栗山愛以の勝手にファッション談義。

『THE IDOL/ジ・アイドル』でセクシーファッションチェック!

2023年6月5日より、ドラマ『THE IDOL/ジ・アイドル』がU-NEXTで独占配信中だ(米HBOと同時に毎週月曜1話ずつ配信)。
ティーンエイジャーの話でありながら、大人の私も全然観れてしまった『ユーフォリア/EUPHORIA』(2019〜)のクリエイター、サム・レヴィンソンが手がけているのでスタートを心待ちにしていた(彼の起用までにいろいろあった様子だが)。『ユーフォリア』は劇中ファッションをまとめた本も出ているくらい、個性豊かなキャラを活かしたファッションも見もの。豪華キャストが名を連ねる『THE IDOL』ではどんなスタイルが披露されるのかとかなり期待していたのだが……。

第1話は、BLACKPINKのジェニーのダンスシーンやら、ザ・ウィークエンド演じるナイトクラブのオーナー、テドロスの怪しい感じやら、トロイ・シヴァンの出演やら、いろんな目玉があったはずなのに、ブリトニー・スピアーズを彷彿とさせるポップスター、ジョスリン役リリー=ローズ・デップのあられもない姿しか思い出に残らないのだった……。
なんだか、劇中にも出てくる映画『氷の微笑』(1992)を観て、ストーリーはうろ覚え、セクシーなシャロン・ストーンしか記憶にない、という現象と似ているような。この映画の枕詞「エロティック・スリラー」ならぬ「エロティック・ドラマ」か、と思ってしまったのだ。第2話ではちょっとした展開が出てきたものの、やっぱりセクシーシーンが必要以上に多い。

そんなエロティック・ドラマで主演を務めるリリー=ローズ・デップはほぼ「肌見せ」どころではない、全部見せてしまいそうな服装をしている。まず驚かされたのは、ミュージックビデオのためのダンスの練習シーン。どうやら中国出身でアントワープ王立芸術アカデミー卒のディ・ドゥが手がける「DIDU」という新進ブランドの面積が小さすぎるブラトップを身につけていて、激しい動きのたびにはらはらする。

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その他クロップド丈が過ぎるTシャツとか、簡単にめくれ上がりそうなトップとか(実際めくれ上がっていた)、いつも緊張感溢れるアイテムを着用。

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いやでも、リリー=ローズ・デップは20代前半にして堂々たるものである。どんな際どい演技も無理している様子は全然ない。ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディという素敵すぎる両親のもとに生まれたがこその度胸なのかもしれないが、目が据わっているところなんかはレニー・クラヴィッツがプロデュースしていた1990年代前半ごろのヴァネッサ・パラディを思い出す。レニーの好みであろう70年代風ファッションに身を包み、あどけなさもありながら、冷めたような面も垣間見せていて、2人の雰囲気はやっぱり似ている。そしてシャープな顔のわりに下半身がどっしりしている体型も……。

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第2話でリリー=ローズ・デップがミュージックビデオの撮影中モニターに駆け寄る際の特徴のある動きが気になったが、ヴァネッサ・パラディも急ぐとあんな感じなのか(どうでもいい話だが)。

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そんなことでリリー=ローズ・デップの話に終始してしまったが、他に何か挙げるとするなら『ヴァニティ・フェア』誌の記者役のハリ・ネフだろうか。ちょっと露出多めではあるものの、劇中で1人冷静で知的な感じがして救われるというか。はたまた自分と近い仕事をしているから共感できるのか。ハリ・ネフ、パリコレで気軽にスナップに応じたりしてくれていたが、ドラマ『AND JUST LIKE THAT... /セックス・アンド・ザ・シティ新章』(2021〜)でも存在感があったし、8月11日(金)公開 の映画『バービー』にも出ているらしく、脇役ではあるもののもはやトランスジェンダーモデルの枠を超えて俳優として大活躍。話題作続きですごい。

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ともあれ今後もこの調子で「エロティック・ドラマ」のまま突き進むんでしょうか。第2話の「ちょっとした展開」をきっかけにストーリーにも魅力が出てくるんでしょうか。とりあえずリリー=ローズ・デップのセクシーファッションをチェックしつつ、最後まで見届けようとは思っています。

栗山愛以

ファッションをこよなく愛するモードなライター/エディター。辛口の愛あるコメントとイラストにファンが多数。多くの雑誌やWEBで活躍中。

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