栗山愛以の勝手にファッション談義。

『ル・ポールのドラァグ・レース』へ挑むならこれが着たい!

あいかわらず、暇さえあればNetflixを見ている。
何かにつけ、どのコンテンツが面白いのか情報収集をしているのだが、先日Netflixで配信中だという『ル・ポールのドラァグ・レース』なるリアリティ番組について取材をせねばならなくなった。ドラァグクイーンのカリスマ、ル・ポール氏についてはその昔ミュージックビデオ等で見てうっすら知ってはいたものの、ふだんサスペンスものばかりセレクトしているせいか、まったくもってノーマーク。それで識者に教えを請うたところ、アメリカ一のドラァグクイーンをめざして出場者たちが歌、ダンス、演技、トーク、ウォーキング、lip-sync(口パク)などの課題に挑む勝ち抜き戦とのこと。現在シーズン10が絶賛放映中の欧米ではファッション関係者も大盛り上がりらしい。
早速視聴してみたところ、ファッションバカとしては、毎エピソード開催される、お題の人物やテーマになりきる「リアルネス」対決に釘付けになった。皆、自らドレスをデザイン、縫製、着用し、ヘアメイクを施してランウェイを歩くのだ。すごい、ひとりファッションショー。

で、今回は個人的に印象深かったリアルネス対決を取り上げ、私がもし『ドラァグ・レース』に参加するのだったら、これで臨む!という、妄想を繰り広げてみたいと思う。

まずはマドンナ。

これまでのマドンナのスタイルで印象深いものを取り上げる、というお題だったのだが、番組では、90年代グラミー賞授賞式で着ていたジャンポール・ゴルチエの赤いキモノドレスや、2013年メットガラのジバンシィのスタッズだらけのチェックのジャケットがかぶりまくっていた。文化や世代の違いなのか?!マドンナといえば、で思い浮かべるのはデビュー当時のザ・80年代なファッションや、「Like A Prayer」の時の下着姿、胸がコーン状になっているゴルチエのビスチェ、『エロティカ』あたりのSMっぽいファッションとか、そんな感じではないんだろうか。ともあれ私ならどうするか!

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レオタードです。

発表当時、オシャレだな〜!とテレビの前で心底思ったことを覚えている。「HUNG UP」は70 年代のABBAのヒット曲をサンプリングしていて、衣装もそのへんのムードを汲みけっして真新しいスタイルではないのだが、今このタイミングでこれをもってくるか!と衝撃を受けた。キメキメのヘアメイクにレオタード一丁で足元ピンヒール、というバランスがファッションとしてとってもかっこよく思われたのだ。今ではモード誌のスタイリングでボトムにレオタード的なアイテムを用いることはふつうだが、あの頃はそんなにメインストリームではなかったような。47 歳、2児の母にしてこれを着こなしていたこともすごいが。

でも、『ドラァグ・レース』のランウェイは華やかさ命。審査員に地味だ、つまらない、とさんざんこき下ろされてlip-sync対決行き(通常下位2名が生き残りをかけてlip-sync対決をせねばならない)確実でしょうね……

さて、次はレディー・ガガである。

こちらのリアルネスは彼女が番組の審査員として出演した回に開催された。ガガさんはデビューからファッショナブルで毎度すごかったので、だんだん麻痺していって正直あー、はいはい、またそんな突飛な感じね、と慣れてしまっていた部分はあった。そんな私が度肝を抜かれたスタイルは!

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子宮です。

卵、という表現も見かけられたが、ともかくみこしに乗ってくるって!ガガファッションここに極まれり、と感嘆したものだ。彼女にはトップクラスのモード関係者がたくさん関わっているので世界観もスタイリッシュ。
しかしこれをランウェイで実現するには、お付きの人が必要だし、子宮から出てきたらミニマルなベージュ一色で、またlip-syncだろうか……

最後は、わが国日本が誇るアイドル、ハローキティである。

ファッション業界でもおなじみの「コラボレーション」。しかし、きっとキティちゃんのアグレッシブさに勝るブランドはあるまい。これまでもえっ、こんなのとも?!とその幅広すぎる視野に目を見張ることは多々あったが、なんとこの番組にも堂々登場していた。すごいよ、キティちゃん。

そのときはキティちゃんグッズを使用した服と、かぶりものを使ってキティちゃんのお友達キャラを作る、というお題だったのだが、このたびは少々アレンジさせてもらって、キティちゃんに似合うランウェイファッションは何か、と考えてみた。
現在いろんな姿を見せている彼女だが、ここは日本人として、誇りを持って誕生当初のベーシックなキティちゃんに立ち返りたい。よくよくその姿を観察してみると、どうやら基本はデニムのオーバーオールを着ているっぽい。そしてインナーに白や黄色のTシャツを着たり、素肌だったり。
本来は縫製が苦手な人も接着剤を使ったりして自力で服作りを頑張らねばならないシステムなのだが、私は想像力もないうえに不器用(だから人の作った服を見たり着たりしてああだこうだ言う職業についている)。 そこで、反則を犯して2018-19年秋冬コレクションからキティちゃんに似合いそうなものを選ぶことにさせてもらった。

が、モードなデニムのオーバーオールが残念ながらなかなか見つからない。
で、こちらではいかがでしょうか!

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肩紐付いてるし、ピンク色もキティちゃん的。
それにジェレミー・スコットは審査員として番組に出ていて親和性も高いし!

そんなこんなで、リアルネス大会やってみたいなあ、と思っている今日この頃なのである。

栗山愛以

ファッションをこよなく愛するモードなライター/エディター。辛口の愛あるコメントとイラストにファンが多数。多くの雑誌やWEBで活躍中。

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