
マックスマーラが2023年クルーズコレクションは、 ポルトガルの愛と情熱に溢れていました。
編集長T.Sです。マックスマーラ(MAX MARA)が、6月28日にポルトガル・リスボンでクルーズコレクションを発表。そのショーに出席するべく、久しぶりに渡欧しました。ドバイ経由でリスボンヘ。ドア to ドアでたっぷり24時間かかりましたが、大航海時代のポルトガル人が、希望峰を周って東アジアまで来たことを考えると、瞬間移動みたいなものでしょう。
リスボンのウンベルド・デルガード空港を降り立つと、ジリジリと照る付けるリスボンの太陽が……と書きたいところですが、最高気温は25度前後と、意外にも過ごしやすい気温。夜は15度を切り、むしろ少し寒いくらい。しかし、カラリとした空気は、東洋の島国のそれとは違って、とても気持ちがいい。ワタクシ、クセ毛ですが、髪がピンとまっすぐになります。
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フィガロのポルトガル特集号(2019年2月号「懐かしくて、可愛いポルトガル。」)を持ってくりゃよかったと後悔しつつ、まずは周辺を散歩。歩き始めるとすぐに気づきますが、平坦な道がほとんどありません。登りか下るかのどっちかです。すぐにゼーハー言い出して、この過ごしやすい気温に助けられたと感じます。 独特の黄色やピンクに染められた建物を縫うように走るクラシックな路面電車。斜陽に光る石畳。古きよき雰囲気が残るリスボンの街並みは、とにかく、いいアジ出してます。そして下り坂の向こうに見える海(正確にはテージョ河)を見ると、大陸の果てまで来たことを途端に実感。バスコ・ダ・ガマは、この港からインド洋へ向かったのだな……と、思わず感慨に耽ってしまいます。
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さて、マックスマーラ クルーズコレクションの物語は、前夜のディナーから始まります。会場となったのは、マルケゼス・デ・フロンテイラ宮殿(Palacio dos Marquesses de Fronteira)。幾何学的に刈り込まれた植栽が特徴的なイタリア式庭園と、目の覚めるようなブルーの漆喰の壁が印象的です。
美しいテラスでのディナー中、サプライズもありました。恋情と切望を歌うポルトガルの民謡歌謡ファドの著名な女性シンガー、カルミーニョ(Carminho)が登場。星空ディナーの会場に、どこか哀愁漂う歌声が響きわたり、昼間、目に焼き付けたリスボン市街の風景と相まって、ポルトガルのイメージがどんどんクリアになってきました。


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そんな素敵な前夜からの、ショー本番でございます。会場となったのは、世界有数の個人所有のコレクションを誇るカルースト・グルベンキアン美術館(Museu Calouste Gulbenkian)。1969年に開館したこの美術館には、世界中から集めた美術品がコレクションされています。まさか、リスボンのショー会場で、レンブラントの作品に合えるとは思ってもいませんでした。
ランウェイは、亜熱帯植物が茂る美術館の庭園に設けられました。ゲストには、アメリカ人俳優のクレア・デインズ(Claire Danes)、「エミリー、パリヘ行く」でおなじみのアシュレイ・パーク(Ashely Park)、そして韓国人俳優のイ・ジア(Lee Ji Ah)などのセレブリティが見られました。ファドが会場に流れると、いよいとショースタートです。

グリーンやイエロー、オレンジなど色鮮やかなルックが次々と登場します。どこかポルトガルの建築に見られるような土着的色彩。また、シャープなシルエットのスカートに網タイツの着こなしや、ペンシルスカートの裾にフリルが覗くあしらいに、どこか情熱的な女性像が浮かんできます。しかし、マックマーラならではのエレガンスは、やはり健在。上質な素材感とアウターの美しいドレープ感と相まって、知性と品性を与えています。また、プリーツを大胆に生かしたビスチェドレスも印象的。歩いて服が揺れるたびに躍動的で豊かな表情を見せてくれます。
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今回のコレクションにあたり、クリエイティブ・ディレクターのイアン・グリフィスは、ポルトガルの詩人ナタリア・コレイラにインスピレーションを受けたそうです。昨年、グリフィスがこの美術館を訪れた際、ナタリア・コレイアと彼女の足元に座る二人の女性を描いた肖像画に出合い、それが今回のクリエイティブの出発点になったといいます。コレイアは、独自のフェミニズムを訴えた社会活動家でもあり、官能性かつ情熱的なフェミニニティを訴えました。彼女が書いた「(アントロジーア・ダ・ポエジーア・ポルトゥゲーサ・エロティカ・エ・サティリカ)性愛・風刺ポルトガル詩選集」は、ポルトガル当局からスキャンダラスと非難されましたが、彼女は屈することなく抵抗しつづけたといいます。そんな彼女の強さをグリフィスは感じ取り、今回のコレクションで表現したのかもしれません。



哀愁に満ちたファド、そしてナタリア・コレイラの情熱に加え、もうひとつ重要なポルトガルの文化が表現されていました。古くからポルトガルには、女性が愛をメッセージを刺繍で表現し、想いを寄せる男性に贈るロマンチックな伝統文化「レンソス・ドス・ナモラドス(愛のハンカチーフ)」があります。今回のコレクションでは、地元の職人とコラボし、マックスマーラ独自の愛を刺繍で綴ったTシャツが制作されました。レンソス・ドス・ナモラドスによく見られるハートや花、鳩などは、クリスタルのブローチでも表現されています。ちなみに刺繍のTシャツは、マックスマーラ初の起用となった男性モデルも着用。そんな点にも、なんだかイアン・グリフィスが描いた物語性を感じました。
以上、3泊5日のポルトガル滞在は、マックスマーラのクリエイティビティにたっぷり触れて終了。最後にポルトガル名物の缶詰を買って帰国しました。
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