
映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』、ティモシー・シャラメが着たアイコニックなボブ・ディランスタイルとは?
先日、2025年2月28日に全国公開予定のジェームズ・マンゴールド監督の映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』の試写会の案内をいただいた。1961年、ミネソタからNYへと赴いたまだ無名の若きボブ・ディランが、やがてフォークシンガーとしてデビューし、65年、ロックに転換するまでを描いた話。昨年から、「主演のティモシー・シャラメがディランになりきっている」という海外の記事をよく見かけていて、ディランについてはノーベル文学賞まで受賞した哲学的な歌詞を書いているっぽいアーティストで、数曲聴いたことがあるかも?という程度の認識なのだが、ティモシーが実際作品内でどんな感じなのかが気になっていたのだった。
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ティモシーを知ったのはやっぱり『君の名前で僕を呼んで』(2017年)だっただろうか。愛称「ティミー」と呼ぶほどのファンではないが、以降いくつか出演作を観ていて演技もうまいと思うし、何と言ってもその美貌にはぐうの音も出ない。実は生ティモシーに出会ったこともある。取材した2020-21年秋冬ハイダー アッカーマンのショーに彼が来場していたのだ。思わず撮影しに駆け寄ったらパパラッチたちに押し倒されそうになってしまったのだが、「大丈夫?」と声をかけてくれ、美しいだけでなく心優しい......といたく感動したのだった。ハイダーと仲が良さそうなので、ひょっとすると3月にパリで開催される、ハイダーが初めて手がけるトム フォードのショーにも招待されているのかもしれない。セレブ取材が過熱している今は、もはやそんなに近づけないだろうなあ......。
というわけで、ミーハー心丸出しで試写会に臨んだところ、まず驚いたのがティモシーの歌と演技だった。ディランには全然詳しくないのだが、何だか仕草や話し方、雰囲気が似ている気がするし、歌もうまい。資料によれば、コロナ禍で制作が一時ストップしたことから、5年間ボイストレーニングに励み、ギターとハーモニカもマスターしたという。ただ、「ティモシーがうまいこと演じている」という現実が常に頭から離れず、ストーリーに没頭できないのが玉に瑕ではあった。ラブシーンでは今彼が付き合っているカイリー・ジェンナーの顔がちらつき、いつかカーダシアン家の番組に出ちゃうのだろうか......と雑念がよぎったりもする。そして、初めて知ったのだが女癖が悪いらしいディランの二股、三股も、ティモシーの美貌も相まって、才能と魅力があるなら仕方がないのかな......と危うく許してしまいそうになってしまう。
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思わずティモシー話に終始してしまったが、本ブログのテーマ、衣装についても気になる点はあった。この映画のポイント、ディランのフォークからロックへの音楽性の転換に伴い、ファッションもがらっと変わるのだ。衣装デザイナーのアリアンヌ・フィリップスの取材記事なども参照すると、NYに来た頃のディランはフォークシーンで活動していたので「社会への反抗」として、労働者階級風のジーンズにチェックのシャツといったワークウエア中心だった。それが、ロックバンドを従え、エレクトリック・ギターを持つ65年(あたり?)、サングラスをかけ、レザージャケットや細身のパンツ、ストライプや水玉のシャツといったモッズっぽいスタイルに急変する。そして、私のファッションの好みによるところが大きい気もするが、後者の方が断然ティモシーが輝いていたと思う(またティモシー......)。
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ファッションについては、ティモシーだけではなく、ディランの恋人シルヴィ(ディランの希望でモデルとなったスージー・ロトロの名前を変えたらしい)役のエル・ファニングにも期待していた。ミュウミュウのランウェイを歩くなど、モード界とも関係が深い彼女はどんな60年代スタイルを着こなすのかとわくわくしていたのだ。ところが、それよりもディランとたびたび共演し、関係も持ってしまうフォークシンガー、ジョーン・バエズ役のモニカ・バルバロの方に目が行ってしまった。全くノーマークだったのだが、ヘアメイク含め、当時から抜け出してきたのか?! というくらいの仕上がり。ちなみに、彼女は2025年2月にディオールのアンバサダーに就任している。
そんなこんなでディランのことを知っていた方がより良いとは思うが、そうではなくてもティモシーの勇姿や、ディランの才能にいち早く気づく人気シンガー、ピート・シーガー役のエドワード・ノートンやモニカ・バルバロの素晴らしい歌声を堪能でき、60年代ファッションも楽しめる。そして、フィクション部分もあるようだが、もちろんディランの功績や人となりも学べる。ぜひ映画館でご覧になってみてください!

監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ティモシー・シャラメ、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルック、ダン・フォグラー、ノーバート・レオ・バッツ、スクート・マクネイリー、ほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
2025年2月28日(金)より全国公開
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