
カーネーション×鈴木惣一郎さんによる、男の世界を体現する音楽。
編集部NHです。
ほぼ女子編集部員ばかりの職場で仕事をしているわけですが、何かに偏るとそのバランスを取るために異分子を必要とするもの。それは人の数だけ、バリエーションがあると思います。「男子的分子」が欠けているとすれば、それはジャニーズだったり、韓流だったり、BLだったりするのでしょう。
私にとってそれは、酸いも甘いも噛み分けた男性たちによる音楽に他なりません。その中で、この数年よくライブに出かけるのはカーネーション。デビュー30年を越え、リリースとライブは定期的に行ってくれている彼らの音を浴びて、私は「男子的分子」を補っています。
そして、先月、カーネーションの中心人物でボーカルを務める直枝政広さんと、ワールドスタンダードという名義で同じくらい長く活動を続ける鈴木惣一郎さんが組んだユニット「SOGGY CHEERIOS」(ソギー・チェリオス)のデビューアルバム『1959』がリリースされ、その男くさく、すばらしい内容に狂喜してしまった次第です。
彼らが生まれた年を冠したアルバムタイトル(つまりふたりは今年54歳)。ゲストを最小限に抑え、ふたりだけで作られた音は、"これぞ日本語のロック"という滋味深い味わい。カーネーションと変わらぬ直枝節(歌い回しやファルセットの使い方とか)はもちろんたまらないのですが、普段、インストゥルメンタルミュージック(歌のない音楽)をリリースするワールドスタンダードでは聴けない鈴木さんの朴訥としたボーカル、そしてふたりのユニゾンによるコーラスなど、渋さ成分が身体中に染み渡っていくことを実感します。
私が鈴木さんのことを知ったのは、学生時代の同級生がやっているレーベル「Lirico」から発売されたTamas Wellsというアーティストのアルバムに寄せられた推薦文がきっかけ。彼が書いたテキストの抜粋がこちら。
サイモン&ガーファンクル全盛期。アート・ガーファンクルは、天使の歌声と呼ばれ、彼のうたは毎日、ラジオで流れていました。だから、ぼくの思春期は甘く響き、天使に包まれていたのです。30年という苦い月日が流れ、再び、ぼくは天使の歌声に出会いました。タマス・ウェルズ。素敵な名前を持つシンガー・ソング・ライター。ぼくのこころは、大きく解き放たれます。再び、甘い時間が訪れます。素晴らしいな、何度聴いても。タマス・ウェルズのすべてが。本当に素晴らしい。彼の存在はひとつの奇跡。そう。ぼくは、彼の音楽に今、夢中なんです。
鈴木惣一朗(ワールドスタンダード)
鈴木さんの言葉の選び方やリズムなどは、そのまま彼が作る音楽、そして初めて聴いた彼の歌声にも現れているように感じます。アルバム購入特典はサイン会のチケット! そんなふたりからサインをもらって生歌を聴けるチャンスは、私の9月のハイライト確定です。
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