ボローニャ「森の家」暮らし

手作りの贈り物で感謝を伝える。ナターレ色の12月。

あっという間に12月。日に日に木の葉は散り、朝方は零下になる日が増えてきた。

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冬至の日の出。

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東にある小高い丘の脇から日が昇る夏至の時に比べると、随分南側から昇る。日が沈むのも、冬は南西で、あまり高く日は上がらないので、一日中影が長い。そんな変化も、田舎にいるとよくわかる。 

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畑の野菜、霜に弱いサラダ菜やパセリなどは、不織布で保護。昨年はこうして冬中、畑の生野菜を少しずつ食卓で楽しんだ。

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畑の寒さ対策をしたあと、予報通りに雪が降った。

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一晩で一面銀世界に。

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いつもの景色は、魔法にかかったよう。

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標高534mのうちでは積雪25センチほどになったけれど、少し丘を降った標高500mのお隣の村では道路が白くなることもならないくらいで、標高714mの最寄りの町では40センチ以上降った。

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子どもたちは待ってましたと大喜び。頬を赤くして、(黒い)カマクラ作りに熱狂していた。

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2、3日降った雪。その後晴天の日が続き、日向は徐々に溶けていったものの、日陰では長らく雪は残った。それで近所の丘でソリ遊び。

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朝に夕方に、たくさん滑った。

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私は毎日朝晩、キャンドルに火をつけて、お祈りしたり、メディテーションしたり、ヨガをしたり。自分と見つめ合う時間は歯磨きするのと同じくらい欠かせないものに。

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雪が溶けて来たら、日の出にいつもの場所へ、朝日を浴びに。

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溶け始めた雪が夜の間に凍って結晶になり、朝日をキラキラ映す様子はなんとも美しく、手がかじかみきるまでずっと見ていた。

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イタリアでは12月8日は無原罪のお宿りの日で、カトリック教徒にとって重要な祝日のひとつ。この日からナターレ(クリスマス)の季節が始まる。ナターレの飾り付けもこのころから。いつものように近所のドナートのところにモミの木やイトスギの枝をもらいに行った。そして午後遊びにきてくれたカテリーンが、私が飾ってあげる!と、立てかけてあった長いクリの木の枝に緑の枝を掛け、せっせとツリーを作ってくれた。

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そのまま枝を掛けるだけではボリュームが出ないので、作ったけれど使わなかった45センチほどの卵の半球型の作品を枝の下にたくさん敷いたら、立派なクリスマスツリーができた。

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テーブルにも緑のリース。キャンドルを立てたらすっかりナターレのムード。

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毎年この時期、親友のユリア一家とサン・ニコラス(サンタクロースのオリジナル)を祝ったり、ナターレ伝統のクッキーを作ったりしていた。ユリアは年明けにある3つの個展(そのうちのひとつは私と共同展)の準備で大忙し。それで、今年は手抜きナターレ。うちもカテリーンがきてくれなかったらツリーはいつ作れたことだろう。

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幸いユリアのお母さん、バルバラが、子どもたちとクッキーを作ってくれた。母国ドイツでは12月初めの日曜日の前の週には10種類以上のクッキーを焼き上げ、ナターレの挨拶にやって来る友だちをもてなしていたそう。

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この日作ったのは、プレッツェルと呼ばれるシンプルなクッキー。

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こんな小さなプレッツェル型にして、コンデンスミルクと大粒の砂糖をかける。

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ちょっといびつだけれどそれも愛嬌。

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大きな鉄板3枚分のクッキーは、あという間になくなった。

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この後ユリアと巻き寿しを作って、私は子どもたちを置いて、最近知ったコーラスのコンサートを聞きに行った。前日にはユリアとハレー・クリシュナ・マハマントラを唄う瞑想の会に。1時間半、プラーナヤーマ呼吸法の後マントラを歌ったら、なんとも爽快な気分に。

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この世のすべては振動エネルギーでできていて、常に動き変化し、影響しあっている。サウンドヒーリングに興味を持ち、いろいろ調べたり試したりしてきたけれど、いま一番興味を持っているのは、自分の声。祝詞やマントラ、賛美歌など、世界中でその音や音のパワーを活用して宗教や文明を築いてきた。自分の声は、私たちの神殿=身体、細胞すべてを振動させる、非常にパワフルなもので、最高な浄化と癒しのパワーがある。聞きに行ったコーラスがとっても良く、来年お試しコースに参加してみたいと思う。

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昨年、バッボナターレはパパとママだと知った子どもたち。それでも次女のみうと三女のたえはお手紙を書いた。町にサンタ行きのポストが設置されていて、たえはポストに投函しに行った。「一人じゃ一晩で届けきれないからママとパパが手伝ってるんだよね」なんていうたえ、愛おしい。

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ナターレのギフトは手作りで。ここ1カ月ほど使ってとても気に入っているスキンケアや、キャンドルなどを、いくつも作った。

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大豆を原料にしたワックスにエッセンシャルオイルを加えて作ったキャンドル。

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蝋が固まってきたら、スターアニスや、プーリア旅行に行った時、木になっていたレッドペッパーを飾った。

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メルカートで買った可愛いカップや、旅行先で食べたヨーグルトが入っていた焼き物のカップなどが、キャンドルの器に。

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毎年春から夏に養蜂家がうちの庭に蜂の巣箱をおいて行き、秋にたくさんハチミツをくれる。そのハチミツに、生姜、シナモン、ブラックペッパー、ターメリック、カイエンペッパーを加えたスパイシーなハチミツは、風邪、喉の痛み、吐き気、関節痛の緩和、免疫力の向上など、さまざまな効果がある。

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市販されているサラサラで凝固しないハチミツは、たいてい熱加工されていて、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、抗菌作用などのハチミツの素晴らしい効能が有効でなくなってしまっている。うちに届く無加工のオーガニックハチミツは、ほとんどが冬は凝固している。このままではスパイスを混ぜ込むのは無理なので、湯煎をしなが作業した。

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こうして作ったハニーボム(ハチミツ爆弾!)。1日小さじ1杯をぬるま湯に溶かして飲んだり、チーズにつけたり。またはドレッシングに入れても美味しい。

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いろんな添加物が多いリップクリームも手作り。ミツロウ、ココナッツオイル、シーバター、ビーツバウダーを湯煎で溶かして作るリップクリーム。

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ほんのりピンクで可愛い出来。

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これにホホバオイルとキャスターオイルを加えたら、リップグロスが出来る。

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ただ、この容器に入れるのがとても大変だった。ジョウゴを使っても、外気が冷たいので途中で固まってしまうのだ。この問題さえなければ、色合いも良いし、安心素材で簡単にできるので、みんなにオススメしたい。

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イブの日。駆け込みでプレゼントを買いに行く人たちで街はごった返す。

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イブにはカトリックの宗教的には肉は食べない日で、通常魚と野菜料理を食べる。

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今年はマイタケのスパイシー唐揚げを作った。コーンミール、小麦粉、スパイス、ソイミルクをドロドロにといたころもに、コーンミール、小麦粉、スパイスに若干のソイミルクを混ぜて作る乾いたころもをしっかりまとわせ、カラッとあげた。

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キノコが苦手な子どもたちにも、これは飛ぶように売れた。それに、タラのマンテカート(干し鱈を水で戻して牛乳で煮て、ニンニク、塩胡椒、オリーブオイルで味付けたディップ)、インサラータ・ルッサ(ロシアサラダと言われるジャガイモのサラダ)、フェンネルとオレンジのサラダなど。

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あまりスペシャル感はないけれど、みんな美味しく食べてくれるのがいちばん。

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ナターレの朝。子どもたちがプレゼントを開けて盛り上がっている間に、小麦粉とカボチャの種の粉のクレープに、豆腐と自家製マルメロジャムのクリームと果物を挟んだケーキを作った。

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美味しい!毎日作って、と言ってくれるのはうれしいけれど、大変なので、(たまに)週末には作れるかも。

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ナターレのランチは友だち一家の家で。リクエストされたのは、華やかなパン。畑のケールとニンニク、レモン、ニュートリショナルイースト、オリーブオイルなどでまずは緑のペスト作り。

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前日から仕込んでおいたパン生地を長さ60センチに伸ばして、ペストを塗る。

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生地を三つ折りにして長く3本に切り、中央から三つ編みに。

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こうしてパンのリースができた。

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パンが焼きあがって大急ぎで向かったカテリーンとロレンツォの家。

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前日からナターレのテーブルを子どもたちと準備して、とても素敵な雰囲気に。

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何十年も前に離婚して、それぞれ新しいパートナーと暮らすロレンツォの両親たちと一緒にお祝い。孫たちは近くに元気なおじいちゃん、おばあちゃんたちが4人もいてうらやましい。

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パンのリースはというと、あまり膨らまず、せっかく綺麗な色だった緑のペストは色合いを失ってちょっと残念。でも味は好評でよかった。

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カテリーンからリクエストされたもう一品は、ケールとポロネギ、赤い模様が入ったインゲン豆入りポレンタのオーブン焼き。

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レシピ通りに作ったら鉄板一枚分以上出来て多すぎたけれど、こんな料理は冷凍もできて良い。

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ベルギー出身のカテリーン、おばあちゃんがいた頃は、ナターレの前菜を何種類もつくっていたのがとても楽しみだった思い出があり、カテリーンも毎年前菜に力を入れるのだそう。

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ツリーは次女のクロエがほとんどひとりで飾り、テーブルの飾りと玄関のリースは長女のミラが担当。みんな上手!

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ロレンツォの父方のおばあちゃん、リーナは生パスタ屋さんだった。リーナから生パスタを学んだロレンツォは、カテリーンとテイクアウト&イートインのお店、スフォリア・リーナをリブランディングし、今ではボローニャで知らない人はいない人気店になった。

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お祝いごとに欠かせない伝統の詰め物パスタ、トルテッリーニはもちろんお店の工房で作られたもの。

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通常ナターレのセコンドと言ったら、トルテッリーニを茹でるブロードを作るときに使ったいろんな種類の湯で肉(ボッリートミスト)に、緑のソースをつけて食べるもの。それではつまらないと、カテリーンはカモのコンフィを作った。カモ脂が手に入らず、バターで代用。オーブンで何時間も低温でバターのお風呂の中でじっくり焼いたコンフィ。美味しいけど、やっぱりナターレにはボッリートが食べたいよね、と、伝統派のおじいちゃんたち。

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ローストポテト、チコリやラディッキオのオーブン焼きとサーブ。苦い野菜は身体が喜ぶ。

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日が暮れてしまう前に、カテリーンとふたりで散歩に。ナターレのお昼ご飯でお腹いっぱいになった人たちが、たくさん散歩していた。カテリーンとは、新店舗のデコレーションにニワトリをオーダーしてくれた6年前からのお付き合い。カテリーンもロレンツォも私と同い年で、カテリーンの子供たちふたりと、うちの上の子ふたりはほぼ同年代。夏休みに子どもたちはおばあちゃんたちの家に一緒に泊まりに行かせてもらったり、みんなでうちに泊まりにきてくれたり、家族ぐるみで仲良し。お互いいろいろあるけど、なんでも話せて、一緒に泣いたり大笑いしたり応援しあえるこんな友だちに恵まれて、本当に幸せ。

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帰ったら、次女のクロエがふたりのおばあちゃんたちとラズベリーシュークリームを作っていた。

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クリームを入れたシューを積み上げて、粉砂糖をかけたら出来上がり。

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なんとも可愛いナターレらしいケーキの完成。

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スフォリア・リーナのパティシエ作のパネットーネも。

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そしてプレゼント交換タイム。事前にくじ引きで誰が誰にプレゼントを用意するかが決められていた。私はロレンツォからの贈り物を受け取った。

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中身は、麻の実が入ったクッション。電子レンジで温めたり、冷蔵庫で冷やして使うもの。小さな街の小さなアトリエで、パンを保温してサーブする袋やエプロンなど、可愛い布で作った作品を作る作家さんの作品。ちなみにロレンツォはみうがプレゼントを贈る事になっていたので、健康食好きな彼にハニーボムを贈ったら、とても喜んでくれた。

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翌日はサント・ステファノの日で、祝日。朝、しばらく会っていないカゾンチェッロの庭園のガブリエッラに贈り物を届けに行った。

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忙しいと思って、ドアのところに置いて帰ろうと思ったら、なんと庭の門からガブリエッラが駆けてきた。こんな瞬間、ミラクルは絶対にある、神さまありがとう!と思う。

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お茶、入れましょう!と家に誘ってくれた。サンルームには冬越しする植物がたくさん。

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時が止まったようなガブリエッラの家にもナターレのお飾りがあちこちに。

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日本が大好きのガブリエッラはほうじ茶を入れてくれた。

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夫で漫画家のルーチョは、毎年ガブリエッラにナターレのマジックを描いた絵を贈っている。今年は、ガブリエッラと、重い病を患っている弟が描かれている。『希望と喜びのこの日にも、ふたつの星が輝いている。あの星はふたりと一緒にいる。そしてふたりを見守り、守っているよ。』

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ガブリエッラは今年もたくさんナターレのお菓子を焼いていた。オーストリアとイタリアにまたがるアルプス山脈東部の地域、チロル地方で幼少期を過ごしたガブリエッラは、ナターレにはドイツ色が強いスパイスがきいたお菓子や、ドライフルーツがたっぷりのケーキを作る。

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作る工程を写真に収めるのが好きなのだそう。50年以上作っているレシピを丁寧に説明してくれた。

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貴重な焼き菓子をたくさん持たせてくれて、庭に満開に咲くロウバイの枝を持たせてくれた。蝋がかかったような艶のある黄色い花は、あま~い香り。12月から2月に花を咲かせるロウバイ、雪の中でこの可愛いらしい花を見つけると思わず微笑んで香りを嗅ぎに近づく。通常なら秋に葉を落としてから花を咲かせるのに、今年は変わった天気で葉が落ちる前に花が咲いたそう。

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気がついたら2時間経ち、もうお昼。お礼を言ってまたすぐ会いにくるね!とお別れしたあと、車に向かうとまた呼び止められ、振り向くと、昨年もいただいたピンツァ(ジャムが挟んである焼き菓子)に、スパイスが効いたクッキーの家と木のお菓子を「食べかけだけど、子どもたちに!」とニコニコ分けてくれた。ありがとう!

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午後、町の山の手、松林にプレゼーぺを見に。

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昨年から、この森のあちこちにボランティアの人たちがプレゼーぺ(キリスト誕生にまつわるジオラマ)を飾るようになった。

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まだ雪が残る松林。土手の赤い印を頼りにプレゼーペ鑑賞。

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木の根や苔の間に可愛く飾られたプレゼーペ。

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自然と一体化していて素敵。

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思わぬところにあったりして、宝探しのよう。

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こんなジオラマ、夢があっていい。

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松林のプレゼーペから山道を下って徒歩1分、こちらはジリオーラの自宅にある大きなプレゼーペ。毎年秋に新しい建物を手作りしていて、昨年までは家の中にあったけれど、今年は大きくなりすぎて玄関のポーチに置かれていた。

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今年増えたもののひとつは、市役所。この秋に決まった新しい市長が市役所の前に。芸がこまかい。

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町の目ぬき通りには、昔あったお店の名前が。

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中央の教会の前には神父。これも新作だそう。こんなジオラマ、夢があって大好き。小人になって歩いて見たい。

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お茶と一緒に、お料理上手なジリオーラ手作りのケーキやクッキーをいただいた。今年70歳のジリオーラはお話しの玉手箱のよう。次から次へ、おもしろい話を聞かせてくれる。ジリオーラの叔母さんは「魔女」だったそうで、家族の誰かに熱が出ると、森に行っていろいろな野草を集めてきて、それを煎じて飲ませると、みるみる熱は下がった。病院でもらった目の痛み止めがまったく効かなかった時は、ウスベニアオイを煎じて飲んだり、目にパックするように言われ、やって見たらすぐ良くなったそう。それに、夜な夜な納屋で暖をとりながら語られてきた言い伝えなど、いつか本にしてもらいたい話ばかり。

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日が沈んだあと、ポーチのプレゼーペはますます風情が出て素敵。

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まだ17時過ぎだというのにもう真っ暗。街を臨むここからの景色は、まるでジオラマを眺めているよう。

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私は本当の1年の始まりは春分だと感じている。冬至からゆっくりゆっくり日が長くなり、大地が春に向けて地下で、雪の下で目覚めの準備を始めていると思うと、ワクワクする。

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町中がお祭りめき、みんな「Auguri、おめでとう!」と声を掛けあう12月は、何かみんなの気持ちが近づく感じがして好きだ。それに、なかなか会えない家族や友だちに連絡してみたり、支えてくれる人に感謝を伝える良い機会だ。

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この目まぐるしく変化し、混沌とした時代をともに生きるみんなは、勇敢なウォーリアーだ。そんな時代だからこそ、内なる光に意識を戻し、呼吸を整え、自分の波動=宇宙に奏でる唯一無事の音色は、貴重で価値あることだということを忘れないようにしたい。そしてみんながそれぞれの物語の主人公で、脚本家、監督であり、重なり合い影響し合いながらユニークなストーリを綴っている。酸いも甘いも作品がおもしろくなるためにあるのだから、あまりシリアスになり過ぎず、ハミングしながら人生の冒険ストーリーを楽しみたいと思う。

小林千鶴

イタリア・ボローニャ在住の造形アーティスト。武蔵野美術大学で金属工芸を学び、2008年にイタリアへ渡る。イタリア各地のレストランやホテル、ブティック、個人宅にオーダーメイドで制作。舞台装飾やミラノサローネなどでアーティストとのコラボも行う。ボローニャ旧市街に住み、14年からボローニャ郊外にある「森の家」での暮らしもスタート。イタリア人の夫と結婚し、3人の姉妹の母。
Instagram : @chizu_kobayashi

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