Editor's Blog

2泊3日、奄美大島へひとり旅。

こんにちは。編集REIです。

毎年、2~3月になると離島へひとり旅に出かけます。
場所にもよりますが観光客が少なく、気温もちょうどいいこのシーズン。
ここ数年の恒例行事になっています。

一昨年に八重山諸島に行ってからというものずっとその虜でしたが、
今年はまた次の虜となる島を探したい!と思い、
2泊3日で奄美大島の笠利町に行ってきました。

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奄美大島は、ひと言でいえば、
自然と人間が共存していることを実感できる島。

島の全人口は約40,000人。
ひと口に”島”といっても日本で5番目に大きい島で、東京23区よりも大きいです。私が訪れた笠利町は、約6,000人ほどが住んでいます。
(笠利町とほぼ同じ面積の大田区の人口は約720,000人……)

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笠利町での人々の暮らしは、黒糖を作ったり、パンを焼いたり、海から上がった藻を引き上げたり、ときにはサーフィンをしたり。

生活と少しのたのしみに必要なだけの収入を得たら、それ以上お金で買える何かを欲することなく、それよりも島のためにできることを、という意識の向け方をしていると感じました。

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八重山諸島と異なる点といえば、そもそも"県"が違うということもありますが、観光客向けの施設運営やサービスが生活のメインではないということ。島での滞在において、レンタサイクルや観光バスでの移動は頼りにならず、飲食店もごくわずかしかありません。

あくまで自分たちの島の暮らしを大切に、ペースを崩さず、そこに観光客の人々がなじんでゆく、という感じです。そんな奄美の人々の生活を覗かせていただく、という気持ちで2泊してきました。

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たくさんの素敵な出逢い、体験をさせていただきましたが、
今回のブログでは大島紬村で見学した、絹織物「大島紬」について。

奄美大島を発祥の地とする大島紬は、”着物の女王”と言われる高級絹織物。約1,300年の歴史を誇る、日本の伝統工芸品として受け継がれています。

そんな大島紬の歴史や、製造工程を見学できるのが大島紬村。織物のデザイン図から、実際に糸をどのように染め、織ることで一枚の絹織物になってゆくのか、現物や現場を見ながら教えてくださいます。

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その中でも、「染め」と「織り」の工程を少しご紹介。

大島紬の最大の特徴である、澄んだ深みのある黒色に至るまで、2段階に分けて糸を染めています。まず最初に、本州から南の地方で育つ「車輪梅」と呼ばれる木をチップ状に砕き、大きな窯で12時間ほど煮た後、その煮汁を鉢に移し絹糸を入れて揉む、という作業を60~80回(!)繰り返します。車輪梅に含まれるタンニンを、糸に染み込ませる作業です。

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その後、写真上の泥田に糸を持っていき、鉄分をたっぷり含んだ泥を染み込ませます。このとき、先ほど揉みこんだタンニンと泥の鉄分が反応し、大島紬特有の黒色に染まる、という仕組み。泥田での揉みこみを3~5回ほど繰り返すと、色が徐々に濃くなり、みなさんがご存知のあの美しい黒色に染まるというわけです。

大島紬村ではこちらの泥染めも体験できるのですが、
私は実際に一枚布にしていく機織りに挑戦。
ベースとなる大島紬の糸に合わせる色糸を数種類選んだら、30年以上機織りを続けられている職人さんのご指導のもと、いざ機織りへ。

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私が30分ほどで織った大島紬の生地です。配色の仕方はすべて自由で、職人さんがそばで丁寧に教えてくれます。7cmほど織りましたが、この幅があればコースターとして持ち帰れます。

一枚の着物を折ろうとするとき、デザインの設計から完成までをトータルで考えると、なんと1年も要するほどの工程が必要な大島紬。
さらには、その作業に携わることのできる”職人”になるまでに必要な日数は、最低でも10年。着物の売り上げが、職人さんたちの直接的な収入に繋がることが難しくなった昨今は、職人さんの数が減り、大島紬の継承が危ぶまれています。

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ひとりでも多くの日本人に、世界の人々に大島紬の魅力が伝わりますように。それが、微力ながらも伝統継承の力添えになればと思います。

すっかり虜の奄美大島、
また秋になる前に来ようと思います!

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