
映画LOVE! 勝手気ままな2010年ベスト10
編集KIMです。
私は、映画大好き人間で、よく映画特集なんぞも担当しております。
今年は、例年よりも心にじわりとくる作品が多かったような。
そこで、今回は、映画好き編集KIMのベスト10を
報告します~。
まず、10位から!
『人生万歳!』
ウディ・アレンの新作で、久しぶりの全編ニューヨークもの。
アレンの分身のようなパニック症ぎみの主人公の中年男が、
若い娘と恋に落ち~~!
ホームタウンを描くと、やっぱり真の実力=アレン節炸裂だなあ、
って感じです。腹抱えて笑える!
こちらは、現在発売中の最新号2月号の第一特集「フィガロの
本と映画のベストガイド」に詳しく紹介してます!
恵比寿ガーデンシネマにて大ヒット上映中。
©2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
9位『抱擁のかけら』
ペネロペ・クルスは相変わらず、キレイ。そして、
アルモドヴァル映画特有の、「登場人物たちヒミツ」に導かれて、
物語が進行します。愛に傷つき、愛に涙する。その方向性が
自分の気分と合わないと、鑑賞後に心がぎざぎざしちゃうのが
この監督の作品なのだけれど、「愛しすぎた女」の悲劇的結末を
追い続ける男の切ない想いが、どこか毒々しく、なのに軽妙に
描かれて、さすがだな~という熱い気持ちになりました。
キレイすぎるのって罪つくり。それをストレートに描いて微塵も
滑稽に転ばないヨーロッパの映画っていいですよねえ。
8位『50歳の恋愛白書』
なんでこんなタイトルにしちゃったの~~~?と悲しく
なりましたが。「The Private Life of Pippa Lee」が原題。
ピッパ・リーという、現在はよき妻の、若いころのはちゃめちゃぶりを
フラッシュバックしながら、欲望と不満と進化への希望を抱えて
生きるのは、いくつになったってOK!という女の強さを謳った1本。
どんなに酷いことが起きようと、自分の目の前をまっすぐに見据えていれば
気高くステキに生きていける、そんな風に感じさせてくれます。
主演は、ロビン・ライト・ペン(ショーン・ペンの奥様)、
監督も女性で、レベッカ・ミラー(DD・ルイスの奥様)という
映画ファンにはたまらない豪華さ。
7位『インセプション』
意外と泣ける。そのことに驚く。
もちろん、なんてすごいCGだ!とか、映像に驚愕!という男子的見方や
ジョゼフ・ゴードン・レヴィット君がかわいいとか、
レオナルド・ディカプーさまステキ、とかそういう女子的見方も
あるのですが、「心の奥底から愛した人を失ったとき、
再会するために手段を選ばない」――そんな人間のエゴに満ち満ちた、
間違った生きざま(幸せには遠いよ~)を見せつけられて、泣けるんですよ。
6位『川の底からこんにちは』
監督の石井裕也と、女優満島ひかり、結婚しちゃいましたねー実生活で。
KIM、今年の最大の収穫となった女優は、満島ひかりちゃんです。
そして、今年、いちばん笑い転げ、暗い映画館に声を響かせたのは
この作品。田舎から出てきたOL、恋の挫折、家族の病気、実家の会社は
破綻寸前・・・・・と、悪いこと尽くしなのに、そして暗い女なのに、
なんだかカワイイ。そして懸命に生きてる。その姿を、ホントに
ユーモラスに描いてます。監督、これも愛のチカラでしょうか?
『川の底からこんにちは』 全国劇場にて大好評公開中!
詳しくは公式サイトまで http://kawasoko.com/
©PFFパートナーズ
5位『告白』
これまた、原作同様、刺激的でした! 松たかこは、舞台を見に行って、
実力派なんだな、とつくづく思いましたが、今回も最高。
そして、原作のある作品を映画化したときに、「落ちる」ことって多いのですが、
これはきちんと映像を通して表現することに対して解釈がされていて、
どうしたら「映画」になるのか、が完璧に仕込まれてて、唸りました。
ストーリーを追うだけだったらどのメディアでもよいのです。
大げさにいえば、人が語るだけでも。でも映画にして、お客にみせる、そのことの意味は?
ってことがちゃんと考えられている作品って、監督のセンスや誠実さを感じます。
1月中旬に、DVDレンタル・発売開始、ですね。
4位『モンガに散る』
いま劇場公開中です! みなさん足を運んで!
ヤクザ映画であり、青春映画。
台湾のイケメン出演映画であり、映画ファンにとっては
ホウ・シャオシェンの『風櫃の少年』の主演の少年が
台湾映画界の大物監督になって帰ってきた、といえば
にやりとしてくれるでしょうか?
いわゆるヤクザ手前の男の子たちが疾走し、その勢いを
そのまま映像に焼いて、匂いたつようなエネルギー。
行き場のない感情や、ちょっとホモセクシャルな部分を
ひた隠しにしながら進行するストーリー。若いということが
どれだけ生きづらいか、を、切々と、けれどとても鮮やかな
映像で撮りきってくれて、なんだか観てとても気持ちよくなる
映画です。結末は悲劇、だけれどね。応援したい1本!
こういう男たちの風景、ってあると思うし、人生の通過点のような気がする。女子会が楽しいように、切羽つまった男子会だって、とてつもなく美しいですよ。シネマスクエアとうきゅうにて公開中。
3位『シングルマン』
トム・フォード本人にインタビューで会ったことがあります。
まあ、なんてスタイリッシュな方! 姿勢も美しいし、
笑顔も完璧でした。でも、モードだけの人、って思っていたんです。
それはとんでもない誤解でした。 クリエイターとして、
ファッションだけに限らず、すごい何かを持った人だった。
トム・フォード監督は、自身もゲイですが、主人公の心の奥に
すう~っと深く入り込んで、虚ろになってしまった男が、心のままに
過ごす1日を、少しも誇張なく、静かに静かに辿ります。
静かに辿る1日の中にも波があって、その波のなかをただよう役を
演じるコリン・ファースにも、にじみ出るような知性と繊細さがありました。
全国にて上映中です。ジュリアン・ムーアも完璧なゲイの友人を演じてました。©2009 Fade to Black Productions, Inc. All Rights Reserved.
2位『第9地区』
いやあ、これはものすごいめっけものでした・・・・・・。
ありえないストーリー=南アフリカに宇宙人居住区ができる、
よく知らない俳優たち、エイリアンがものすごくグロテスク・・・・・・。
なのに、感情的にちゃんとリアリティがあるんです。
エイリアン居住区の移転を巡り、
切羽詰まった状況に追い込まれたTVレポーターが、
オドロオドロしい体液を浴びてしまい、自らエイリアン化してしまう。
エイリアンとの交流、身勝手な人間たちの業、などが
異様に速いテンポで描かれてるんですが、どこか、
この調子っぱずれなヴィカス(シャルト・コプリー演じる)が
映画の流れとたくみにシンクロしてて、いいんです~。
観てないのはもったいない!
1位『ぼくのエリ、200歳の少女』
今年の文句なしの1位でした。
スウェーデンのバンパイア映画なのですが、映像の美しさ、
居場所のない怪物である少女も、なぜか愛しく、
昔、『キャットピープル』を観たときの、やるせない記憶が蘇りました。
家が隣同士になった少年と少女の淡い恋ごころと、互いを知りきることへの
恐怖を、しんしんと、北国の雪降り積もる景色のなかで見せます。
ミステリアスであるということは、どこを見せず、どこを暴露するか、
その加減が絶妙ってことだとすれば、この作品はまさにミステリアス最高峰。
ラストのプールのシーンは、褒めちぎっている人も多いですね。
アメリカでリメークも決まった、というウワサを聞きましたよ。
2011年2月4日(金)DVD発売&レンタル開始! 発売元:ショウゲート
販売元:アミューズソフト(セル)/インターフィルム(レンタル)
提供:ショウゲート/インターフィルム
番外編~
12月20日発売の第一特集でも紹介している、
『しあわせの雨傘』
これはカトリーヌ・ドヌーヴがここまですごい女優だったとは!
としみじみする作品。ドパルデューとクラブで踊るシーンが最高。
いまドヌーヴの追い風です!
『トスカーナの贋作』
これも同号で紹介してますが。いやはや、どこまで虚構?
っていうボーダーレスな世界。ジュリエット・ビノシュも
素晴らしい演技派なのですが、監督のアッバス・キアロスタミの
冒険的なたくらみに関して、1月20日売り号3月号の映画ページレビューでも
想田監督ががっちり書いてくれています。
2011年2月19日(土)より、ユーロスペースにて公開、全国順次公開。©Laurent Thurin
そして・・・
私にとっては永遠の名作『グランブルー』。
夏に、リバイバルでした。フランス映画は色あせない。
そんな気分にひたらされました。
「Go and see my love」 ラストのロザンナ・アークエットの名台詞。
Go and see my favorite movies !
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