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山口県、美しい手仕事を探しに。

こんにちは、編集まりモグ です。
昨年7月から12月末の間、山口県・島根県7つの市町で行われた「山口ゆめ回廊博覧会」。アート、食、手仕事、カルチャーなどさまざまな要素を盛り込んだ博覧会。なかでも注目のアートプロジェクト『Osmosis 滲透(オズモウシス しんとう)』に参加しました。

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photo: Shoko Hiraoka

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開催地は、国宝・瑠璃光寺五重塔が堂々立つ香山公園。月の光が照らす幻想的な雰囲気のなか、アーティストOLAibiによる演奏や苳 英里香によるパフォーマンスが行われました。と同時に供されたのは、このイベントのために用意された、山口県の風土を五感で体験できる特別なコース料理。演出・監修・料理を担当したのは、京都Farmoonを主宰する船越雅代。「美しい場所が多く、水も美しい山口に刺激を受けた」と話す彼女の料理は、白ナスやキクイモといったたくさんの野菜を盛り込んだものから、デザートには名水「柳の水」を主役にしたものなど、まさに感性を刺激するような味。
この特別な食体験をきっかけに、食材や工芸、造り手など、山口県の美しい手仕事を巡る旅に出ました。

まず訪れたのは、『Osmosis 滲透』のうつわを手がけた陶芸家・間鍋竹士 の工房&ギャラリー。ブランド土は使用せず、山口県の土と釉薬のみを使って表現。無農薬・無化学肥料の米を作って、その藁の灰で釉薬作りをしたり、天然の松の灰を釉薬にしていたり。手に触れるとしっとりと馴染む感覚。なるべく軽くすることで使い勝手もよくしているとか。料理を引き立てる素朴で自然な色合いも魅力です。

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photo: Yuichiro Hirakawa

続いて訪れたのは『Osmosis 滲透』の円形テーブルに貼られていた和紙を手がけた千々松和紙工房 。山口県が誇る工芸品、とくぢ手すき和紙を受け継ぐ工房で、裏には和紙の原料のひとつ、楮(こうぞ)の木も。素材はもちろん、美しい空気と清らかな水があるからこそできる逸品。柔らかく温かみのある手触りが何とも言えません。4月〜12月中旬は、要予約で紙すき体験もできるそうです。

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photo: Yuichiro Hirakawa

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『Osmosis 滲透』の食体験で、ひときわ印象に残ったのが、「たいちグラスアート」の伊藤太一によるガラスのうつわと酒器。アメリカで陶芸を、富山でガラス工芸を学んだ彼の作品は、ベネチアグラスの技術をアレンジした繊細さが魅力。水の波紋と琉璃色を表現した琉璃紋器と渦を巻いたような形状が美しい酒器・透泉盃は本プロジェクトのためだけに制作したもの。そのほかにも、レース模様のグラスなど家族で営む自由創作いとうにはさまざまなガラス工芸が並びます。

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photo: Yuichiro Hirakawa

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photo:Yujiro Sagami

最後に訪れたのは山口県を代表する永山本家酒造場。「貴」は日本酒好きの間で知らない人はいないほど。もちろん、『Osmosis 滲透』でも提供されました。雄町や山田錦を使ったものから、社屋の目の前の田で育てたという宇部産山田錦を使ったものまで、ラインナップは多岐にわたります。明治21年の創業以来、この土地ならではの酒に向き合ってきました。二俣瀬村役場庁舎をリノベーションした建物も、雰囲気があります。日曜日&祝日に限り有料試飲もできるので、おすすめの立ち寄りスポットです。

  

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photo: Yuichiro Hirakawa

「山口ゆめ回廊博覧会」を通して、さまざまな山口の手仕事に出合いました。今回は宇部市、防府市、山口市を中心に巡りましたが、ほかにも気になる工芸品やアートスポットがたくさん! 本日発売のフィガロジャポン本誌では、フランスの職人技などを取り上げた「美しい手仕事。」特集ですが、日本の手仕事もやっぱり素敵。ぜひあわせてお楽しみください。

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