世界最高のバリスタが淹れたコーヒーを、前衛的な有田焼で飲んでみたら......?
2023年4月、表参道駅から徒歩10分の住宅街に、たった4席しかない完全予約制のコーヒーバー「珈空暈(コクーン)」がオープン。ワールド・バリスタ・チャンピオンシップにてアジア人初の世界王者になった井崎英典さんが、日本各地から厳選した原材料とコーヒーを合わせる全く新しいコーヒーのフルコースを提供している。
2014年ワールド・バリスタ・チャンピオンシップにてアジア人初の世界王者になった井崎英典さん。コーヒーを淹れる水は全国の酒蔵の仕込み水を取り入れるなど、そのこだわりは別格だ。
そこで使われ始めたのが、来年創業220年を迎える「アリタポーセリンラボ」の特別仕様のコーヒーカップ、The M(ザ・エム)だ。
「工芸品としての美しさと、コーヒーをおいしく飲むための機能性を持ち合わせたカップがなかなか見つかりませんでした。そこでアリタポーセリンラボ七代目弥左ヱ門・松本哲さんに相談し、幾度となく試作を繰り返し、釉薬をベースにデザインを決めるというユニークな方法でカップの試作をスタートしました」
左からThe M Gold¥25,300、The M Platinum¥23,100、セット価格¥48,400
釉薬は実に300種類の中から、月面のような模様の窯変(ようへん)を遂げるものを選び抜いた。形状はウィスキーグラスから発想を得てボトムが丸まり、飲み口が狭まることでコーヒーの持つ香りを嗅ぎやすくした。また、伝統的な有田焼の湯呑みにヒントを得て蓋をつけることを考案。淹れてからお客様に提供するまで、しっかりと香りをホールドし温度を保つことができる。
窯変するため、その風合いは一つひとつで微妙な差異を見せ、金とプラチナを焼き付けることでこの上ない特別な佇まいを得た。
玉鋼で拵えられた湯沸かしによるイオン化した水を使い、温度や器具を使い分けて提供する井崎さんのコーヒーは、これまでの概念を全く変えてくれる飲み物だ。それに驚くようなペアリングを合わせる、"コーヒーのファインダイニング"をぜひ体感してみてはいかがだろう。
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