猫ごころ 巴里ごころ

潮騒の揺れる海辺に、スローライフを満喫するUMITOのエレガントなホテル。

太宰治や立原正秋といった昭和の作家に愛され、『夢幻のなか』の作者立原は、夕暮れ時には日課のようにして、中世からの腰越漁港の突堤の辺りを散策していたという。

どこか懐かしく、ノスタルジックな香りの漂う町、腰越に、都会の喧騒を逃れて、ゆるやかな時の流れを求めてやってくる人々の憩いの場として、高級感溢れるオーベルジュ・スタイルのホテル、UMITO鎌倉腰越が、新たな舞台を展開している。

1日2組の客しか迎えないというそのオーベルジュは、宿泊というだけでなく、フランス料理の老舗の名店レストランひらまつ広尾で、シェフをしていた小川大樹さんの極上の味まで賞味できるという、一味違う旅の醍醐味を味わえるという。

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スペシャル感に満ちた、至福のひとときを過ごせるホテルのようだ。

目前の腰越海岸の波打ち際に、静かに打ち寄せる潮騒や、黄昏時になると、江ノ島と富士山の間に鮮やかに燃えるように落ちていく日没風景を眺めながら、その一流シェフの繊細な味を堪能できるのだから、誕生日のお祝いやクリスマスなどの特別の機会に、胸に沁みる想い出ができることだろう。五感に響く極上の贅沢に包まれて、忘れ難いプティ・ヴォヤージュになるに違いない。

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実はその新たなラグジャリー・オーベルジュ、ホテルUMITO鎌倉腰越は、私の自宅の目と鼻の先にある。工事が始まった頃から、腰越の隣人たちと、何ができるのだろう、と噂をしていたものだ。

完成したのは、少し高台になったところから、駿河湾や江ノ島のヨットハーバーを眺める優雅なガラスの館だった。そのオーベルジュにはル・レストランという宿泊者以外でも利用できるフランス料理を饗するグルメ・スペースがあって、レストランひらまつ広尾のシェフだった人の極上料理をいただけるときいて、一段と興味をそそられていた私だったが、月末のグランド・オープンを前にプレスツアーがあり、そのハッピー・ヒューの中に混じって私も体験することになった。

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白を基調に、自然な調和に包まれた色調のインテリアは、どこかコート・ダジュールの別荘風で、繊細な、くつろいだ雰囲気に包まれていた。バスルームがなかなか凝っていて心地よく、沖合を眺めながら入れる風呂や、サウナまで付いていて、至れり尽せりの細やかな演出がされている。

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全室1フロア1部屋、130㎡超の2ベッドルームスイート。

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4つのベッドがあるので、貸切で友人たちやファミリーで使うこともできるようだ。 

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黄昏風景に包まれて、ガラス張りのレストランのテーブルに着席すると、ラングスティーヌのエチュヴェに小蕪添え、地魚のブイヤーベース風のコンソメの甘美な味に、口の中が蕩けていく。ノドグロや蟹の柿のガレットも素晴らしかったが、極め付けは倉薗牛フィレ肉だった。柔らかく、美味な絶品お肉に感激して、食に目のない私は早速きいてみた。

「倉薗というのは、どこの地名ですか」というと、

「いえ、地名ではなく、倉薗さんという方が、大切に、伸び伸びとした牧場で、牛を育てておられるのです。宮崎の方です」

豊かな牧草地で育った牛の赤味は、格別だった。(牛さん、ごめんなさい)

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ディナーコース¥24,200(税金、サービス料込)より。のどぐろの炭火焼 渡り蟹と柿のガレット 秋ナスのヴァンジョーヌソース。
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ラングスティーヌのエチュヴェ 小蕪のロースト 地魚のブイヤベース。
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倉薗牛フィレ肉 カラフルな鎌倉野菜 麹の香る赤ワインソース。
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フランス料理の第一線で20年の経験を持つ小川大樹シェフ。

テーブルには次々にワインが運ばれてきて、一皿ごとにペアリングになっていて、選び抜かれた最高峰のワインだったし、その夜はどこまでも洗練された最高のひとときを過ごした。

ホテルUMITO鎌倉腰越は、11月26日にオープンするそうだ。またひとつ湘南にラグジュアリー・スポットが誕生する。

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UMITO鎌倉腰越
UMITO KAMAKURA KOSHIGOE
神奈川県鎌倉市腰越3-12-16
代表:0467-55-8084
宿泊専用フリーダイヤル:0120-511-098(受付時間 9:00〜18:00 土日祝休み)
全2室 2ベッドルームスイート
宿泊 朝食込み(2名分)¥270,000〜(各税・サ込み、宿泊税別)

<レストラン>
ディナー 18:00〜22:00(L.O.19:30)
※朝食(8:00〜10:00(L.O. 9:00))は宿泊者のみ利用可
※ランチ 2025年4月頃 開始予定

https://hotel.umito.jp/kamakura-koshigoe/

村上香住子

フランス文学翻訳の後、1985年に渡仏。20年間、本誌をはじめとする女性誌の特派員として取材、執筆。フランスで『Et puis après』(Actes Sud刊)が、日本では『パリ・スタイル 大人のパリガイド』(リトルモア刊)が好評発売中。食べ歩きがなによりも好き!

Instagram: @kasumiko.murakami 、Twitter:@kasumiko_muraka

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