Editor's Blog

小石川後楽園の『江戸東京リシンク展』で、匠の技とアートを楽しむ散歩を!

春めいてきたこの頃、外での取材が続く編集YKです。ちょっと忙しい時間や気詰まりなことが続く中、水道橋駅からほど近い小石川後楽園で開催中の『江戸東京リシンク展』に出かけてきました。

edotokyorethink_2023-1.jpg©︎Edo Tokyo Kirari Project photograpy:GION

『江戸東京リシンク展』は、江戸東京の伝統ある技や老舗の逸品を、現代美術家の舘鼻則孝さんが新たな視点で見つめ直し、コラボレートすることでその魅力を世界に発信していくプロジェクト。2018年、九段下の歴史的建築である旧山口萬吉邸での舘鼻さんの個展『NORITAKA TATEHANA RETHINK』に端を発し、以降は旧細川公爵邸として建てられた和敬塾本館での開催、昨年は三菱財閥旧岩崎邸に展示された作品都空間をオンラインで体感できる試みに挑戦するなど、さまざまな形式で伝統をいまに伝える作品を紹介しています。

今回会場となった小石川後楽園は、江戸初期に水戸藩によって造られた広大な庭園。池をぐるりと取り囲むように木々が生い茂る起伏のある公園が広がり、東京ドームが間近な都心にあるとは思えない静寂が流れる空間です。今回、この広大な庭園に、舘鼻さんとそれぞれの事業者のコラボ作品が6ヶ所にちりばめられて展示され、入場者は公園内を歩いてその展示を観に行くという趣向になっています。

「全部の作品を回ると、それだけで30分〜40分くらいかかるような、結構長いルートではあります。歴史のある庭園の中で、お客さまがタイムスリップするような感覚を味わっていただきつつ、時間軸を超越した作品を鑑賞してほしいと思っているのです」

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後楽園の西門にほど近い建物の中には、舘鼻さんとのコラボ作品と、彼らがどのような道具を使い、どのような手順で伝統の逸品を作り上げているのかを間近に見ることができる空間が広がります。「今回新たに参画してくれたのが、江戸組子を手がける『建松』と、台東区で和太鼓や神輿の製作を手がける『宮本卯之助商店』です。それぞれ、私のよく使うモチーフでもある『雷』の意匠を組み込んでいただきました」

edotokyorethink_2023_detail-3.jpg©︎Edo Tokyo Kirari Project photograpy:GION

和室の欄間や襖などに施される、木を組んで向こうが見通せる美しい紋様を描き出す組子。舘鼻さんは、その格子に合わせて雷模様の板を作成、背面に合わせることで赤と黄色の雷が、アクリル絵の具で描いた雲の中に浮かび上がるオブジェが出来上がりました。

「また、江戸木版画の『高橋工房』とは、左右ふたつの方向から違う図案が見えるという私の作品『Duarity Painting Series』を、木版で刷っていただきました。モチーフとなっているのは江戸時代にあったという『疱瘡絵』。庶民は疫病が流行った時に、赤い図案の浮世絵を見舞いの品として送り合っていたそうです。また、雷も厄除けの呪いが込められた図案。コロナ時代に、改めてこの意匠を再発見しました」

edotokyorethink_2023-13.jpg©︎Edo Tokyo Kirari Project photograpy:GION

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建物を出て、池を越え、石段を歩き……と広い庭園内を歩き続けることで出合える舘鼻さんのコラボ作品。

edotokyorethink_2023_detail-5.jpg©︎Edo Tokyo Kirari Project photograpy:GION

自然光を受けて美しく輝く切子の器や、静かな堂内に佇む和太鼓、注染の染物は心落ち着けられます。

edotokyorethink_2023_detail-7.jpg©︎Edo Tokyo Kirari Project photograpy:GION

「今回の展示に際し、普段は開けていない建物や門を特別に開けていただき、作品と空間をコラボさせていただきました」と語る舘鼻さん。

edotokyorethink_2023_ryukobo-3.jpg©︎Edo Tokyo Kirari Project photograpy:GION

レディー・ガガも愛用しているという舘鼻さんの代表作「ヒールレスシューズ」と組紐のコラボ作品は、まさに普段は開門しない後楽園の「唐門」を開けて配置されており、池と森を繋ぐ空間に、美しい脚が立っている……という幻想的な風景が現れていました。

慌ただしい毎日が続きますが、東京の真ん中で一瞬、時を忘れ、そして過去と繋がる……。そんな休憩時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

江戸東京リシンク展
開催中〜3/15(水)
https://edotokyokirari.jp/news/life/edotokyorethink2023/

 

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