Editor's Blog

『KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭 2022』が開幕、第10回目は見どころ満載!

こんにちは、編集TAOです。4月9日から始まった『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2022』に早速行ってきました。毎年開催されている内覧会ツアーに参加し、京都市内の複数ヵ所で開催中の展示をアーティスト本人やキュレーターの解説を直接聞きながら巡るという、非常に贅沢な体験をさせていただきました。

220414_6.jpg

記念すべき第10回目となる、今年のKYOTOGRAPHIEのテーマは「ONE」。仏教用語「一即一切、一切即一」から着想を得たもので、あらゆるものはひとつに繋がり、関わり合って存在しているという意味。長い間第一線で活躍してきた著名写真家から10人の現代日本女性写真家、ガーナの気鋭写真家まで、個性に富んだラインナップで、あらゆる個の存在とその多様性を讃えるキュレーションでした。なかでも、個人的に印象的だった展示をご紹介!

「The Absurd and The Sublime ギイ・ブルダン展」は、有形登録文化財の京都文化博物館別館にて展示。ギイ・ブルダン(1928〜1991年)は、モード誌やブランド広告を多数手がけたフランスを代表するファッションフォトグラファー。昨秋にシャネル・ネクサス・ホールで開催された展示の巡回展ですが、名建築の中でギフトボックスのように仕立てられた空間がギイ・ブルダンのシュールで艶やかな世界観を引き立て、また新鮮に感じられました。新たに、伝説的な日本人モデル山口小夜子が起用された写真や映像作品も加わっています。

220414_w1.jpg

圧巻だったのが、京都市美術館別館で展示されている「アーヴィング・ペン展」。アーヴィング・ペン(1928〜1991年)は、ポートレートの巨匠として知られるアメリカの写真家です。80点すべてがオリジナルプリントで、初期のストリートスナップから、パブロ・ピカソやマルセル・デュシャンなど世に名を残す錚々たる巨匠たちのポートレート、これまであまり公開されることのなかったヌード写真、モード誌やディオールのファッションシューティング、そして晩年に残した静物写真まで、ファン垂涎のラインナップ! 被写体の個性を引き出すため、黒壁を鋭角に立て込んだシンプルな空間で追い込むように撮影したというアーヴィング・ペン。そんな撮影セットを再現した展示空間もユニークで、彼の神々しいまでに緻密な世界観を体感できます。  

220414_w2.jpg

また、ケリングの「ウーマン・イン・モーション」の活動の一環である、HOSOO GALLERYの「10/10 女性写真家たちの祝祭」も素晴らしかったです。地蔵ゆかり、林典子、細倉真弓、稲岡亜里子、岩根愛、岡部桃、清水はるみ、鈴木麻弓、殿村任香、吉田多麻希など、今後活躍が期待される10人の日本人女性写真家をキュレーション。作風はそれぞれ異なるものの、いまを生きる私たちへの強いメッセージ性に富んだ作品ばかり。ジェンダーやセクシャルマイノリティをテーマにする岡部桃は、非性愛者で結婚し、体外受精で子どもを授かったという自身の経験を赤裸々に力強く作品に収め、私たちの肉体や性とは何なのかを問いかけています。

220414_17.jpg

また殿村任香は、ガンと闘う女性患者の生きざまを讃えるポートレートプロジェクト「SHINING WOMAN PROJECT」をSferaビルで展示。無意識に刷り込まれた女性の役割や女性像からの解放しようという強いメッセージが込められたこのプロジェクト。女性たちの凛とした静かな眼差しや穏やかな笑みから、強い生の輝きを感じられます。4月9日には、女性たちがプロジェクトの写真をプラカードにしてサイレントデモンストレーションも行われました。

220414_1.jpg

出町桝形商店街やASPHODELで展示されている、1995年ガーナ生まれのヴィジュアルアーティスト、プリンス・ジャスィの作品も眩しいほどの力強さ。iPhoneで撮影したというから驚きです。高校生の頃に注目を浴び、20代半ばにしてアフリカを牽引する現代アーティストになったというプリンス・ジャスィ。驚くほど鮮やかな作品の色彩は「共感覚」という彼の特別な感覚からきており、音や言葉、文字など、あらゆる情報を色として感じるのだそうです。ASPHODELには、フランス版マダムフィガロ誌から依頼されたナオミ・キャンベルのファッション撮影も展示されています。アフリカの子どもたちの姿をボックスのような展示で見せ、貧困問題や子どもの環境向上についても訴えかけています。

  

220414_w3.jpg

また、建仁寺・両足院で展示される昨年逝去した写真家、奈良原一高の「禅」シリーズや、誉田屋源兵衛の工房がある奄美大島でイサベル・ムニョスがダンサーの田中泯と山口源兵衛を撮影した展示など、古都ならではの景観とともに展開される作品も見どころ。

220414_w4.jpg

私が訪れた時は、桜が葉桜へと変わりゆくタイミングでしたが、新緑の爽やかな景観で楽しむアートもまた一興。『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2022』は5月8日まで開催予定。是非訪れてみてください。

220414_3.jpg

『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2022』
会期:2022年4月9日(土)~5月8日(日)
会場:京都市内各所
入場料:一般¥5,000(パスポート)※平日は¥4,000
https://www.kyotographie.jp

ARCHIVE

MONTHLY

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories