Editor's Blog

年末年始、地元について思うこと。

2019年も残すところあとわずか。
大掃除や年賀状、お節料理など、年を越す準備はできたでしょうか。わたし編集YUKIはこの期におよんで、まだです。

いまごろ帰省したり、パートナーの実家を訪ねたり、地元の友人たちと会ったりする人も多いかもしれません。
わたしは今回地元に帰るにあたり、ちょっと特別な思いを抱いています。通った小学校や遊んだ公園、散歩した道を久しぶりに訪ねてみたくなるような。それは、秋に行ったある素敵なイベントがきっかけでした。

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そのイベントは、今年10月に開催された「ネイバーシップ我孫子国際交流文化祭」。自分の地元ではないのですが、フィガロでさまざまな形でお世話になっている大坪祐三子さんに、秋におもしろいイベントを企画している、と聞いた時から心待ちにしていました。

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大坪さんはファッションブランドやフレグランスブランドの国内展開におけるディレクションを手がけ、「フィガロジャポン」2007年1月5日・20日合併号ブエノスアイレス特集のクリエイター企画ではコーディネートも担当。また18年10月にドラムボーカリストのシシド・カフカさんが主宰したリズムイベント『el tempo』のスーパーバイザーも務めています。

いつも、自身が手がけるイベントやブランド、何より関わる人たちの魅力を熱く熱く語るエネルギーが大きく、実際に体験するそれは本当に素晴らしくて、価値観が変わるほどの出来事をみんなのために創り出してくれる、尊敬する女性。だから大坪さんが思いを込めたそのイベントはきっと素敵なものになるだろう、と楽しみにしていたのです。

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開催場所は大坪さんの地元、千葉県我孫子市にある手賀沼公園。周囲約38キロもある大きな手賀沼のほとりにあるここは、我孫子市民に愛される場所なのだそう。イベント名に付けられた「ネイバーシップ」とは人付き合い、地元愛を表しています。まさに地元を愛する人たちが、地元のあらゆる世代のために企画した、そして地元出身者でなくてもこの街の魅力を体験できる、地域密着型イベントにこんな素敵なやり方があったなんて!と目から鱗が落ちまくる、ワクワクが詰まったイベントでした。

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写真の後列左は「ネイバーシップ我孫子国際交流文化祭」の発起人で地元の不動産会社、晃南土地の代表取締役・中澤洋一さん、右が共同発起人を務め、イベントの会場構成やデザインも手がけた大坪祐三子さん。ふたりで大好きな我孫子の魅力を引き出し発信していく広報事業として「Abiko A-life」を立ち上げ、今回のイベントを企画、開催したそうです。前列はスタッフが着用したTシャツにも描かれている我孫子のイラストを描いた建築士・イラストレーターの一瀬健人さん&野口理沙子さんとお子さん。

一瀬さんと野口さんが描いた我孫子のイラストはとびきり素敵で、自分の住む街をこんなふうに形にしてもらえたら幸せだろうなと感じました。このイラストや、「Abiko A-life」のコンセプトは、上記ウェブサイトでご覧いただけます。なのでこのブログでは会場の様子を少しだけお届けします!

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まず驚いたのが、フードトラックがかっこいいこと。お隣の柏市から出店していた、オリジナルのトレーラーにカフェ機能を完備した「イーグルネストカフェ(EAGLENEST CAFE)」では、何と焼きたてピザを提供。

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こちらも柏から、アウトドアをコンセプトにした料理や新鮮な地元野菜を使ったコールドプレスジュースが人気の「STOVE」も出店。

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とにかくお料理のクオリティが高いことにびっくりしました。第1回目の今回、“国際交流”の相手は、「ネイバーシップ」が受け継がれる国スペイン。さまざまなスペイン料理が並びます。

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地元の我孫子市で土作りからこだわって農薬・化学肥料不使用で大切に野菜を育てる「自然野菜のら」と、野菜の収穫に合わせて、その野菜にとって最高の調理法で提供する柏の「農en Restaurant TABLE BEET」のコラボレーション。写真の「畑のごちそうバーニャカウダ」と「アルボンディガス(スペイン風肉だんご)」、豪快で生命力にあふれ、最高においしかったです。

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さまざまな参加型ワークショップも開催。ペルー発祥の打楽器でフラメンコに使われるカホンを、子どもたちが制作していました。こちらを担当するのは地元の材木店。材料と技術を惜しみなく提供してくれます。

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さらにはこんな素敵なフォトブースまで作ってくれたそう! 手賀沼を望むよう配置されています。また、メインディスプレイとして、今回の会場作りでいちばん大切に準備されたという全長が20mを超える無垢材のフードテーブルも手がけてくれたそうです。

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出来上がったカホンを、プロのフラメンコダンサーのパフォーマンスに合わせて演奏!

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お手玉のように小さなバッグを足で蹴るスポーツ、フットバッグでアジア人初の世界一に輝いた、石田太志さんによるパフォーマンスとワークショップも大盛況。

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広場では、まるでスペインの街角のように、伝統音楽団「TUNA(トゥナ)」のメンバーによる演奏が。可愛い来場者が飛び入り参加。

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会場に飾られたお花は我孫子のお花屋さん、「庭びより」が手がけていました。テーブルを美しく飾るだけでなく、販売も。わたしも地元民だったらよかったのにと思いました。

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スペイン人コーチによる子どもサッカー教室&スペイン語教室も開催。ボールひとつで気軽に始まり、盛り上がっていくサッカーの原点、ストリートサッカーをまさに“ご近所遊び”ととらえ、言葉と身体でコミュニケーションを楽しむ、素敵な試み。

「子どもたちがイベントに出店・出演する、かっこよくてクリエイティブな国内外のプロの人たちと自然に接し、自分たちの将来に広がる無限の可能性に胸が高鳴る。そんな機会に恵まれるお祭りを作りたかった」と話す大坪さん。企画から出演者、会場構成にいたるまで、その思いが浸透しているように感じました。

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大人たち向けには、スペインワインとピンチョスの講座も! ワインを育むスペインの気候と風土について学びながら、カヴァと白、赤を飲み比べました。

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手賀沼を望む場所に出店していたコーヒースタンドもおしゃれ。

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「ロカフレーム(Rocka Flame)」という電動アシスト自転車ブランドの試乗も行なっていました。これがかっこよくて、しかもすごくスムーズに走れるのです。プロサーファーの五十嵐カノア選手のために制作されたモデルも展示されていました。

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木々が生い茂るエリアには、キャンプサイトのような光景が広がります。我孫子は、車で10分も走れば雄大な自然を堪能できる市営のキャンプ場がある、「ご近所キャンプ」にも絶好の街だといいます。渋滞もなく、身軽な支度で思いきり楽しみながら、近くの温泉に行ったりお風呂に入りに自宅にいったん帰ったり、畑の直売で野菜を買ったり……気軽にアウトドアでのリセットができる、街と自然が両方とも身近な場所。キャンプのコーディネートを手がける小川迪裕さんにより、最新アイテムが手賀沼公園の風景に溶け込んでいました。

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驚異的に座り心地のよい、コールマンのインフィニティチェア。

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我孫子は武者小路実篤ら白樺派の人々をはじめ、多くの文人や学者にゆかりのある街でもあります。手賀沼公園内にある我孫子市民図書館とセルバンテス文化センター、そして我孫子のお母さんたちにより、日本語と英語、スペイン語の絵本を集めた青空図書コーナーが設けられていました。自由に閲覧できるほか、図書館や我孫子の小学校で読み聞かせの活動をする大坪さんをはじめとするボランティアスタッフが、各国語での読み聞かせも行ったそうです。

街にはこんなに豊かな資源があって、それは代々その街で暮らしてきた人たちが残してくれたものだということ。そして次の世代がそれを引き継いでいくこと。「ネイバーシップ我孫子国際交流文化祭」は、そんな営みを思いきり楽しんで、さらに魅力的なものにしていく提案なのだと感じました。2020年の開催もいまから楽しみなのと同時に、このエネルギーが全国に飛び火していったらどんなに素敵だろうと思います。

当たり前に存在していると思い、特段気に留めることがなくなってきていた我が地元での時間を、今回は新鮮な気持ちで過ごせそうです。

©2019_Abiko_A-life

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