Editor's Blog

ロンジンと体操をつなぐエレガンスを、世界大会で体感。

こんにちは、編集NSです。10月25日から11月3日にかけてカタールのドーハで開かれた「世界体操2018」。興奮さめやらぬ、という方も多いのではないでしょうか。私もそのひとり。オリンピックイヤーを除き毎年開かれるこの最高峰の大会を、現地で観る幸運に与りました。

私が観戦したのは大会5日目の男子団体決勝、6日目の女子団体決勝、7日目の男子総合決勝、そして8日目の女子総合決勝。競技としての体操は英語で「Artistic Gymnastics」ですが(新体操はRhythmic Gymnastics)、文字通り身体を使った芸術で、超人的な身のこなしはもちろんのこと、その華麗な演技に圧倒される4日間でした。

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内村航平選手の予選での演技。photo:Coutesy of LONGINES

体操を生で観戦するのは初めて。会場では4種目が同時進行し、団体は各種目で2カ国の選手が交互に演技をしていきます。日本でのテレビ中継のように、日本選手の演技をきちんと整理して見せてくれるわけではありません。次のあん馬の演技が始まるまでは吊り輪を観て、その最中に跳馬のすごい回転が目に飛び込んできて、すると平行棒の演技が終わって大歓声が聞こえ、さっき見た演技の得点はまだかまだかと大型ビジョンをチラチラ見ることに。

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男子団体決勝、内村航平選手のあん馬の演技。ケガを抱えての出場ですが、それでも美しさが段違いでした。

でも、目まぐるしさに戸惑っていたのも最初のうち。目の前で繰り広げられる、この日のために修練してきた選手たちの演技に、あっという間に引き込まれていきました。

テレビ中継を観ていると、なんだか別世界の人々が超人的な演技をしているように思ってしまいます。しかし、会場では同じ空気を吸う人間があり得ないほど高く跳躍したり、しなやかに回転したり、素早い動きから一転、手から足先まで真っすぐの状態で静止します。それを、息遣いや着地音などとともにダイレクトに感じ、彼・彼女たちのすごさをあらためて感じることができました。

演技を終えた後の選手たちの雄たけびやハイタッチ、抜きんでた演技に対する観客のどよめきや歓声、日本のファンの方々の息の合ったコールといった要素も、きっと会場観戦ならではのものでしょう。

一緒に観た方々に観戦ポイントや選手の特徴を教えてもらい、目に焼き付いた演技と採点結果を何度も反芻するうちに、「13.70点くらい?」などなど、自分なりの基準が出てくるのがまた面白かったです。

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男子団体決勝、内村航平選手の吊り輪の演技。photo:Coutesy of LONGINES

ハイライトのひとつは、日本がリオ五輪で金メダルを獲得した男子団体決勝。エースの内村航平選手の足のケガが影響してか、日本は予選3位で決勝を迎え、平行棒と床以外にミスらしいミスもなかったようにも見えましたが、惜しくも銅メダルとなりました。

4種目に出場し、安定感抜群だった萱 和磨選手。最後まで床の器具に慣れなかったと取材で話していたものの、得意の床と跳馬でほぼ15点ずつという高得点を獲得した白井健三選手。平行棒でのミスを引きずらず、鉄棒で美しい演技をした田中佑典選手。日本チーム最多の5種目に出場し、特に跳馬の美しさが際立っていた谷川 航選手。そしてケガでもすごいと感じたのが内村選手。身体の形や揃った手足など、素人目にもわかる美しさで、チームを引っ張っていました。内村選手のケガが完治すること、日本チームが2020年の東京五輪で最高の演技を披露すること、心から願っています。

優勝したのは、わずか0.049ポイント差でロシアを上回った中国。2チームとも最後まで拮抗していましたが、平行棒の鄒敬園(ゾウ・ジンユアン)選手が16.20という異次元の得点を出し、逆にロシアのエース、アルトゥール・ダラロヤン選手が平行棒で得点が伸びず(ミスがあったように見えました)、最後の得点発表でメダルの色が決まりました。ダラロヤン選手は泣き崩れ、かなり長い時間その場から動けなかったのが印象的でした。

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個人団体の授賞式。銅メダルと東京五輪の男子団体出場権を獲得し、5人の代表選手の笑顔も見られました。

この世界体操を長らくサポートしてきたのが、スイスの名門時計ブランド「ロンジン」。ロンジンは体操競技以外にも、乗馬スポーツ(フラットレース、障害飛越競技、エンデュランス競技)、アーチェリー、コモンウェルスゲーム(英国連邦の国々が参加する総合スポーツ大会)など、「伝統、エレガンス、パフォーマンス」というブランドのコンセプトに通じるスポーツの数々をサポートしています。

そのサポートの一環が「ロンジン・エレガンス賞」(世界体操と世界新体操で授与)。より高難度の演技を最も美しく披露した選手を毎大会男女ひとりずつ選定し表彰するもので、内村選手が2011年、2013年、2014年に3回連続で受賞している賞です(2012年はオリンピックイヤー)。

そしてその内村さんは2017年、「Elegance is an attitude(エレガンス、それは私の意志)」というブランドメッセージを体現する人物として、ロンジン エレガンスアンバサダーに日本人として初めて選ばれました(ほかに女優のケイト・ウィンスレット、男優のサイモン・ベイカー、元テニス選手のシュテファニー・グラフなど錚々たるメンバーがアンバサダーに名を連ねています)。

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左から国際体操連盟(FIG)の渡邊守成会長、ダラロヤン選手、メリニコヴァ選手、ロンジンのウォルター・フォン・カネル社長。photo:Coutesy of LONGINES

ロンジン・エレガンス賞に戻りますと、今年は男子団体で金メダルを逃して悔しさを爆発させ、個人総合で見事に金メダルを獲得したロシアのアルトゥール・ダラロヤン選手と、同じくロシアのアンジェリーナ・メリニコヴァ選手が選ばれました。

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アルトゥール・ダラロヤン選手。photo:Coutesy of LONGINES

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アンジェリーナ・メリニコヴァ選手。photo:Coutesy of LONGINES

初めての体操観戦でしたが、エレガンスが人々を魅了し、そのエレガンスが強さでもある体操という競技の魅力を大いに知ることができました。ほかにも印象的だった選手を何人か挙げますと……。

周囲を明るくするような華やかさがあったアメリカのサミュエル・ミクラク選手。団体でも輝き、種目別の鉄棒では内村さんを上回るとんでもない演技をしたオランダのベテラン、ユプケ・ゾンダーランド選手。個人総合では下から2番目だったものの、種目別の床で白井選手に次ぐ3位になったフィリピンのカルロス・ユーロ選手。歴史的な快挙だそうですが、まだ18歳とのことで今後が楽しみです。

女子では、跳躍の高さや技の難度とキレまで他を圧倒していたアメリカのシモーネ・バイルズ選手。そのチームメイトで、日本のとある女優さんに似ていると評判のモーガン・ハード選手も、キレでは負けていませんでした。そのハード選手を抑えて銀メダルを獲得した村上茉愛選手の弾けるような演技も印象的。個人総合で4位、種目別の段違い平行棒で金メダルを獲得したベルギーのニナ・デルワエル選手も今後が楽しみです。165cmの長身で、しなやかな美しさがありました。

観戦で感じたことをもう少しだけ。採点競技自体を観戦するのが初めてでしたが、素晴らしい演技には選手の国籍に関わらず観客が拍手を送り、選手やコーチはライバルを称え合うところもまた、体操のエレガントなところだと思いました(私がいちばん好きなサッカーは、そうではない時もありますので……)。

来年の世界体操、日本代表選手争い、そして2020年の東京五輪。エレガンスに満ちたスポーツ、体操が楽しみのひとつになりそうです。

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