
普段着のパリ、ボーイッシュな女性たち。
1月中旬、ほんのちょっとパリへ行ってきた。
あまり取材ができなかったのだが、メンズファッションウィーク中で、ショールームがひしめくマレなどに行くとおしゃれ男子がいつもより多かったような気がする。女性は、メンズを着ていたのか、何だかボーイッシュなタイプが目立った。
彼女もバケットハット+オーバーサイズのフーディ+パンツ+スニーカーでかなりメンズライク。タバコを吸う姿もさまになっている。いわゆる「ストリート」な格好だ。
ここのところ「ストリートはもう終わった」なんてモード界では言われているが、それは、モードの方が勝手に「ストリート」をピックアップして盛り上がり、そして飽きただけ。それをずっと普段着としている人たちには知ったこっちゃないのだ。彼女は着慣れた感じだったので、元からこういうスタイルなんだろう。完全に「モード」志向のミーハーな私も「次はストリートじゃなくてエレガントにいくべき」くらいに洗脳されていたが、彼女はシックな色合いもいいし、似合っていてかっこいいと思われた。「ストリート」はブームを経て、ファッションの定番のひとつになったと言えるのかも。
メンズブランドの展示会にも行ってみたのだが、そこで見かけたのもボーイッシュな女性。
いやでも彼女、かわいらしさがある。パンツにスニーカーだが、コートはパフスリーブ+Aラインでフェミニン。ワイドパンツを合わせてビッグシルエットでまとめていて、全体の丸っこいラインもそう感じさせるのだろう。すっきりしたベリーショートヘアだからこそ完成するスタイリング。男っぽすぎず、女っぽすぎず。そのバランスが自然で目を引いた。
1月はセール真っ盛りで、滞在中はほぼそのチェックに時間を費やしたと言っていい。マレのセレクトショップ、ザ・ブロークン・アームにももちろん行ったのだが、店先にタバコ休憩中のファウンダー、アナイス・ラファルジュさんがいた。
ショーや店頭でよく見かけるのだが、いつもモードなアイテムをさらりと着ている。この日はざっくりしたセーター(メンズ?)に光沢のある素材の巻き?スカート(カイダン エディションズ2018年春夏に登場したポリエステル素材的な……)、セリーヌの2018年プレフォールのぼってりしたブーツ。モノトーンだし、特に工夫を凝らしているというわけではないのだが、シルエットのバランスや異素材の組み合わせ方がさすが。若手から有名ブランドまで、幅広く目を配っている彼女だからこその着こなし力である。
現地PRの方とミーティングもした。場所はコンコルドの近くのカフェで、と話がまとまっていたのだが、前夜、急に変更依頼の連絡が来た。「土曜日だということを忘れてた!コンコルド付近はバリケードが設置されるから、場所を変えた方がいい!」とのこと。毎週土曜日に行われている「イエローベスト運動」を懸念してのことだった。結局デモには遭遇しなかったのだが、イエローベストを着て働く人々の姿も気になった。
ゴミ収集をしていたお兄さんで、イエローベスト以外はグリーンで統一。ニットキャップとか、おしゃれだな〜支給されているのかな?それとも私物を合わせたのかな?といらぬことを考えてしまう。デモでは普通の労働者の象徴としてイエローベストが着用されているそうだが、これをファッションアイテムとして採用するブランドもあるように、デザイン性が高い。機能性優先のワークウェアにもデザインを両立させていてすばらしい、と思ってしまう。外国人の目を通して見ているからかもしれないが……。
帰国した次の日、雪が積もってかなり寒くなったらしい。1日違っていたら、外でのんびりストリートファッションチェック、どころではなかっただろうなあ。
2月末からはまたウィメンズのファッションウィークでパリへ行く。そういえば昨年は極寒だった。せめてお天気がいいといいですね……。
ARCHIVE
MONTHLY