中学の友だちラウラも同じ学校(彼女は英語メインで勉強する科)に行くのと、パパのイヴァンがボローニャ近くで働いているので、乗り換えなくても学校にいけるバス停まで一緒に送って行ってくれる。その待ち合わせ時間が6時45分頃。これから朝は暗くなる一方で、霧や雪も心配だけれど、先のことはあまり考えないことにする。週2日は町の反対側にある分校で授業があり、そこに行く日がふたりとも違うので、バスも変わったり、いろいろややこしい。

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8時始業で、2時間ごとに10分の休み時間があるようなリズム。45分以上集中力は続かないというのに。授業が終わるのは、ゆまは週4日は13時まで、週2日は14時まで。ラウラは週3日14時までで、どの科も土曜日も授業がある。帰りも最寄りのバス停までくるバスは本数が少ないので、家から車で片道10分か20分のバス停まで迎えに行っている。

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学校にはカフェテリアもないので、授業の合間にクラスで間食をするか、帰りのバスで人が少なかったら食べたら、とサンドイッチやつまんで食べられるようなものを用意しているけれど、結局迎えにいった車の中で食べている。朝フリッタータ(具がたくさん入った卵焼き)をつまむくらいで出かけて、14時、15時すぎまで何も食べないで、5年間持つのだろうか、と思うけれど、そのうちリズムが出来てくるだろう。ちなみに、イタリアでは高校は5年間、中学は3年間、小学校は5年間。

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中学生のみうも新しいリズム。授業は8時から14時まで。普段はお昼は家で食べるけれど、週2日は午後音楽の授業を専攻したのでお弁当を持って行く。小学生のたえは8時5分から13時まで、家でお昼。週2日は16時までで給食を食べてくる。(ボローニャの小学校は毎日16時半まであった。)朝5時半に起きるけれど、朝ごはん(といってもフリッタータやチャーハンなどの他はパンにいろいろ塗って食べるくらい)、持たせるお昼の準備、送り迎えともろもろの家事で1日の大半が終わってしまう。田舎に住む大きなデメリットのひとつは、送り迎えや、学校が終わった後の子どもたちのマネージメントの選択肢が少ないことだ。

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この時期田舎生活で楽しいことのひとつは、秋の畑。ブロッコリー、ステムブロッコリー、ケール、カリフラワー、赤キャベツ、白菜、サラダ系など、これからの季節の野菜の苗やタネをたくさん植えた。水やりをしなくても雨水で足りるし、まだ暖かいので育つのも早い。最後のトマトやズッキーニのほか、すっかり忘れていたジャガイモや、6月に収穫しなかったので芽が生えてきてしまったニンニク、リンゴ。

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夏と秋には友だちから野菜や果物のおすそ分けがあるのもあるがたい。

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いつも卵や野菜、自家製のジャムなど、気前よくくれるエレナは、ゆまの親友ラウラのママ。先日大雨が降った時、うちとエレナの家の間の道が土砂崩れで封鎖され、エレナの車でラウラと高校から帰ってきていたゆまは一晩泊めてもらった。翌日、ボローニャ中の学校は休校に。朝、鶏たちや畑を見にいたエレナは、愕然とした。畑の半分が土砂崩れで無くなっていたのだ。

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午後、通りが開通したというので、スイートポテトブラウニーとナッツのパルミジャーノ風を持って、ゆまを迎えに。

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昨年5月、6月も大雨で近辺あちこちで土砂災害があった時のことが思い出される。幸い今回はそこまでひどくなかったけれど、今だにあちこち道が封鎖されている。

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エレナは早速畑を見せてくれた。

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傾斜になっているエレナの庭。段々畑になっていたところは無残にも完全に崩れていた。果物の木の何本も土砂で流され、りんごの木は実を付けたまま10メートル下で斜めになっていた。

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6月の畑の様子。真夏にはトマトは2メートルくらいに高く高く立派に育っていた。そのあと、秋冬の野菜の苗を植えたばかりだった。これだけ崩れたらショベルカーでもないと整備するのに随分時間がかかりそう。もう畑は来春からにする、と言っていたけれど、庭の上の方に植えられるかも、と思って、翌日苗をいろいろ買って持って行った。

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植えらえる時期は9月下旬まで。シーズンぎりぎりだけど、天候に恵まれて元気に育ってくれますように。

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毎年春と秋にアドリア海の町、リミニで開催される素敵なガーデニングの祭典、ジャルディーニ・ダウトーレ。春は芽吹きと太陽の季節にワクワクしながら、花々が咲き緑きらめく夏の庭を、秋は過ぎ去った夏の暑さにほっとして、次の年の庭のイメージを抱きなが訪れる。

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今年も会場はお城の広場で。どこを切っても絵になる景色。

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春と秋と、毎年アントニオの植木屋さん、ソルボでいろんな苗を買っている。この秋は、ナシの幸水(ナシを植えるのは3本目。1本はロバに倒され、春に植えたものは暑さに苦しんだ。)、ナツメ(去年植えたものは倒れた木の下敷きになって終わった)、ブルーベリー(過去に6本植えたけれど、暑さとおそらく水不足枯れた)を購入。ちゃんと育ってくれますように。

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アントニオのブースの目玉は、いろんな種類のリンゴや洋ナシなどのプレゼンテーション。これをみると毎年1種類ずつでも果物の木を増やしたくなる。

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大きくなってね。

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雨がたくさん降って大地がしっかり水を吸い、太陽が出て暖かくなると、待ちに待ったキノコの季節がやってくる。

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うちの庭でもハラタケやシバフタケがたくさん生えてきた。こうなると森に行ってみるしかない。

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この辺りは栗林が多く、この時期栗の収穫に合わせて枯葉などが取り除かれ、キノコが育つのにぴったりな環境になっている。栗林には、栗の収穫時期には立ち入り禁止の札がかかっているので、キノコ狩りもできない。キノコ狩りに行くには一年有効なパスを購入しなければいけないけれど、パスを作った年はいつもキノコが取れないので、今年は作らなかった。それで、確実に美味しいキノコが見つかるドナートの栗林にお邪魔した。

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あったあった、タマゴタケ。白い卵状のキノコからオレンジ色の傘が出てくる姿は感動的。

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レアな黒ポルチーニ。

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葉っぱに隠れたキノコは、どこに美味しいキノコが生えるか分かっている玄人でないとなかなか見つからない。

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松林の下には傘がヌルヌルしたキノコがたくさん生えていた。これはヌルヌルを剥がして、水がたくさん出るので、他のキノコと分けて炒めてなんども水を切るのだそう。

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家に帰ったら、大量に収穫した「格下」のキノコを調理。

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大きな中華鍋山盛り2回分、炒めると量が減り半分以下に。

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子どもたちはキノコは姿が見えると食べないことが多いので、調理したヒヨコ豆、ポロネギ、カボチャなどと一緒にブレンダーでまわして、クリーム状に。それに、大人は別に炒めたポルチーニを乗せ、トーストして塩バターを乗せた自家製天然酵母パンでいただいた。

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タマゴタケは生のままでサラダに。定番はセロリとパルミジャーノなど熟成チーズとすべて薄く切って、オリーブオイル、レモン、塩胡椒でいただく。これを厚切りにしてオリーブオイルと醤油で食べると、大トロのような後味でびっくり!

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それは、ドナートの家でキノコディナーをご馳走になった時に発見した。

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マリアローザは、これ以上ないほど新鮮なポルチーニやタマゴダケを惜しみなくザクザク切って、グラナパダーナチーズ、オリーブオイル、レモン、塩胡椒でサラダを作ってくれた。それが感動的に美味しくて、ポイントはキノコの切り方ではないかと思った。鼻腔は森の香りでいっぱいに。そして後味が大トロ、もしくはちょうどよく熟したアボカドを思わせる奇跡を、鼻をヒクヒクさせながら酔ったように堪能していたら、また自分の世界浸ってるのね、とマリアローザに笑われた。

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ドナートとマリアローザは、やり取りがまるでお笑い芸人。もちろんマリアローザが突っ込み役。いまは髪はハイライトだけ紫だけど、一時頭半分は紫色だった。爪も時計も携帯カバーもグリッターの紫色。『王様の剣』の、森に住むボサボサの髪が紫色の魔女、マダム・ミムに似てると思うなんて、絶対言えない。

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いつも9月上旬にバカンスに行くけれど、今年は老犬のゆずを置いて1週間も留守にできない、とパオロがいうので、家族で遠出することはなかった。仲良しのカテリーンに、ヴェネチアにアート&クラフトのフェアに行こうと誘われ、それなら家族も連れて行って、パパたちに子どもたちを任せてフェアはふたりで見に行ったらいい、ということになり、急遽日帰りでヴェネチアに。家族で電車に乗ることなどなかったので、みんな嬉しそう。

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ボローニャから1時間半でヴェネツィアに到着。まず人の多さにびっくり。それで裏道を通ってゲットーエリアに。

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人気観光エリアとは離れるので人数少なく、ひと安心。

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朝早く出たので、素敵なバールがあったらコーヒーブレイク、と思うも、みんなお腹が空いていたようなので、早めのランチ。子どもたち3人は、ヴェネチアにいながらしてローマ名物のカルボナーラ。

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ヴェネチアは地図を見ないで探索するのが楽しい。ここは、16世紀ヴェネツィア・リナシメントの重要な画家、ティントレットが住んでいたところ。

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ティントレットの絵が飾られている教会は、通りがかりのおじいさんが、いろんな伝説とともに教えてくれた。

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路地裏の版画工房。

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ヴェネツィアでは三角のサンドイッチ、トラメッツィーノが名物グルメのひとつ。

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ジェラートはボローニャの方がレベル高いし安い。

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そうこうしている間に、フェアの入場時間が近づいてきたので大急ぎで水上バス、ヴァポレット乗り場に。

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目指すは、サン・ジョルジオ・マッジョーレ島。

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到着!

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会場のフォンダツィオーネ・ジョルジオ・チーニは、初めて来たけれど、庭も建物もとても素敵。

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今年のテーマは、ジャーニー・オブ・ライフ、人生の旅。中庭には長いヘソの尾がぐるり一周。壁には各国のアーティストが表現したガチョウのゲームのパネルが並ぶ。人生はゲームのようなものだということか。

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10の会場は、誕生、幼児期、セレブレーション、継承、愛(求愛、結合)、旅、自然、夢、対話、死後の生命をテーマに、50以上の国から4,000点を超える作品が展示されていた。

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この部屋はセレブレーション。祝いのテーブルには、銀食器、クリスタルのグラス、華やかな陶器のセンターピースなど、民芸的なものからアート性の高いものまでさまざまなものが並ぶ。右手前には日本からの作品。銅線で作った豆腐すくいや茶こしなど。

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各部屋には実演コーナーがあり、職人の技に見入ってしまった。愛の会場には、ルーブル美術館からは、家具や時計の修復職人が。

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旅の会場には、地球儀メーカーが。

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この世界地図は、フランスのグラフィックデザイナーで地図やテリトリーに魅了されたシャーロット(Charlotte Bourrus)の作品。

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こんな細かい作業は苦手だけれど、見るのは大好き。あちこちにメッセージが書かれていて、見入ってしまう。

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このフェアですごいなぁと思ったのは、会場の演出。各部屋の壁も床もテーマに合わせて抜かりなく手が入っていて、素晴らしい。旅の会場の壁は、ゴザのような素材で覆われていて、青草のいい匂い。

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この会場のティールームで休憩。

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スプリッツは、ヴェネツィア発祥のカクテル。アペロールやカンパリを、プロセッコとガス入りの水で割る。セレクトはヴェネツィア生まれのリキュール。オリーブが乗っていないのは、低アルコールで作ってもらった私のもの。

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ゆっくりしていたら残り時間が限られてきて、追い込みで後半戦。自然の会場でいちばんドキッとしたカゴ。こんなダイナミックなデザイン、どこの国の人だろうと思ったら、竹細工で有名な別府の油布昌伯さん(1941~)の作品だった。

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夢の会場は別名ダークルーム。会場中央には水が張られ、赤い布で包まれたものがジャンプ台に見えたので、もしかしたら、と聞いてみたら、60年代にできたヴェネツィア初の公共のプールだったそう。今回の展示用に、30年ぶりに水が張られたそう。両サイドにはさまざまなマスクが飾られていて、みんながマスクを被って仮装するヴェネツィアのカーニバルを思わせた。

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帰りのヴァポレットに乗り遅れないように駆け足気味で会場を出た。乗り場には長蛇の列。確実に9割以上ヴェネチアの外から来たのだろう。アートやクラフトが好きなさまざまな国籍の人たちがいて、人間ウォッチングも楽しかった。

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ヴェネチアならではのこの景色、魅了されない人はいないだろう。

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それから大急ぎで駅へ。帰りの電車で家族と合流。カテリーンは食べ物買っておいてね、と指示を出していて、今回まだ食べていなかったトラメッツィーノが出てくるかと思いきや、スーパーの袋からパンやプロシュット、スライスチーズ、皮をむいたニンジンやミニトマトが出て来た。電車は満員、そんなことは気にも留めず、みんな膝の上で各々パニーニを作って食べた。こんなことは20年間ガールスカウトをして、バックパックでアドベンチャー三昧をして来たカテリーンだからこそできること(!?)。気の合う友だちとする旅は。楽しさ倍増だ。

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新しい生活リズムにまだ慣れられず、毎朝の習慣のメディテーションやヨガの時間はかなり削られ、数時間ごとに何かあるので作品作りに没頭できる時間などなく、フラストレーションを感じずにいられない。けれど、ママの畑とってもすてき!とたえに言われて嬉しかったり、とっちらかっているみうの部屋のベッドの脇に小さな祭壇が作られているのを見てニッコリしたり、シャイだったゆまがもう高校で友だちができたと聞いてホッとしたり、みんなに育てられてるんだな、今はこれでいいんだきっと。と思う。窓辺に植物と一緒に置いたシンギングボールの中には、羽が。たえが入れたのだろうけど、エンジェルの印だと思えてならない。

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人生は負けのないゲーム。大なり小なり成功と挫折を体験し、酸いも甘いも噛み締めて、経験を積み、学び、少しでも成長できたらそれでいい。そしてあまり深刻にならず、楽しまなければ。今日も大海の波に乗り、人生の旅を満喫しよう。

小林千鶴

イタリア・ボローニャ在住の造形アーティスト。武蔵野美術大学で金属工芸を学び、2008年にイタリアへ渡る。イタリア各地のレストランやホテル、ブティック、個人宅にオーダーメイドで制作。舞台装飾やミラノサローネなどでアーティストとのコラボも行う。ボローニャ旧市街に住み、14年からボローニャ郊外にある「森の家」での暮らしもスタート。イタリア人の夫と結婚し、3人の姉妹の母。
Instagram : @chizu_kobayashi

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