Editor's Blog

『きもの』展で、和宮&篤姫の衣装にうっとり。

美術館も各所開館してきて、やっとアートを直に楽しめる……という今日この頃ですが、毎日暑いですね。猛暑とはこのこと。でも私編集MIは、このうだるような夏が大好きです。

そんななか、先日観た展覧会でかなり心躍ったのが、東京国立博物館で開催中の、特別展『きもの KIMONO』。最近はめっきり袖を通すことも少なくなってしまったのですが、きものは好きで、歌舞伎を観に行く時などに着て楽しんでいました。アンティークも大好きなのですが、私が着るにはどうにもサイズが難しい(古いものはサイズが小さいのです)。なので、国宝級のいにしえのきものを鑑賞することができるのは、本当にうれしい機会です。

展示は安土桃山時代に始まり江戸時代へ、さらには男のきもの、そして現代へと展開されます。なかでもやはり、江戸はさまざまな文化が花開いた時代ゆえ、京の御所風や、江戸城大奥から吉原の花魁、そして人気の絵師が描いた模様まで、豪華絢爛! 観ているだけで江戸時代へタイムスリップしたかのような至福の気分に浸れます。

200813_IMG_6180.jpg

4分割されたデザインがモダンな香りすら漂わせる。※前期展示作品のため現在は展示終了。「縫箔 白練緯地四季草花四替模様」 安土桃山時代 16世紀 京都国立博物館

200813_IMG_6157.jpg

大胆な意匠が圧巻。※前期展示作品のため現在は展示終了。「振袖 紅紋縮緬地束熨斗模様」江戸時代 18世紀 京都 友禅史会

200813_8.jpg

尾形光琳のデザインは「光琳模様」といわれ、光琳の死後に大流行したそう。「小袖 白綾地秋草模様」尾形光琳筆 江戸時代 18世紀 東京国立博物館

---fadeinpager---

安土桃山時代の縫箔も豪華で目を見張りましたが、なかでもため息が出たのは、和宮と篤姫の衣装です。皇族から降嫁してきた和宮、そして、大奥という贅を極めた場所で生きる御台所・篤姫……御所風と武家風それぞれの美の競演は、それはそれはすごかったのだろうと想像されます。

200813_IMG_6172.jpg

細かく繊細な刺繍に目がくらみそうです……。「小袖 浅葱縮緬地松竹梅菊網干模様」和宮(静寛院宮)所用 江戸時代 19世紀 東京 德川記念財団

200813_IMG_6173.jpg

こちらは和宮の打掛。流水と花の模様のデザインが美しい。「打掛 白綸子流水菊牡丹模様」和宮(静寛院宮)所用 江戸時代 19世紀 東京 德川記念財団

200813_IMG_6174.jpg

こちらは篤姫の小袖と帯。葉に降り積もった雪が立体的で見事です。帯には雀が。篤姫は雀が好きだったようで、その意匠が多く施されていたそうです。「小袖 萌黄紋縮緬地雪持竹雀模様」「掛下帯 萌黄繻子地稲穂雀模様」 天璋院篤姫所用 江戸時代 19世紀 東京 徳川記念財団

200813_IMG_6175.jpg

こちらも篤姫の衣装。「打掛 白綸子地藤菊牡丹七宝模様」「掛下帯 紫繻子地石畳牡丹菊折枝模様」天璋院篤姫所用 江戸時代 19世紀 東京 徳川記念財団

篤姫といえば大河ドラマで宮﨑あおいさんが演じていた篤姫がずっと印象に残っています。凛として強く、そして時に愛らしい篤姫。その時に和宮を演じていたのは堀北真希さんですが、幼い印象ながらも妖艶な雰囲気を醸す和宮が素晴らしく、彼女のまわりだけ時間と空間がゆっくりと進んでいるようでした。江戸城大奥というのは、本当にすごい場所だったのだろうなあと。
また、江戸といえば吉原です。花魁も贅沢極まりない艶やかな衣装を纏っていました。

200813_IMG_6170.jpg

太夫の衣装にうっとり……。「太夫打掛・丸帯」明治~大正時代 19~20世紀 京都 輪違屋 「打掛 紺繻子地鷲波松模様」「打掛 淡茶地鳳凰幔幕大太鼓模様唐織」「丸帯 紺地雲龍模様繻珍」

200813_IMG_6168.jpg

江戸時代の太夫の髪飾りがこんなに美しい状態で残っているなんて! 「髪飾具」島原松扇太夫所用 江戸時代 19世紀 京都国立博物館

---fadeinpager---

きものは女性だけのものではありません。男性のきもので圧倒されたのは、かの戦国武将3人の衣装です。

200813_IMG_6176.jpg

信長の陣羽織はかなり個性的。「陣羽織 黒鳥毛揚羽蝶模様」織田信長所用 安土桃山時代 16世紀 東京国立博物館

200813_IMG_6177.jpg

こちらは秀吉らしい華やかさがあります。「陣羽織 淡茶地獅子模様」豊臣秀吉所用 安土桃山時代 16世紀 東京国立博物館

200813_IMG_6178.jpg

家康は渋く味があります。「胴服 染分平絹地雪輪銀杏模様」徳川家康所用 安土桃山時代 16~17世紀 東京国立博物館

男のきものは、江戸で大活躍した町火消たちのものもたくさん並んでいました。そして明治・大正から現代の匠の作品へと。
昔の人々が纏っていたきものには、その人たちの暮らしや生き様、その時代の文化が詰まっていて、見ていて飽きることがありません。何百年も昔のものがこんなに美しく残されていることに感謝しつつ、やっぱり古いものが好き、歴史が好き、と感じた一日でした。展覧会は8/23(日)まで。ぜひ足を運んでみてください。

特別展『きもの KIMONO』
会期:開催中~8/23(日)
会場:東京国立博物館 平成館 東京都台東区上野公園13-9
開)9時30分~18時
休)月
問)03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://kimonoten2020.exhibit.jp

 

ARCHIVE

MONTHLY

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories