富山県の高岡市で生まれた、美しいうつわたち。
お気に入りのうつわを使ってごはんを食べたり、お酒を飲んだりできるのは幸せですよね。こんにちは、編集YUKIです。
これは、富山県高岡市から我が家にやってきたうつわたちです。左上から時計回りに、能作の鋳物製作体験で作った錫のぐい呑、KISENの真鍮の片口と木+真鍮のぐい呑、shouryuの「すずがみ」3種類。共通点は、素材が金属ということ。
昨年5月に、たべることネットワークプロデューサー植田眞由美さんが高岡市の職人さんたちの工房を訪ねるのに付いていき、高岡の鋳物の伝統と作り手のみなさんの画期的な試みに魅了されました。それ以来「富山県」「高岡市」と聞くとぴくんと反応するようになり、高岡市で開催された「工芸ハッカソン」の展覧会があると聞いて行ってきました。
“ハッカソン”とはIT業界で使われる言葉だそうですが、「工芸ハッカソン」は高岡市の職人や工芸作家と、エンジニアや研究者、アーティストなどがチームを組んでひとつのプロジェクトに取り組むという試み。
2017年開催の「工芸ハッカソン」から7つのプロジェクトが生まれ、その後もメンバーたちが自主的に継続していて、海外に出展したチームもあるそう。そんな広がり方が何とも素敵です。
当日はトークイベントもあり、「工芸ハッカソン」の審査員のひとりで、ずっと前に「フィガロジャポン」クリエイター企画でご取材した菱川勢一さんも参加していてとても楽しかった!
これはその名も「伝統技術の継承」チームの展示。
伝統工芸の後継者不足の問題にスポットを当てて、職人技の習得を動画解析によって短期化する、というプロジェクト。そのアイデアにまずびっくりです。
先ほど紹介した「すずがみ」のブランドshouryuを手がける、寺院用のおりんを専門に製造する老舗、シマタニ昇龍工房のベテラン職人と見習い職人の作業を撮影し、解析。見習い職人がその差をなくすように意識しながら作業をすると、実際に明らかな変化や上達が認められたそうです。
こちらは昨年5月に訪れた時に見た、「すずがみ」の模様を金槌で叩いて刻んでいるところ。
将来的には、スマートフォンで撮影した動画で誰でも簡単に解析結果を得られるようにしたい、とのこと。ハードルが高そうに感じられる伝統工芸の世界を、若い人たちが志すきっかけになる日が来るかも?と想像すると、このプロジェクトに取り組んだみなさんの思いが感じられます。
「工芸ハッカソン」ではほかにもユニークなプロジェクトがたくさんあるので、興味のある方はぜひ公式サイトを見てみてください!
さて高岡市では、能作の工場見学と鋳物製作体験もしました。
ものが作られていく現場を見るのはいつもわくわくします。
鋳物製作体験で、日本酒好きなわたしは迷わずぐい呑に挑戦。
夜に訪れた立ち飲みのお店には、できたばかりのぐい呑を持参。自分で作った酒器でお酒が飲めて感激です。
ぐい呑といえば、銅器製造の老舗である四津川製作所が手がけるライフスタイルブランド、KISENの酒器がとても素敵でした。
木と真鍮や銅などの金属を組み合わせるのに、職人技が生かされています。木の口当たりは驚くほど滑らかで優しく、そして金属の重みが安定感をもたらすという、絶妙な組み合わせです。花器などもシンプルなフォルムと素材感が美しい。
そしてこちらは、海外の建築誌でもたびたびフィーチャーされているmomentum factory Oriiの工房より。職人さんたちのユニフォームをアンリアレイジとコラボレーションしたことでも話題になりました。美術銅器や仏像などの銅着色の専門技術を使って、さまざまなオリジナルのインテリアアイテムを生み出しています。「工芸ハッカソン」では、「Metal Research Lab」チームに参加。
わたしは名刺入れを愛用しています。職人技が生かされたアイテムを毎日のように使えるのは豊かな体験ですね。
最後に、高岡の数々のおいしかったものの中から、「茶寮 和香(にこか)」のお料理をご紹介。
高岡市では居酒屋のレベルが高すぎることもあり、こうした割烹料理のお店が長らくなかったそうですが、地元の食材をふんだんに使ったお料理がどれも本当においしくて、古民家をリノベーションした店内もとても素敵で居心地がいいです。KISENのうつわも使用されているので、使い心地や質感を体感できるのもうれしい。
5月には高岡御車山祭も少しだけ見られました。また行きたいです、と高岡の方々に言うと、魚のおいしい冬もおすすめとのこと。ホタルイカが旬の時期にも惹かれるし、次はいつ行こうかと真剣に悩んでいます。
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